COLUMN ワインを楽しむコツ
パンとワインの組み合わせで"おいしい!"が生まれる♪

ワインのある食卓においしいパンは欠かせません。ところが、ワインの種類によって味わいや風味が異なるように、パンのバリエーションもさまざま。
せっかくなら相性のいいものを組み合わせて、もっと"おいしい!"を増やしたい……ということで、今回は、『あまったパンで魔法のレシピ』(世界文化社)の著者でもある料理研究家・尾田衣子先生にパンとワインの楽しみ方のコツを教えていただきました。
これを読めば、パンとワインのベストパートナーが丸わかり! パンとワインのおいしい関係をあらためて発見しませんか?
弊社から尾田衣子先生に依頼をし、いただいたコメントを編集して掲載しています。
ワインに合うパンはこれ!

尾田先生、今日はよろしくお願いします。
早速ですが、ワインを飲むシチュエーションではよくバゲットやパンが添えられていますよね。
ワインとパンといえば、チーズ同様、切っても切れない関係なのかな~と思いますが、パンとワインがおいしい関係をつくれる理由を簡単に教えていただけますか?


そうですね、ワインとパンは両方とも発酵食品同士ですし、ワインの香りの表現の中に「トーストしたパン」とか「ブリオッシュ」「バター」といったパンに関係する言葉も出てくるなど、共通点が多いことがまずは挙げられると思います。

ワインに合わせるパンで、間違いなくおいしい"テッパンの組み合わせ"はありますか?

パンをそのまま(何もつけずに)ワインに合わせるなら、私はクロワッサンとスパークリングワインをおすすめしたいですね。

え~、意外! クロワッサンとスパークリングワインですか?

はい(笑)。クロワッサンのサクサクとした食感、バターの風味が、スパークリングワインのしゅわしゅわ~っとした泡とすごく合いますし、特にシャンパンやカバのような熟成期間の長い、コクのあるタイプは酵母の香りとマッチして、とてもおすすめです。
クロワッサンと同様、バターの香りが豊かなブリオッシュもスパークリングワインと相性がいいんですよ。
あとはメロンパンとスパークリングワインの組み合わせ! 私も合わせてみてそのおいしさにビックリしました(笑)。メロンパンのさっくりした皮目の食感、ほのかなフルーツの風味、もっちりしたほどよい生地の甘みがスパークリングワインの泡とみずみずしい味わいにぴったりだと思います。

メロンパンとスパークリングワイン、それはぜひやってみたいです♪
では、白ワインと相性のいいパンというと?

そうですね、先ほど言ったブリオッシュはコクのある白ワインともバッチリ合いますね。それから、ブドウが入ったパン、ナッツが入ったパンもおすすめですよ。

どれもおいしそうですね! 赤ワインはどうでしょう?

ベリー系やイチジク、オレンジピールなどのドライフルーツが練り込んであるパンは、軽め~ミディアムボディの赤ワインと合わせるといいですね。ワインと同じフレーバーを感じられるもの同士を組み合わせることで、お互いの長所を高め合い、さらにおいしさが増してくると思います。
パンには3つの役割がある

反対に、ワインに合わせづらいパンの種類はありますか?

甘さの強いスイーツ系のパンはちょっと難しいですね。カスタードクリームや生クリームたっぷりといった甘いパンだとワインの酸味が際立ってしまうんです。
また、パン・ド・ミや食パンのようなプレーンでやさしい味わいのパンは、ワインの邪魔はしませんが、そのままだとお互いのよさを引き出すマリアージュ効果は起きにくいと言えます。

へえ、どうしてですか?

プレーンな味わいのパンに何も塗らず、何もはさまず、焼かずに食べると、ワインの味をリセットしてくれるものの、相乗効果でさらに引き立てあうというまではいかず、バターやオリーブオイルなどの油分や塩気があって、初めてワインの味が引き立ってくるんです。そういう意味では、フランスパンもそうですね。
では、なぜこういったシンプルなパンが添えられているかというと、たとえばフレンチやイタリアンのコース料理で言えば、次の料理に進むときに、口に残った料理の味やワインの味わいをリセットするようなときにはとてもいいですね。

そういえば、ワインのテイスティングをするときに添えられているパンも、ワインとワインの間に口をリセットするためのものと聞いたことがあります。

そうですね。シンプルなパンはハムやチーズ、バター、オリーブオイルなどと合わせたり、料理に添えて一緒にいただいたり、パテ、テリーヌ、リエットなどのサイドメニューをのせて食べるというのが"おいしい!"を生み出す合わせ方。 言ってみれば、料理とワインをつなぐサポート役といったところでしょうか。

すると、ワインと一緒にいただくパンの役割は大きく3つ、
- パン自体そのものをワインと合わせる
- 口の中をリセットする
- プレーンなパンを料理の添え物、サイドメニューの土台にしてつなぎ役にする
というわけですね。よくわかりました!
パンとワインの関係をさらに深くするコツは?

では、シンプルなパンでワインを楽しむときのポイントはありますか?

パンとともにいただく食材の色とワインの色を合わせること。それがシンプルなパンとワインの関係を深める一番簡単なコツです。
たとえば、サーモン、生ハムなどのピンク色の食材にはロゼワイン、チキンやツナなどの白っぽい色の食材には白ワインがおすすめです。

なるほど! 色で合わせるなら簡単にできそうですね。

あとは、チーズ、オリーブ、アンチョビなどうまみや塩気がある食材を加えることによって、ワインと合いやすくなります。それから、生ハム、サラミ、チーズ、はちみつ、ナッツ、ドライフルーツなどを数種類用意して、いろいろな組み合わせを楽しんだり、トッピングしたりするだけで、おいしくて贅沢な気分を味わえますよ。
最近では、パン屋さんを「ブーランジェリー」と呼んだり、ワインに合うようなパンをたくさんつくっているパン屋さんも増えてきました。そういうお店で買ってきてワインと合わせるのも楽しみ方の一つですね。
もう一つ提案したいのは、お家にパンがあれば、パンを使ったお料理をつくってみること。
パンの魅力は手軽にオシャレ感を演出できることだと思います。パンを上手にアレンジして、ワインとのマリアージュを楽しんでくださいね。
パンを使った魔法のレシピを紹介!

それでは、ひと手間でできる"ワインに合うおつまみ"を2品、先生に教えていただきたいと思います。

今回選んだパンは、バゲットと食パン。どちらもシンプルな味わいのパンです。ワインに合いやすく、かつ簡単に手に入る食材を少し加えるだけで、ワインのある食卓をグッとおいしく、楽しくしてくれます。ぜひ試してみてくださいね。
レシピその1
白ワイン、スパークリングワインにピッタリ! 「はちみつ&粒マスタードのおつまみラスク」

バゲットを焼いてラスクにすることで、パンの香ばしさや食感が引き出され、さらにはちみつのやさしい甘さ、粒マスタードの酸味やコクのある風味が加わって、バランスが◎! 酸味とほどよいコクを持つ白ワインやスパークリングワインにぴったり合うおつまみになります。
材料
- バゲットスライス(真横1cm幅):8枚
- はちみつ:小さじ2
- 粒マスタード:小さじ2
作り方
- はちみつと粒マスタードを混ぜ合わせる。
- バゲットスライスの表面に1を薄く塗り、トースターで5分程火を入れる。
レシピその2
ロゼワイン、白ワインにおすすめ!「巻きサーモンのグリッシーニ風」
食パンは細く切り、カリッと焼いて香ばしさを出し、ワインに合う食材をのせたり、巻いたりするだけで、ワインによく合うおつまみになります。
今回は、スモークサーモンをチョイス。スモークサーモンのうまみと塩味は食パンの香ばしさ、やさしい食感と相性バツグン! ピンク色の食材=ロゼワインと相性がいいのはもちろん、食パン&クリーミーな具材と一緒にいただくので、白ワインにもおすすめです。
材料
- 食パン8枚切り(縦に8等分):1枚
- アボカド(種を取り粗切り):1/6個
- スモークサーモン:8枚
- マヨネーズ:大さじ1
- ミニトマト(種を取り粗みじん切り):2~3個
- 黒コショウ:適量
作り方
- 食パンはトースターでカリッとするまで焼く。
- ミニトマト、潰したアボカド、マヨネーズを混ぜ合わせる。
- 1の表面の半分に2をのせ、スモークサーモンを巻く。

みなさん、ぜひお家で試して、ワインで乾杯してくださいね!
先生、今日はどうもありがとうございました!

ヨーロッパのおばあちゃんの知恵 あまったパンで魔法のレシピ
尾田衣子(著)
定価:1,365円(本体1,300円)
発行:世界文化社
内容紹介
前菜、スープからメイン、デザートまで、あまったパンが大変身! 固くなったパンを美味しく食べるヨーロッパのおばあちゃんの知恵を伝授。
