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旅の取材記
ビタミンたっぷりの真っ赤なサフトは、初めてのおいしさ。

最初に訪れたのはグニラお母さんの家。「市販のジュースには何が入っているか分からないから、子どもが小さい頃からジュース代わりにサフトを作っていたわ。今でも食事のときにはビール、ワイン、水、サフトのどれかを飲んでいるわね」と話しながら、リンゴンベリーのサフトを作ってくれました。

<グニラお母さんが作るリンゴンベリーのサフト>
1. リンゴンベリーを鍋に入れ、『ストンプ』という木製の器具でつぶす。つぶした後、熱湯を注ぎ入れて、一晩寝かす。
2. 一晩寝かしたものを『サフトシール』という布のこし器に入れ、20分ほどかけてゆっくりとこしていく。
3. こしおえたら砂糖を少しずつ溶かしいれ、ビンにつめる。

完成したばかりのサフトを、約5倍に水で割ったものをいただくと、オレンジにも似たリンゴンベリーの香りがする、甘ったるくない爽やかな味。渋みなどの雑味がなく、思わず“ベリーって、こんなにおいしかったの?!”と驚いてしまいました。

「リンゴンベリーは酸っぱいから、飲みやすくするために砂糖をいれるの。でも食事のときも飲めるように、本当に最小限!その分、保存性が低いからうちでは冷凍しているのよ」とサフト作りの秘訣を教えてくれたグニラさん。濃い味付けが多いスウェーデンの食事と合わせたときに口の中をさっぱりさせてくれるだけでなく、食欲もわいてきそうです。家族のために、手間ひまを惜しまないお母さんの愛情がいっぱいつまった真っ赤なサフトは、毎日飲んでも飽きないと思えるほどのおいしさでした。

ベリーのビタミンを壊さない知恵。

20年前から手作りのサフトやジャムを販売しているというアンナお母さんには、ラズベリーのサフトの作り方を教わりました。
<アンナお母さんが作るラズベリーのサフト>
1. ラズベリー2.5キロと水1リットルを入れた鍋を火にかける。沸騰したら火から外し、サフトシールにうつしてこす。
2. こしたもの600mlに対し砂糖180グラムを加え、再び火にかける。
3. 沸騰したら、すぐ火から外し、熱いうちにビンにつめる。

グニラさんのサフトに比べると砂糖の量が多いものの、アンナさんのサフトもさらりとしていました。印象的だったのはサフトが沸騰したら、すぐに鍋を火から外していたこと。これは保存性を高めながらも、熱に弱いビタミンがなるべく壊れないようにするお母さんの知恵のひとつ。
伝統的なサフトやジャムだけでなく、ラズベリーとチョコレートのマーマレードや、ブルーベリーとバニラのジャムなど、食材の新しい組み合わせでおいしさを作り出しているアンナさん。「サフトはね、お酒との相性もいいの。エルダーフラワーのサフトを白ワインで割ると、おいしいわよ」と、彼女ならではのサフトの楽しみ方も教えてくれました。

昔ながらの製法を守りながらも、飲み方をアレンジすることで今も楽しまれているサフト。昔から今へ受け継がれるためには“変わらないこと”と“変わること”の両方を大切にしなくてはいけないと、アンナさんとの会話の中で強く感じました。

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