試合詳細レポート

2016

試合結果 KIRIN CHALLENGE CUP 2017 熊本/熊本県民総合運動公園陸上競技場 2017年4月9日 日本女子代表 対 コスタリカ女子代表 3:0

試合結果 KIRIN CHALLENGE CUP 2017 熊本/熊本県民総合運動公園陸上競技場 2017年4月9日 日本女子代表 対 コスタリカ女子代表 3:0

復興への思いを込めて、新生なでしこジャパンが国内初見参!

 再び世界の頂点を目ざす情熱と覚悟を、なでしこジャパンがピッチ上で表現した。4月9日、『キリンチャレンジカップ2017~熊本地震復興支援マッチ がんばるばい熊本~』が熊本県民総合運動公園陸上競技場で行われ、なでしこジャパンがコスタリカ女子代表を3-0で退けたのである。

 高倉麻子監督の就任後、なでしこジャパンが国内でゲームをするのは今回の『キリンチャレンジカップ2017』が始めてだ。スタンドには8824人の観衆が詰めかけ、試合前から熱のこもった声援がピッチに注がれている。
 4-4-2のフォーメーションで守護神に指名されたのは、国際Aマッチ出場2試合目のGK池田咲紀子(浦和レッズレディース)だ。最終ラインは右から高木ひかり(ノジマステラ神奈川相模原)、熊谷紗希(オリンピック・リヨン/フランス)、市瀬菜々(マイナビベガルタ仙台レディース)、宇津木瑠美(シアトル・レインFC/アメリカ)の4人で構成される。経験豊富な熊谷はキャプテンマークを巻き、市瀬は国際Aマッチ初出場、高木は同6試合目だ。MF登録の宇津木は、ユーティリティ性を発揮して最終ラインの左サイドを担う。
 中盤では日テレ・ベレーザでプレーする阪口夢穂と中里優が、ダブルボランチを組む。2列目は右サイドに中島依美(INAC神戸レオネッサ)、左サイドに長谷川唯(日テレ・ベレーザ)が入る。ボールコントロールに優れる4人のMFは、攻撃でも守備でも高い連動性で中盤を支配していく。
 2トップは横山久美(AC長野パルセイロ・レディース)と田中美南(日テレ・ベレーザ)が形成する。密集をすり抜けるスピードと技術を持ったふたりが、どのような化学反応を見せていくのかに注目が集まる。

横山が「個」の力でゴールをこじ開ける!

キックオフのホイッスルとともに、なでしこジャパンは試合の主導権を握った。4分、右サイドからカットインした中島の左足シュートをきっかけに、高い位置からのディフェンスを攻撃へつなげていく。14分には中島の右CKから、田中が際どいヘッドを放った。
攻撃から守備、守備から攻撃への切り替えを全員が意識するなでしこジャパンは、ボール際の攻防でも一歩も引かない。コスタリカは2015年の国際大会に出場している実力国だが、その相手を自陣にくぎ付けにしていくのだ。  この日最初の歓喜が、スタジアムに走り抜けたのは23分だ。高木のパスを受けた横山が、密集で鋭くターンして左足を振り抜く。パワフルな一撃が、鮮やかにゴールネットを揺らした。
 その後も日本は、攻勢を緩めない。右サイドから高木と中島が、左サイドからは宇津木と長谷川が突破を仕掛け、中里と阪口もタイミング良く攻撃に関わる。前半の得点は1点に終わったものの、危なげない内容でハーフタイムを迎えた。

チーム内の「競争激化」を予感させた戦い

後半開始とともに、高倉監督はふたりの選手を交代させる。中里に代わって隅田凛(日テレ・ベレーザ)が、中島に代わって籾木結花(日テレ・ベレーザ)が投入された。ボランチの一角を担う隅田は、国際Aマッチデビュー戦だ。どちらもスムーズにゲームに入り、持ち味を発揮していく。
 前半との違いがあったとすれば、立ち上がりのコスタリカがなでしこジャパンの良さを消そうとしてきたことだろう。自陣でボールを失うことを避けたい相手は、ロングボールを使って日本の最終ラインを後退させようとしてきたのだ。
 それでも、熊谷と市瀬の両CBを中心として、日本は適正な高さを保つ。テンポの良いパス回しで相手を翻弄し、後半も自分たちのリズムを生み出していくのだ。
 チーム強化の初期段階にある現在のなでしこジャパンは、個々の経験値を高めることも重要なテーマだ。63分に佐々木繭(マイナビベガルタ仙台レディース)が宇津木に代わって起用され、69分には横山がベンチへ退いて上野真実(愛媛FCレディース)が送り出される。
 若い力の躍動が、2点目へ結びついたのは74分だ。熊本出身の上野が左サイドからクロスを送ると、ゴール前へ走り込んだ田中がワンタッチで蹴り込んだ。
 リードを2点に広げたものの、日本は集中力を保つ。前半同様に球際の攻防に手を抜かず、GK池田や両CBが存在感を発揮する。
攻撃も貪欲だ。82分、長谷川が左サイドからDFラインとGKの間へグラウンダーのクロスを供給する。ファーサイドから詰めた籾木が、右足でプッシュした。代表初ゴールの籾木は、21歳の誕生日を自ら祝う一撃だ。
3-0とした直後、高倉監督は長谷川から大矢歩(愛媛FCレディース)へスイッチする。85分には田中が退き、猶本光(浦和レッズレディース)が出場する。合計で6人の選手を入れ替えながら、日本は終盤もコスタリカのゴールを襲った。大矢が至近距離からシュートを浴びせ、隅田のミドルシュートがバーを直撃した。
「見ている人に勇気を与えたい」と選手たちが口を揃えていたとおりに、なでしこジャパンは最後までアグレッシブに戦い抜いた。18本のシュートを浴びせ、相手には3本しか許さなかった内容には、十分に及第点がつけられるはずだ。
 試合後の高倉監督は、「前半はチームに硬さが見られた。後半は少しだけ、なでしこジャパンらしいゲームができたかな」と話した。指揮官の厳しい評価は、期待の表れと言っていいだろう。試合後のピッチに降り注いだ拍手は、新生なでしこジャパンの可能性の大きさを示していたに違いない。

試合データ

■4月9日 熊本県民総合運動公園陸上競技場
日本女子代表 [3-0] コスタリカ女子代表

日本代表選手集合写真
  • 日本代表選手集合写真

写真提供/©JFA 2017年4月9日 キリンチャレンジカップ2017 なでしこジャパン(日本女子代表)対コスタリカ女子代表 先発メンバー

<代表監督> 高倉 麻子

<出場選手>

■4月9日/熊本県民総合運動公園陸上競技場
 
日本代表 (1) 3 <横山 久美 田中 美南 籾木 結花>
ブルガリア代表 (0) 0
日本    
GK 池田
DF 熊谷 高木 市瀬
MF 阪口 宇津木(佐々木) 中島(籾木) 中里(隅田) 長谷川(大矢)
FW 横山(上野) 田中(猶本)
コスタリカ    
GK ディンニア・ディアス(ノエリア・ベルムデス)
DF マリア・ホセ・モラレス(ダニエラ・クルス) マリアナ・ベナビデス カロル・サンチェス リクシー・ロドリゲス
MF グロリアナ・ビジャロボス(マリアフェルナンダ・チャバリア) シルレイ・クルス(ウェンディー・アコスタ) クリスティン・グラナドス
FW メリッサ・エレラ(ディアナ・サエンス) ラケル・ロドリゲス カルラ・ビジャロボス(マリエラ・カンポス)

*月日/場所
 国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)

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