試合詳細レポート

2010

KIRIN CHALLENGE CUP 2010試合結果 9/4(Sat)日産スタジアム(神奈川県)日本代表1-0パラグアイ代表

互いの良さをぶつけあう白熱の攻防に!

 2014FIFAワールドカップブラジルへ向けた第一歩を、新生SAMURAI BLUE(日本代表)が力強く踏み出した。2010FIFAワールドカップ南アフリカ後初の『キリンチャレンジカップ2010』が9月4日に行われ、日本代表がパラグアイ代表を迎え撃ったのである。
会場となった日産スタジアムは、6万5千人を越える大観衆で埋めつくされた。先のワールドカップでPK戦の末にベスト8進出を阻まれたパラグアイ戦は、選手はもちろんサポーターにとってもリベンジマッチである。高まる期待とともにキックオフされたゲームは、序盤から動きの激しいアップテンポな展開となった。
 最初にチャンスをつかんだのは日本だ。10分、右サイドの直接FKから、本田圭佑(CSKAモスクワ/ロシア)が得意の左足でゴールを狙う。4枚の壁をすり抜けた一撃が、相手GKを鋭く襲った。
 流れの中から好機が生まれたのは15分である。中村憲剛(川崎フロンターレ)のサイドチェンジを受けて本田が左サイドを突破し、中央へクロスを供給する。相手DFと競り合いながら、松井大輔(トム・トムスク/ロシア)が飛び込んでいく。迫力満点の攻撃だ。
 直後の右CKでは、栗原勇蔵(横浜F・マリノス)が強烈なヘディングシュートを浴びせた。4月の『キリンチャレンジカップ』以来の先発出場となった栗原は、持ち前の高さを生かして攻守に存在感を発揮していく。
原博実監督代行が采配をふるったこの日のチームは、先のワールドカップのメンバーがベースとなっていた。
4−2−3−1のシステムも、岡田武史前監督のもとで使い慣れてきたものである。「短い準備期間のなかでも、日本の良さを出せる」と原監督代行が語ったチームは、その言葉どおりのコンビネーションで相手ゴールへ迫っていく。
 見事な連携にスタジアムが沸き上がったのは35分だ。右センターバックの中澤佑二(横浜F・マリノス)が、トップ下の本田へ縦パスを通す。胸トラップと同時にターンした本田は、中央から右サイドのスペースへ流れた森本貴幸(カターニャ/イタリア)につなぐ。マーカーに激しくアプローチされた森本はややバランスを崩すが、それでも左足でボールをはたく。すかさずフォローした香川真司(ドルトムント/ドイツ)が抜け出す。ペナルティエリアへ侵入する。しかし、懸命に帰陣した相手CBにクリアされてしまった。
 前半の残り時間は、日本が立て続けに好機を作り出す。36分、長友佑都(チェゼーナ/イタリア)が左サイドのスペースを突き、ゴール前へ鋭いクロスを供給する。40分、左サイドから持ち込んだ香川が、1対2の局面を鮮やかなドリブル突破で打開する。45分、中村の右CKから中澤が決定的なヘディングシュートを放つ。
パラグアイの攻撃を受け止め、そのうえで相手ゴールを脅かしていく日本の戦いぶりは、勝利への意欲に満ちている。「パラグアイの堅陣をどのように崩していくのか」という試合前の興味は、「いつ、どうやって得点が生まれるのか」へ移りつつあった。

中村−香川のホットラインが炸裂!

 後半開始直後の46分、パラグアイが1本の縦パスから決定的なシーンを作り出す。試合巧者らしい、したたかな攻撃だったが、この一撃は日本選手のメンタルを引き締める効果があった。攻撃の勢いを強めた日本は、連続して相手ゴールへ迫っていくのだ。
 54分、香川が右サイドへ展開し、右サイドバックの内田篤人(シャルケ/ドイツ)がライナー性のクロスをゴール前へ。森本、松井、本田、香川の4人がペナルティエリア内へ押し寄せていくが、相手DFがギリギリでクリアする。
原監督代行が、最初に交代のカードを切ったのは60分だった。森本に代えて、岡崎慎司を投入したのだ。岡崎はそのまま1トップに入り、前線を活性化していく。
待ち望んだ瞬間は、64分に訪れた。敵陣中央で中村にボールをあずけた香川が、ボールを受けに下がった岡崎と入れ替わるようにゴール前へ走り出す。中村から縦パスが通る。ワントラップでシュート態勢へ持ち込んだ香川は、わずかな躊躇もなく右足を振り抜く。右ポストの内側に当たったボールは、そのままゴール内へ転がっていったのだ。
 予備登録選手としてワールドカップに帯同した香川は、紅白戦などで中村とともにプレーしていた。「シンジはああいう動きが好き。それは分かっていました」と中村は言う。互いの特徴を理解しているからこそ生まれた先制弾は、まさに原監督代行が求めていたコンビネーションだっただろう。
 香川のゴールが決勝点となり、日本はパラグアイにリベンジを果たした。新天地のドルトムントでレギュラーをつかんでいるチーム最年少の21歳は、国内のサポーターに成長した姿を印象付けた。 この試合を前に長谷部誠(ヴォルフスブルク/ドイツ)が離脱し、今野泰幸(FC東京)と遠藤保仁(ガンバ大阪)もコンディション不良でベンチに入ることができなかった。しかし、国際Aマッチデビューを飾った細貝萌(浦和レッズ)や、およそ4年ぶりの出場を記録した藤本淳吾(清水エスパルス)らが、躍動感溢れるプレーを見せた。
スタンドで見守ったアルベルト・ザッケローニ新監督は、「ワールドカップの試合は見ていたので、その意味では期待どおり、思ったとおりのチームだった」と語り、「試合終了のホイッスルが鳴るまで、チームとして機能していた」と選手たちの頑張りを讃えた。
 「ワールドカップを戦って、自分たちがどういうプレーをしていかなきゃいけないのかを、それぞれの選手が感じたと思うんです。それをピッチで出すことができたのでは。4年後へのスタートというよりも、これから(来年1月には)アジアカップもありますし、ワールドカップ予選もある。そのなかで、いいスタートを切ることができた」この日も安定感溢れるセーブを見せた川島永嗣(リールセ)は、引き締まった表情で言葉をつないだ。
2014年への船出は、フレッシュな力の意欲に満ちたものだった。

試合データ

■9月4日 神奈川・日産スタジアム
日本代表 [1-0] パラグアイ代表

日本代表選手集合写真 説明イラスト  1) DF 栗原 勇蔵
 2) GK 川島 永嗣
 3) DF 中澤 佑二
 4) FW 森本 貴幸
 5) MF 細貝 萌
 6) MF 本田 圭佑
 7) MF 松井 大輔
 8) DF 長友 佑都
 9) DF 内田 篤人
10) MF 中村 憲剛
11) MF 香川 真司
  • 日本代表選手集合写真
  • 説明イラスト
  •  1) DF 栗原 勇蔵
     2) GK 川島 永嗣
     3) DF 中澤 佑二
     4) FW 森本 貴幸
     5) MF 細貝 萌
     6) MF 本田 圭佑
     7) MF 松井 大輔
     8) DF 長友 佑都
     9) DF 内田 篤人
    10) MF 中村 憲剛
    11) MF 香川 真司

写真提供/©Jリーグフォト

<代表監督> 原 博実(代行)

<出場選手>

■9月4日/神奈川・日産スタジアム
日本代表 (0) 1 <香川真司>
パラグアイ代表 (0) 0  
日本    
GK 川島
DF 長友 内田(槙野) 栗原(岩政) 中澤
MF 松井(藤本) 香川(駒野) 中村憲 細貝 本田(橋本)
FW 森本(岡崎)
パラグアイ    
GK フスト・ビジャル
DF マルコス・カセレス(アダルベルト・ロマン) アントリン・アルカラス パウロ・ダシルバ
MF ホナタン・サンタナ(エルナン・ペレス) エンリケ・ベラ(セルソ・オルティス) アウレリアーノ・トーレス ネストル・オルティゴサ
FW ロケ・サンタクルス(ホセ・オルティゴサ) ネストル・カマチョ(セルヒオ・アキノ) ルーカス・バリオス(マルセロ・エスティガリビア)

*月日/場所
 国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)

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