「司令塔」の退場 —“プレッシングサッカー”の追求へ

　94年広島アジア大会の惨敗で解任されたファルカン監督に代わって、かつての日産自動車を強豪チームに育て上げた加茂周監督が94年末から指揮を執ることになった日本代表。この大会が地元初お目見えとなった。
　 開幕戦となった広島でのスコットランド代表戦は激しい雨の中のゲームだったが、広島出身の森島寛晃が代表デビューを飾った。前半途中に司令塔・ラモス瑠偉が負傷するアクシデントに見舞われ、日本はピンチに陥るが、結果 的にはスコアレスドローで終了した。1週間でチームを立て直して挑んだ国立競技場でのエクアドル代表戦では、相馬直樹、田坂和昭らフレッシュな顔ぶれが代表デビューし、さらに19ヶ月ぶりに中山雅史も代表復帰を果たした。゛プレッシングサッカー゛を目指す日本代表は、相手に厳しいプレッシャーをかけ、ボール扱いの巧みな南米の選手に仕事をさせなかった。中山がこぼれ球を拾って先制。後半には2回のＰＫをエース・カズが蹴り込んで3ー0。6月のアンブロカップ（インターナショナルチャレンジ）に向け、幸先の良い勝利となった。この大会で日本代表は、急成長する大きなきっかけをつかんだ。
　 優勝の行方は、すでにエクアドル代表を2ー1と破っていたスコットランド代表と日本に絞られていたが、得失点差で日本が上回り、4年ぶりの優勝を達成した。