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試合詳細レポート

2009

キリンカップサッカー2009
5月31日 日本代表×ベルギー代表

  国立競技場のピッチで、ブルーのユニフォームが躍動する。選手たちの生き生きとしたプレーが、4万2千人を超える観客の熱狂を誘う。記念すべき30回目の開催となった『キリンカップサッカー』は、最高の雰囲気のもとで最高のフィナーレを迎えることとなった。ヨーロッパの古豪ベルギーを4-0で退け、日本が大会3連覇を飾ったのである。
  5月27日のチリ戦から、岡田武史監督は先発メンバーを5人入れ替えた。2010FIFA ワールドカップ南アフリカTM  アジア最終予選のウズベキスタン戦を6日後に控え、「疲れを残さないようにやっている」という配慮からだ。
  だからと言って、チーム力が落ちることはない。「ベースができてきている。どんな相手でも変わらない部分が、選手たちの身体にしみこんでいる」と指揮官が話すように、誰が出場しても、どんな組み合わせでもチームのコンセプトが発揮されるようになってきたのだ。
  キックオフ直後の2分、日本はいきなり決定機をつかむ。左サイドバックの長友佑都(FC東京)の攻め上がりから、中村憲剛(川崎フロンターレ)がフリーでヘディングシュートを放つのだ。ベルギー守備陣の必死の対応に阻まれるが、意欲的な姿勢が観衆を沸かせた場面だった。
  9分にはボランチの長谷部誠(VfLヴォルフスブルグ/ドイツ)が魅せる。スピード豊かなドリブルで、敵陣を切り裂く。ペナルティエリア手前から放たれた一撃は、相手GKを鋭く襲った。
  12分には遠藤保仁(ガンバ大阪)の右足シュートが相手GKを脅かし、その直後には大久保嘉人(VfLヴォルフスブルグ/ドイツ)のシュートが左ポストを叩く。「積極的にシュートを撃っていこう」という共通意識が、チリ戦同様に序盤から発揮されていく。ゴールへの予感が、高まっていった。
  そして21分、日本が先制ゴールを奪う。得点者は長友だ。クロスを予測したGKをあざ笑うかのように、左サイドの深い位置から逆サイドネットを射止めたのだ。昨年の『キリンカップサッカー』で国際Aマッチデビューを飾った長友にとっては、1年間の成長を示すゴールと言ってもいいだろう。日本代表での通算2得点目は、同11月の『キリンチャレンジカップ2008』に続くものだ。
  そのわずか2分後、日本が再び興奮をもたらす。ペナルティエリア左でパスを受けた中村憲が、流れるようなターンでDFのチェックをふりほどく。右足から放たれたシュートが、ゴール左に突き刺さる。鮮やかなファインゴール!
  なおも日本は、攻撃の手を緩めない。38分、長谷部のボレーがバーを叩く。42分、右サイドに開いた中村憲のクロスを、岡崎慎司(清水エスパルス)がダイビングヘッドであわせる。
  前半終了のホイッスルが鳴り響くと、スタジアムは大きな拍手に包まれた。チリ戦と同じ光景である。観衆の期待に十分に応えるプレーを、日本の選手たちが見せていたからだろう。
  後半開始とともに、岡田監督は橋本英郎(ガンバ大阪)と本田圭佑(VVVフェンロ/オランダ)を投入する。退いたのは長谷部と中村俊輔(セルティック/スコットランド)だった。チリ戦に続いて先発出場したボランチの長谷部は、この日も精力的にピッチを駆け回った。右サイドのMFでプレーした中村俊は、いつもどおりにミスの少ないプレーで攻撃を支えていた。
  後半も試合の構図は変わらない。日本がアグレッシブに攻め、ベルギーが懸命に身体を張る場面が続く。
  アップテンポなパスワークが、得点につながったのは60分だ。橋本-本田-内田篤人(鹿島アントラーズ)とボールが動き、大久保が右サイドからライナーのクロスを中央へ。これを岡崎がダイビングヘッドで押し込んだのだ。「泥臭く突っ込んでいけた」と、本人も納得の2試合連続弾である。
  3-0となった直後の62分、遠藤に代わって阿部勇樹(浦和レッズ)が起用される。67分には中村憲が退き、興梠慎三(鹿島アントラーズ)が『キリンカップサッカー』初出場を果たす。70分には岡崎がベンチに下がり、矢野貴章(アルビレックス新潟)が2試合連続で途中出場する。
  ダメ押し点をあげるのは誰か。存在感を示すのは誰か。勝敗の行方はほぼ決しても、試合の興味は尽きない。残り時間が少なくなっても、日本の選手たちはゴールへの意欲を強く感じさせている。
  77分に生まれたダメ押しの4点目は、そうした姿勢のあらわれだっただろう。相手センターバックのファウルで敵陣左サイドからFKを得ると、橋本がすぐにリスタートする。本田を経由したボールは長友へわたり、二アサイドに飛び込んだ矢野が低くて速いクロスをダイレクトであわせたのだった。日本のクイックリスタートは、ベルギーの守備陣を完全に置き去りにしていた。
  2試合連続で4ゴールを叩き出し、しかも連続無失点という安定感を見せながら、日本は『キリンカップサッカー』3連覇を飾った。「しっかり勝利してウズベキスタンへ行こうというのが目標だったので、優勝は非常に嬉しい」と、岡田監督は語る。それでも、笑顔はなかった。
「この2試合は結果が出ているが、それがウズベキスタン戦の勝利を保障してくれるわけではない。何としても勝って帰ってきたい」
  ゲームキャプテンの中澤佑二も、引き締まった表情を浮かべた。
「無失点については、あまり意識していない。後ろのメンバーは、ピリピリしていないといけないですから。これで大丈夫だろうなとかいう、甘さがあってはいけない」
  快勝に浮かれることなく、足元を見つめ直す。油断もおごりもないチームは、世界の舞台目前に、決してブレることなく前進を続けている。

[文: 戸塚啓]

試合データ

■5月31日 国立競技場
日本代表 [4ー0] ベルギー代表

日本代表選手集合写真 説明イラスト  1) GK 楢 正剛
 2) MF 長谷部 誠
 3) DF 田中 マルクス闘莉王
 4) DF 中澤 佑二
 5) MF 中村 俊輔
 6) DF 長友 佑都
 7) MF 遠藤 保仁
 8) MF 中村 憲剛
 9) FW 岡崎 慎司
10) DF 内田 篤人
11) FW 大久保 嘉人
  • 日本代表選手集合写真
  • 説明イラスト
  •  1) GK 楢 正剛
     2) MF 長谷部 誠
     3) DF 田中 マルクス闘莉王
     4) DF 中澤 佑二
     5) MF 中村 俊輔
     6) DF 長友 佑都
     7) MF 遠藤 保仁
     8) MF 中村 憲剛
     9) FW 岡崎 慎司
    10) DF 内田 篤人
    11) FW 大久保 嘉人

写真提供/(c)Jリーグフォト

<代表監督> 岡田武史

<出場選手>

■5月31日/国立競技場
日本代表 (2) 4 <長友 佑都 中村 憲剛 岡崎 慎司 矢野 貴章>
ベルギー代表 (0) 0
日本    
GK
DF 中澤 田中(山口) 長友 内田
MF 中村俊(本田) 遠藤(阿部) 中村憲(興梠) 長谷部(橋本)
FW 大久保 岡崎(矢野)
ベルギー    
GK スティーン・スティーネン
DF トビー・アルデルウェイレルド セバスティアン・ポコニョリ
(イエル・ボッセン) ティミー・シモン ヒル・スウェルツ
トマス・ベルメーレン
MF ファリス・ハルン ケビン・ローランツ(ムッサ・デンベレ)
リッチー・ドゥラート
FW マールテン・マルテンス ビア・ムヤンジ(ステイン・フイセヘムス)

*月日/場所
 国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)

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