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試合詳細レポート

2006

キリンカップサッカー2006
第3戦 5月13日 日本代表×スコットランド代表

 5月11日のブルガリア戦で5−1の大勝を果たしたスコットランドは、3点差以上で負けないかぎり優勝することができた。それでも、「内容を伴った結果を残したい」(宮本恒靖)という日本には、戦いがいのある条件だった。
 この試合では浦和レッズと鹿島アントラーズの所属選手がスタメンに加わり、両足の違和感が癒えた久保竜彦が玉田圭司と2トップを組んだ。システムは4−4−2である。ダブルボランチは福西崇史と小野伸二で、遠藤保仁はこの日も攻撃的なポジションからスタートした。絶え間ない雨が降り続くコンディションである。
 試合の目的がはっきりしているぶん、そして何よりもこれが最後のアピールの機会ということもあり、日本の選手たちはブルガリア戦にも増して意欲的だった。4分、敵陣でパスを受けた遠藤の右足ミドルは、チーム全体に渦巻く積極性の表れだっただろう。

 最初の決定機は23分に訪れた。右サイドから持ち込んだ加地亮が、内側に切れ込んで左足を振り抜く。GKアレクサンダーにセーブを許さないシュートは、残念ながら右ポストを叩いてしまった。こぼれ球に反応した久保のシュートは、ワクを捕らえられなかった。「我々は40時間前に試合をやっていたので、守りに照準を合わせたゲームとなった」というウォルター・スミス監督の言葉どおり、スコットランドはリスクを排除したゲームプランを選んでいた。守備の備えを最優先したポジショニングである。
 2トップが前線で起点になるのは難しい状況下で、活路を見出したのはMF陣だ。29分、小笠原が力強いドリブルでマークを振り切り、ゴール正面から右足で狙う。ミドルレンジからのシュートはワクを捕らえ、相手GKは辛うじてセーブで逃れた。
 さらなる決定機は42分だ。三都主のタテパスを玉田がダイレクトでつなぐと、ペナルティエリア内でパスを受けた小野がDF2人をかわす。巧みのステップののちに放たれた一撃は、惜しくもGKに弾かれてしまった。こぼれ球を詰めた小笠原のシュートも、DFにブロックされてしまう。

 後半開始直後には、予期せぬ選手交代があった。相手FWと空中戦を競り合った中澤佑二が、右目付近にひじうちを食らったのだ。ピッチ外までタンカで運ばれた中澤はそのまま交代し、急きょ坪井慶介がセンターバックに入った(ケガは大事に至らなかった)。
 思わぬアクシデントに見舞われた日本だが、チームの勢いは失われなかった。52分、小野のスルーパスから遠藤が右サイドを抜け出し、グラウンダーのクロスをゴール前へ。待ち構えた小笠原が右足で合わせたが、ゴールカバーに入ったDFにかき出されてしまう。惜しい!
 勝利だけでなくより多くの得点も必要なだけに、ジーコ監督の動きは早く、しかも攻撃的だった。62分に久保を下げて巻誠一郎を投入し、73分には遠藤に代えて佐藤寿人を送り出す。システムは巻、玉田、佐藤寿による変則的な3トップとなった。
 前線の3人はルーズボールに食らいついた。小さなきっかけさえ見逃さなかった。彼らの頑張りがチームに新たなリズムをもたらし、日本はスコットランドの守備陣を追い詰めていく。
 後半終了間際には、三都主が見せ場を作った。ペナルティエリア付近でつかんだ2度の直接FKを、いずれもワクへ持っていったのである。しかし、最後までゴールをこじ開けることはできなかった。

 1分け1敗の日本は勝ち点1で3位に終わったが、決して悲観することはない。2試合ともに相手を上回るシュートを記録し、数多くの決定機を作り出したのは改めて評価されるべきだ。ま た、高さと強さを備え、カウンターアタックを仕掛けてきたスコットランドを無失点に封じたのは、ワールドカップへのシミュレーションとなったはずだ。
 ジーコ監督にも悲壮感はなかった。「あれだけ引かれると、相手の守備を崩すのは難しい。それでもサイドから、中央から、と数多くのチャンスを作り、シュートを打った。今日の試合内容は、いままでやってきたことに確信をもたらしてくれるものだった」
 登録メンバーについても言及した。「4年間で多くの試合を戦ってきた。そのすべてがいい経験となっている。そのなかでチームへの貢献度や個々の力を公平に考えて、23人の選手を選びたい。ヨーロッパでプレーしている選手もJリーグの選手も関係なく、日本にとってベストの23人を選びたい」

 こんなデータがある。
 2003年の『キリンカップサッカー』は、直後のコンフェデレーションズカップへの助走となった。ジーコ監督が初タイトルを獲得した04年の今大会は、アジアカップへのジャンピングボートとなった。2連敗を喫した昨年の『キリンカップサッカー』は、ワールドカップ最終予選へ向けてチームが一丸となったきっかけとなった。
 ワールドカップ直前の『キリンカップサッカー2006』は、チームに何をもたらしてくれたのだろうか。ひとつだけ言えるのは、今大会直後の日本は技術的にも精神的にも質の高いプレーを見せるようになる、ということだ。もちろん、06年も期待大である。

[文: 戸塚啓]

試合データ

■5月13日 埼玉・埼玉スタジアム2002
日本代表 [0ー0] スコットランド代表

日本代表選手集合写真 説明イラスト  1) MF 福西崇史
 2) DF 三都主アレサンドロ
 3) FW 久保竜彦
 4) MF 中澤佑二
 5) DF 加地亮
 6) GK 川口能活
 7) FW 玉田圭司
 8) MF 遠藤保仁
 9) FW 小野伸二
10) MF 小笠原満男
11) DF 宮本恒靖
  • 日本代表選手集合写真
  • 説明イラスト
  •  1) MF 福西崇史
     2) DF 三都主アレサンドロ
     3) FW 久保竜彦
     4) MF 中澤佑二
     5) DF 加地亮
     6) GK 川口能活
     7) FW 玉田圭司
     8) MF 遠藤保仁
     9) FW 小野伸二
    10) MF 小笠原満男
    11) DF 宮本恒靖

写真提供/(c)Jリーグフォト

<代表監督> ジーコ

<出場選手>

■5月13日/埼玉・埼玉スタジアム2002
日本代表 (0) 0
スコットランド代表 (0) 0
日本    
GK 川口
DF 三都主 加地 宮本 中澤(坪井)
MF 福西 小野 小笠原 遠藤(佐藤)
FW 久保(巻) 玉田
スコットランド    
GK アレクサンダー
DF ウィア マーティ(マクナミー)  アンダーソン ネイスミス(マレー) G・コルドウェル
MF マクローチ(ミラー) ティーレ(バーク) セベリン(レイ) フレッチャー
FW マクファデン(ボイド)

*月日/場所
 国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)

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