加茂ジャパン、完成の域へ—アトランタ五輪出場というスパイス

　Ｕ-23（23歳以下）日本代表が28年ぶりの本大会となるアトランタ五輪出場を決め、日本中が盛り上がっていたこの時期。「キリンカップサッカー96」はメキシコ代表、ユーゴスラビア代表を招いて行われた。
　メキシコ代表対ユーゴスラビア代表という技巧派同士の開幕戦は、両者譲らず無得点引き分け。
　第2戦で日本代表は、名古屋グランパスエイトで活躍するストイコビッチを軸に、 サビチェビッチ、ユーゴビッチらスター揃いのユーゴスラビア代表と対戦した。 日本代表には、加茂監督の下で急成長した右サイドバック・柳本啓成、 名波浩らが名を連ね、この強豪相手に一歩も引かないサッカーを見せる。後半17分には森島寛晃、長谷川祥之、名波の組み立てからカズが決め、1-0で辛勝した。
　優勝のかかった最終戦は、北中米カリブ海地域のチャンピオンで、アメリカワールドカップでも活躍した 名ＧＫカンポス率いるメキシコ相手。鋭い出足で前半16分までに2点をリード されたが、ここから日本のミラクル逆転劇が始まった。前半終了間際に森島が 代表初ゴールを決め、さらに後半に入るとカズのゴールで同点へ。そして試合終了8分前に相馬が決勝点をあげ、3-2の勝利で文句なしの2連覇を達成した。
　 「今はどんな相手と戦っても勝てる気がする」と相馬が話したように、この頃の日本代表は上昇気流に乗っていた。