【と】
徳田八十吉(とくだやそきち)
1933-2009。色彩の名手として知られた九谷焼の大家。絢爛豪華な色絵装飾から現代的でポップな図柄まで、九谷焼の魅力はなんといっても自由な発想による色彩のハーモニーにあると言えます。まるでオーロラのように波打つ鮮やかな群青色のグラデーションは、「燿採」と呼ばれる独自の技法によるもの。まさに三代目の真骨頂ともいえる世界です。

ドルトムンダー(どるとむんだー)
ドルトムントで生まれた色の淡い下面発酵ビール。北ドイツの工業地域として知られるドルトムントは、20世紀初め頃には醸造所が120ヶ所以上もあった、ドイツ最大のビール生産都市。ドルトムンダー誕生のきっかけは、1840年代のラガー人気にあります。色の淡い下面発酵のビールはピルスナーを参考に造られています。しかし麦芽を低温で2日浸漬させたり、ホップの特徴を控えめにするなど、ピルスナーとは異なる部分があるため、生産地の名を取ってドルトムンダーと呼ばれています。

【な】
軟水(なんすい)
カルシウムやマグネシウムの金属イオン含有量が少ない水のことです。逆のものは硬水といいいます。ビールの場合はその色を決めるのは水の硬度です。軟水を使用して醸造したビールは淡色のビールになります。日本では関東地方の一部と南西諸島のみが硬水で、それ以外の地域では軟水です。

【に】
二条大麦(にじょうおおむぎ)
大麦のなかでもビールの原料になる大麦。ビール麦とも呼ばれています。主な生産地は、四国・中国・九州など西日本が多い。粒が大きく、穀皮が薄いという特徴があります。ビール製造工程では、二条大麦を一度発芽させて大麦中の酵素が活性化したところでビールの原料になります。発芽させた大麦のことを麦芽といいます。

日光臭(にっこうしゅう)
ビールの苦み成分であるイソフムロンが日光によって分解され、硫化水素と反応して発する臭い。イソフムロンは苦みだけではなく抗菌性もあり、ビールの泡にも大きな影響を与えている必要不可欠な成分です。ビール瓶が茶色あるいは緑色をしていたり、パッケージに直射日光をさけるように注意書きがされているのは、ビールの品質が日光によって大きく変質してしまうからです。

二番搾り麦汁(にばんしぼりばくじゅう)
もろみから最初に流れ出てくる「一番搾り麦汁」を抽出した後、そのもろみに湯を加えてろ過した麦汁。「一番搾り麦汁」抽出後のもろみには、ビールの原料となり得る成分が大量に含まれています。その成分を溶かし出し、原料の利用効率をより高くするのが二番搾り麦汁です。一般的なビールは、一番搾り麦汁と二番搾り麦汁でできています。

ニュンフェンブルグ(にゅんふぇんぶるぐ)
1743年、選帝侯磁器工場として設立したニュンフェンブルグ。ウィーン窯で磁器の奥義を修得したリングラーを迎え、1753年にマクシミリアン3世念願の磁器焼成に成功し、この窯の最盛期の幕を開けます。今なお成形から絵付けまですべて手作業で、絵具は昔と同じ処方箋、動力は水車を利用しています。ロココ様式の磁器人形デザイナーとして名高いブステリのデザイン画や銅版画などを忠実に再現しています。

ニンカシ(にんかし)
古代メソポタミアにおけるビールの醸造を司る女神。「口を満たす」が名前の意味。ニンカシを讃える歌の一節に「ニンカシよ、あなたは樽からビールを注ぐ、チグリス、ユーフラテスの流れのように」というものがあります。これは樽のビールを別の容器へと移し替える様子を歌ったもので、そうすることで、ビール中の麦殻やゴミをろ過させ、品質の向上をはかったと考えられています。

【の】
ノニック(のにっく)
容量568ml(英国)のパイントグラスの上部にある特徴的な膨らみのこと。グラスに指がかかりやすいように配慮されたもので、この膨らみのおかげで香りがグラス内に滞留し、最後まで香りを残す効果もあります。パイントグラスは、チビチビと味わいながら香りを楽しむペールエールと相性が良いグラスです。

【は】
バーレイ(ばーれい)
バーレイとは大麦のこと。バーレイの名を冠した代表的なビールは「バーレイワイン」です。アルコール度数の高いエールを作るを目的に醸造されたビールが「バーレイワイン」です。特徴であるアルコール度数は8〜12%。熟成期間は半年以上。濃厚なボディに負けないよう、麦芽とホップを大量に使用し、さらに熟成される過程で木樽の香りが移り、複雑な風味を作り出します。

パイントグラス(ぱいんとぐらす)
チビチビと味わいながら香りを楽しむエールに最適なグラス。容量は英国で568ml、米国で473ml。グラス上部にのニックという特徴的な膨らみがあります。これはグラスに指がかかりやすいように配慮されたもので、この膨らみのおかげで香りがグラス内に滞留し、最後まで香りを残す効果もあります。香り高いビールや芳醇でコクのあるビールに最適です。パイントグラスは大きめのグラスですが、そのちょうど半分量のハーフパイントグラスがあります。

麦汁(ばくじゅう)
製麦工程でできた麦芽を仕込釜に入れて、湯を加えて、さらにホップを加えてできた汁。最初に流れ出てくる麦汁を「一番搾り麦汁」といい、殻からしみ出す渋味成分が少ないので、できあがったビールにさっぱりとした味わいとストレートなのどごしをもたらすことができます。さらにもろみに残っている糖分を得るため湯を加えろ過した麦汁を「二番搾り麦汁」といいます。

発酵(はっこう)
麦汁中の糖分が酵母によりアルコールと二酸化炭素に分解される生化学反応のこと。酵母は、糖分しか利用できないため、発酵前には、穀物のでんぷんをアミラーゼにより糖に分解します。発酵をもたらす酵母には、上面発酵酵母と下面発酵酵母があります。現代のビールは下面発酵が主流ですが、上面発酵が利用されているビールも人気です。

パトリック・マクガヴァン(ぱとりっく・まくがゔぁん)
ペンシルヴェニア大学考古学人類学博物館の分子考古学者。1961年にイランで発見されたゴディン・テペ遺跡から出土した壺の破片に付着した「残留物」からビールの痕跡を発見。分析の結果、今からおよそ5000年前に六条大麦を使った醸造過程で生まれた「炭素のカス」であることを突き止めます。1992年11月5日発行の『Nature』誌で「史上最古のビールの発見」を発表しました。

ハンムラビ法典(はんむらびほうてん)
紀元前1800年代後半、古バビロニア王国の第6大王ハンムラビが制定した法典。「目には目を、歯には歯を」の条文で有名ですが、ビールにまつわる条文もいくつか記されています。人々の生きる糧であったビールは、時に通貨と同等の役割を果たし、俸給外の手当としてビールが支払われることもありました。俸給と同等の価値があるビールだからこそ、条文に記して厳格に管理していたのです。

【ひ】
ビール純粋令(びーるじゅんすいれい)
1516年4月23日にバイエルン公ヴィルヘルム4世が制定した法。「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」という内容の一文が有名です。ビール純粋令はバイエルンのビールを飛躍的に向上させました。1551年の改訂では「酵母」の存在が確認され、ビールの主原料として追加され、翌々年には、15世紀末から始まった「下面発酵ビール」として明記されています。今日もなおドイツ・ビールの精神として息づいており、現在でも有効な食品に関連する法律としては世界最古の法律です。

ビヤマグ(びやまぐ)
ビールを飲むために作られた、円筒形で把手のついた陶製、ガラス製、または金属製の器。そのために口縁部や形状にも特徴があります。ビールジョッキとの違いは、ジョッキが飲むためだけでなく、ときには注ぐことも用途に入れた器であるのに対し、マグは飲むためだけの器であるという点です。ジョッキには、しばしば口縁部に注ぎ口が付けられていますが、マグにはありません。また使用用途から把手の形状も異なります。

ピルスナー(ぴるすなー)
チェコのボヘミア地方のピルゼン市を発祥とするビールのスタイルの一種。淡色の下面発酵ビールであり、ホップの苦味が特長です。ボヘミア地方は、古くから世界最高級のホップの産地として知られ、ビールの醸造にも熱心で、近隣のドイツ南部ミュンヘンのラガー・ビールから強く影響を受けたことが誕生のきっかけ。これまでの上面発酵に代えて、ラガー・ビールへ転換し、市民醸造所を発足。本場ミュンヘンから醸造師を招聘し、ピルゼンのラガー・ビール「ピルスナー」が生まれました。

ビングオーグレンダール(びんぐおーぐれんだーる)
ビングオーグレンダールは、1853年の設立以来、王立のロイヤルコペンハーゲンと技術を競い、デンマークの陶芸界を牽引した誇り高い窯です。白地に鮮やかなコバルトブルーで描き出す絵画的な絵付けの他、花や動物、人形をかたどったフィギュリンでも、独自の世界を展開してきました。その一つひとつの作品に、伝統の製法を守り続ける職人の誇りを込めたサインが施されています。世界で最初に手掛けたクリスマスプレートは、1895年以来、1年も欠けた年がないことでも有名です。

【ふ】
副原料(ふくげんりょう)
麦芽、ホップ、水を除いた原料のこと。使用可能な副原料には米とコーン、スターチなどがあります。その役割は、ビールをまろやかにしたりすっきりさせたりします。ビールの香味、発酵度などのコントロールや泡立ちの調整にも役立っています。とくに米はビールの風味を向上させ、日本人のし好に合った味に麦汁成分を調整する役目をします。

藤原雄(ふじわらゆう)
1932-2001。人間国宝の藤原啓の長男として生まれた。無釉・焼き締めという古備前の美意識を継承しながら、簡潔・明快・豪放な作風で備前“藤原手”を確立しました。また、欧米の展覧会等を通して、備前焼の奥深い魅力を積極的に伝えた功労者でもあります。96年に人間国宝に認定され、親子二代に渡る快挙となりました。

フッチェンロイター(ふっちぇんろいたー)
1814年、ドイツ初の私企業陶磁器メーカーとして誕生したのが、フッチェンロイターです。自分の手で磁器を作りたいという絵付師カルル・マグヌス・フッチェンロイターの熱意が、時の王、バイエルン国王の心を動かし、王立以外の開窯を認めさせたのでした。現在、ヨーロッパ最大級の生産規模を誇る磁器メーカーへと発展しています。

ブラインド・テイスティング(ぶらいんど・ていすてぃんぐ)
専用のグラスに注がれたビールを、予備知識ゼロのまま飲んで、味わいを伝えあったり、銘柄を予想したりすること。その目的は、頭の中をカラッポにして、ビールの味だけに集中するため。これによってビールについての豊かな「対話」ができるようになります。あらゆる感覚を研ぎ澄ませ、自分の感じたまま、思ったままに、ビールのうま味を表現して伝えるのがテイスティング。すなわち「対話」こそがテイスティングの醍醐味。そこに正解はありません。

フルート型グラス(ふるーとがたぐらす)
通常のグラスに比べて細くて高さがあるグラス。このグラスにビールを注ぐと、その落差で、キメ細やかな泡が踊り、アロマが泡下から立ち上がります。また空気に触れる面が少なく、炭酸が抜けにくいという特徴もあります。ピルスナースタイルのビールと相性が良く、専用のピルスナーグラスもありますが、細身のグラスが映しだす明るい黄金色も、気分を高めてくれます。

