Hello!あたらしい生茶。時代とともに軽やかに進化する『生茶』ブランドのこれまでとこれから

キリン公式noteより(公開日2023年5月8日)

緑茶は、日本のソウルドリンクとも言える存在。かつては急須で淹れて飲むものでしたが、今ではペットボトルでいつでも気軽に楽しむことが当たり前となっています。

お茶の味わい方を変え、楽しみを拡げることに貢献してきた『生茶』。2000年に誕生して以来、23年の間、少しずつ進化をくり返しながら、いつもその時代に寄り添う「おいしいお茶」を追求してきました。

この春、4月4日にリリースした『生茶』のリニューアルに合わせて、ブランドのこれまでを振り返り、これからを考えていく連続企画「読む生茶〜これからのお茶〜」がスタートします。

1本目となる今回は、『生茶』のこれまでの歩みを改めて辿ります。ブランド誕生のエピソードや苦境時に挑んだ起死回生の試み、そして新『生茶』への想いをマーケティング担当の飯髙宏美が語りました。

『生茶』誕生の背景

日本で初めて缶入りの緑茶が登場したのが1985年。それから90年代にかけて多くの緑茶飲料が発売されました。そのほとんどが、急須で淹れたお茶をそのままペットボトル飲料にしたような“苦み・渋み”を強調したもの。味覚の差別化がほとんどない状況でした。

「そこで私たちは緑茶に対して“すっきり”、“うまみ、あまみ“というニーズがあることに着目したんです。急須のお茶をそのままペットボトルで表現するのではなく、ペットボトルのお茶ならではのおいしさを表現すべく、中味を設計したと聞いています。

お茶の印象に対するお客さまのニーズは急須で淹れた苦くて渋いものだけでないこと、それから当時のお客さまのお茶に対する味覚の満足度の低さに注目したと。日本の伝統に敬意を払いつつも、お茶の新しいおいしさを届けるべく、本格緑茶飲料の開発に着手しました。

その過程で出てきたのが『お茶に生』という発想です。このネーミングは、生ビール、生ハム、生チョコなど、“生”のおいしさのイメージから発想を得たものですが、決してブームに乗ったわけではなく、お茶の新鮮さやあまみに注目したとき、みずみずしく爽やかな生茶葉の抽出物がポイントになったことが『生茶』の誕生につながっています(※)。

緑茶の渋み成分としてよくカテキンが注目されますが、テアニンというあまみをもたらすアミノ酸も含まれているんです。『生茶』ではそのテアニンを多く含む玉露とかぶせ茶を使うことで、それまでにはなかった“うまみ・あまみ”を活かした味わいを実現させました」(飯髙)。

※お茶には「生」に関する定義がないため、誤認を防ぐためにパッケージに生茶葉抽出物を使用している旨と、加熱処理している旨を記載しています。

『生茶』を振り返るために用意した社内資料の数々

お茶にも、『生』があったんだ。”と書かれた広告の効果もあり、これまでの固定概念を崩すような、“爽やかで飲みやすい、新しいお茶”というイメージが拡大していきました。

「発売当時の広告は、フレッシュさと本格派という『生茶』のコンセプトを表現するために松嶋菜々子さんと高倉健さんを起用したことが話題になりました。当時タレント二人を起用することはあまりなかったようです。担当者によると、『まさにこのCM!』と思えるほどイメージとアウトプットが一致したCMは後にも先にもないというくらい、うまく『生茶』の世界観を表現できたと。

実は発売当時というのは缶コーヒーの『FIRE』が大ヒットしていた時代で、営業チームの関心は薄かったそうです。ただ、コンセプトや中味を知り、そして担当者の熱量に触れるうちに『これはペットボトルのお茶の時代が来るかもしれない』と営業チームの反応も徐々に変わっていったと聞いています」(飯髙)。

結果的に2000年の清涼飲料市場で最大のヒット商品に。「お茶は急須で淹れるもの」という感覚から、「いつでもどこでも飲めるパーソナルな水分補給飲料」というように、価値観を大きく変えるきっかけとなります。

大ヒット後の変遷と、試行錯誤の道のり

飯髙がまとめた社内のパッケージ変遷資料より抜粋

『生茶』のヒットを皮切りに日常生活に緑茶が定着し、緑茶ブームとも言える状況に。『生茶』のおいしさが広く知られた一方で、他社からもペットボトル緑茶が発売され、緑茶飲料の選択肢も増えました。

その影響もあり、2005年をピークに『生茶』の売上は減少傾向になっていきます。2016年に大きなリニューアルをするまでの約10年間は、『生茶』にとって苦境の時代となりました。

「ペットボトルの緑茶が増えたことで、お客さまの中に『ペットボトルのお茶なんてだいたい同じ』という感覚が広がっていったようです。そのなかで、『生茶』は独自性を打ち出せずに売上が低迷する期間が続きました。2000年当時からのコンセプトである“生”の価値が、“薄い”と捉えらえてしまうこともあり、“緑茶風ドリンク”と呼ばれてしまったこともあったようです。

その苦境をなんとか乗り越えようと、マーケティング担当者もかなり試行錯誤していました。2011年には炭酸入りの『生茶 ザ・スパークリング』や2015年は熱中症対策の『しお生茶』を発売するなど、新しいお茶の世界を切り開くため、様々なことに挑戦した時期でした」(飯髙)。

なかなかうまくいかない時期が続き、競合と差がついていったことで、もう後がない状況に。そこで、起死回生を賭け挑んだのが2016年のフルリニューアルでした。

「今のリーダーが当時のリニューアルを担当していたのですが、“業界最安値でも売れない生茶”という状況だったようで、ゼロからのスタートではなくマイナスのスタートで挑んだリニューアルだったと話していました。

営業担当も、ブランド担当の『来年こそ生茶を再生する』という言葉を信じ、『生茶』が回復するまで…となんとか繋げていたようですが、『2016年でやらないともう持たない』という声も出ていたくらい、ひっ迫した状況だったそうです。

そんな中で挑んだ2016年のリニューアルは、『生茶』にとっての大きなターニングポイントとなりました。チーム内で、『市場主義的な発想ではなく、緑茶カテゴリー自体を拡げていけるような、“現代に合うおいしいお茶”をつくるために、丁寧に真摯に開発に取り組もう』という大きな目標を掲げて挑んだものだったそうです」(飯髙)。

リニューアルは、『生茶』の価値を再定義するところからスタート。「お茶の生命力をまるごと引き出した緑茶」をコンセプトに、中身も容器もデザインも、すべてが刷新されました。

飯髙がまとめた社内のパッケージ変遷資料より抜粋 

「デザインはガラスボトルをイメージした現代的でスタイリッシュなものになりました。中味についても、うまみや香りがより引き立つように製法を見直し、『微粉砕茶葉』製法を採用しています。

ボトルの形状を変えたり、新しい製法を採用することには、相当な困難があったと聞いています。テストキッチンの規模でつくるのではなく、製造ラインで安定した味をお客さまに届けるというミッションがある以上、各部の様々な協力が必要。『生茶のリニューアルを絶対に成功させる』という各部門に対する絶対的な信頼と覚悟があったようです。

その結果、売上を大きく成長させることに成功しました。お客さまが“今、求めている緑茶”にフィットする商品を提供することができただけでなく、“日常を少しうれしくする質のいいもの”というイメージにつなげていくことができた結果だと思います」(飯髙)。

「品質と革新性」を磨いた2023年のリニューアル

その後も時代に合わせて進化を重ねてきた『生茶』は、この4月にも大きなリニューアルを実施することに。

「実は、2022年にもリニューアルをしています。しかしながら、お客さまが『生茶』に求めている価値と、ブランドとして打ち出したい価値に乖離があることがわかってきたんです。

ちょうどその頃、上司から『生茶は開発当時から、生ブームに乗った奇抜な新しいものを求めているブランドではない。伝統的なお茶に敬意を払い、素材に真摯に向き合い、時代に合わせてお茶の可能性を広げ続けているブランドだ』と言われたことがありました。

お茶は、茶葉に熱湯を注げば簡単に淹れられるけれど、『生茶』は生茶葉の鮮度を保ち、極限まで細かく砕いて抽出するなど技術を進化させながらこだわり抜いてつくっています。生茶ブランドの本当の強みは、“生であること”より以前に、茶葉という自然なものの可能性を広げ続けるための品質と革新的なものづくりではないかと気づいたんです。

そしてお茶のカテゴリー自体をアップデートしていくのはここに鍵があるのではと思い、2023年のリニューアルに挑みました」(飯髙)。

中味は今の時代のお茶の飲用実態にフィットするような「飲みやすさ」と「しっかりとしたお茶の味わい」を両立するバランスを追求し、細かなチューニングを実施。お茶の伝統的なつくり方を継承しながらも、「生茶葉鮮度搾り製法」や「かぶせ茶マイクロ粉砕」などの革新技術を用いて、緻密なバランスを探ってつくりあげています。

「『生茶』が品質と革新的なものづくりによってつくられた、現代的な本格緑茶であるということを改めて伝えたいですね。今回は『生茶』独自のテクノロジーを売場でも知っていただけるよう売場での展示にも工夫しているので、ぜひ注目してもらえたらうれしいです」(飯髙)。

パッケージにはメタリックな質感がプラスされ革新性が伝わるようなデザインに。

「店頭で手に取るとキラッと光るようなカラーと印刷にこだわりました。背景の紋のデザインを現代的なバランスに調整したり、細かい部分もアップデートしています。緑茶に馴染みのある世代から若い世代まで、持ち歩きたくなるような、気分が上がるようなデザインを意識しました。古風で伝統的なイメージのあるお茶に、スタイリッシュで新しいイメージを付与できればいいなと思っています」(飯髙)。

ボトルは2022年と同型ながら、再生PET樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」やロールラベルという少し短いラベルを拡大するなど環境にも配慮されたボトルにアップデートされました。

お茶のこれからは「静」から「動」へ

最後に、これからの『生茶』がめざすものについて聞いてみました。

「ちょうど最近チームで、『生茶ってどんなブランドなんだろう』と改めてじっくりと話す時間があったんです。『生茶』って一言でいうと何だろう、お客さまにどんな喜びを与えられるだろうかと、白熱しながら語り合いました。

そこでひとつみんなの共通認識としてあったのが、『生茶』では旧来のお茶のホッと休息するだけじゃなく、一口飲んで、また前を向いて動き出すというようなことができればなと。現代の人は前を向いていろいろ頑張りたいけど、毎日忙しいしストレスも多いですよね。

理想とのギャップでもやもやすることや、日々の生活で前向きな気持ちを失いそうになる瞬間もあると思うんです。だからこそ『生茶』は、一口飲むだけで気持ちを晴れやかにしてくれる、これまでのお茶になかったワクワクするような新しい提案で心を満たしてくれる、そんな存在でいたい。

緑茶は日本が誇るソウルドリンク的な存在だと思うのですが、今は飲料を楽しむシーンもどんどん多様になっています。お茶のイメージも、急須で淹れた温かいお茶を座ってゆっくり飲むという『静』の時間だけじゃなくて、ペットボトルのお茶を持ち歩いて、さっと飲んで次へ行くという『動』の感覚へ変化していっていると思うんです。

でも、『いいお茶」のイメージはまだまだ『静』の状態で止まってしまっている。そのギャップをなくして、現代的なアクティブでスタイリッシュなものに『生茶』を通して進化させていきたいです。

日常のなかのいろいろなシーンで、『生茶』があるとちょっとうれしいなと思ってもらえるようなデザインと生茶葉のおいしさを、今回のリニューアルに込めました。キラリと光るあたらしい『生茶』を、ぜひ試してみてください!」(飯髙)。

あたらしい『生茶』が全国で発売中!

まる搾り生茶葉抽出物 加熱処理

原料の配合バランスを見直すことで、お茶本来の味わいを担保しながら、よりすっきりとした味わいにブラッシュアップした『キリン 生茶』が4月4日より発売中。シンプルな佇まいと光沢感のあるラベルで、生茶の「品質感」と「革新性」を体現した新デザインです。

お客さまからも「今までのお茶とは違う感じ!」「きらりと光るパッケージがスタイリッシュ!」「お茶感がありつつも、飲みやすい!」と好評をいただいております。

【プロフィール】飯髙 宏美

キリンビバレッジ株式会社 マーケティング部 ブランド担当
2017年に入社し、仙台で3年間営業として経験を重ねたのち、2020年からマーケティング部に異動。『トロピカーナ』などの商品開発や広告制作に携わったのち、2022年4月から『生茶』ブランドを担当している。

文:坂崎麻結新しいウインドウで開きます
写真:田野英知新しいウインドウで開きます

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