研究から販売まで、全社員が「お客様の顔が見える」ファンケルのコミュニケーション術

キリン公式noteより(公開日2021年11月9日)

銀座の真ん中に、肌と健康のパーソナルカウンセリングが受けられたり、美しい空中庭園を散策できたり、さらには健康的な食事までできたりする施設があるのをご存知ですか。

2019年に資本業務提携を結んだ“食と医のキリン”と、“美と健康のファンケル”。両社の共通項や企業文化を紐解き、互いに補完しあうこれからの可能性を探る企画「 #ファンケルとキリン 」。第2回は、キリンビバレッジ マーケティング部の松岡祥子と二宮倫子が、美や健康の可能性を発見できる店舗「ファンケル銀座スクエア」を訪問しました。

ファンケルの強みである「お客様とのつながり」をテーマに、お客様とのつながりを育む姿勢、それを生かすための仕組みについてファンケル銀座スクエア館長の遠藤慎一さんから学びます。

第1回「身近な人の『不』を解消するために。ファンケルとキリンが共に描く未来」

【プロフィール】遠藤慎一

株式会社ファンケル ファンケル銀座スクエア館長
2000年入社。店舗研修を経て、人事部へ配属。その後、2005年~2016年まで銀座スクエアで勤務し、副館長としてフロア運営、全館プロモーションなどを担当。2016年~2021年まで店舗販売企画部にてファンケルショップ全店の店頭プロモーションなどを担当し、2021年6月より現職。

【プロフィール】松岡祥子

キリンビバレッジ株式会社 マーケティング部 アシスタントブランドマネージャー
2008年入社 3年間営業として経験を重ね、2011年より現職。
これまで炭酸やトロピカーナを担当し、戦略から商品開発と広告制作などに携わる。2021年よりファンケルとのコラボブランドを担当。

【プロフィール】二宮倫子

キリンビバレッジ株式会社 マーケティング部
2010年入社。3年間営業として経験を重ね、2013年より現職。
これまで午後の紅茶やキリンレモンを担当し、戦略から商品開発と広告制作などに携わる。2020年よりファンケルとのコラボブランドを担当。

銀座の真ん中にある“美と健康のテーマパーク”

遠藤さんにファンケル銀座スクエアをご案内いただきながら、実際に体験できることや銀座スクエアならではのお客様とのつながりについて伺いました。

二宮:10階から地下1階までぎっしりとファンケルさんの魅力が詰まっていますね!数あるファンケルさんの店舗の中でも、旗艦店である銀座スクエアはどのような特徴があるのでしょうか?

遠藤:ショップとしての機能だけではなく、ファンケルブランドの旗艦店として、ファンケルの魅力をさまざまな体験を通してお伝えしていることが1番の特徴です。ファンケル銀座スクエアには、ショップフロアからパーソナルカウンセリングフロア、健康体験フロア、カフェ・レストラン、ロイヤルラウンジなど、さまざまな“体験”が詰まっています。

7階の「元気ステーション」では遊びながら健康チェックができる。

松岡:各フロアにそれぞれのプロフェッショナルがいらっしゃって、まさに美と健康のテーマパークのような場所だなと思いました。

遠藤:すべてのフロアをご体験いただくと、美と健康への知識とともに、ファンケルのブランドへの理解も深めていただくことができると思います。
そして、ファンケル銀座スクエアは従業員にとっても「お客様とつながる」とても大切な場所なんです。

5階の「パーソナル カウンセリング ビューティー」には研究員が角層を解析するラボがあり、ショップと研究が融合したフロアとなっている。

二宮:たしかに。特に5階のカウンセリングフロアに研究員さんがいたのは驚きましたね。自分が愛用している商品を研究・開発している方に直接質問できる機会なんてそうそうないですし、ついあれこれ聞きたくなっちゃいました。

ファンケル銀座スクエアは買い物に来るというよりも、遊びに来るという感覚のほうが近そうですね。

遠藤:今から18年前の2003年に、創業者の池森が「ファンケルを支えてくださっているお客様への感謝の場として、お客様にとことん楽しんでもらえるような楽園を銀座に作りたい」という恩返しの気持ちでオープンしたのが、ファンケル銀座スクエアです。その想いは今でも引き継がれており、「期待を超えるサービスを提供して、お客様に楽しんでいただく空間」を第一にさまざまな企画やサービスを考えています。

もちろんファンケルをまだ知らない方には、ファンケルブランドの想いを感じていただけるような工夫を随所に散りばめています。

6階の「パーソナル カウンセリング ヘルス」には基礎代謝や骨密度などを計れたり、未来の体型を予想できたりする機器も。

二宮:各フロアのコンセプト以外に大切にしている「楽しんでもらうための工夫」はありますか?

遠藤:ファンケル銀座スクエアでしか体験できないサービスやイベント、セミナーの開催に注力しています。特に10階の「スカイガーデン」で行うガーデンイベントは人気があります。多いときは1週間で6,000名を超えるお客様に来場していただきます

銀座の空に浮かぶ庭園は、楽園らしさもありますよね。バラやあじさいなど、四季に合わせてガラリとお花を入れ替えるので、それを楽しみに定期的にきてくださるお客様も多くいらっしゃいます。

ガーデンイベントでは、お客様とお花に関するお話をすることが多いのですが、こういったショップでは生まれない他愛もないお話が、お客様と私たち従業員の親睦を深めてくれているように感じます。

毎月5のつく日は「スクエア感謝デー」としてプレゼントをご用意したり、当社と長く深くお付き合いいただいているお客様が利用できる8階ロイヤルラウンジでは、ドリンクを飲みながら休憩したり、荷物を預けて銀座でのお買い物を楽しんでいただけます。

このようにさまざまな施策やサービスを提供していますが、常に心がけているのは、「スタッフとお客様のコミュニケーション」ですね。どうしたらお客様が感動し楽しんでいただけるかを常に考えて、親身な接客を目指しています。

顔が見えるから、親身になれる。

前回の取材で、ファンケルのDNAである「不」の解消には相手(お客様)の顔が見えていることが重要だとお聞きしました。ここからはファンケル銀座スクエアでは、どのようにお客様に向き合い関係性を築いているのか、遠藤さんにお伺いします。

お客様への「ご満足いただきたい、お楽しみいただきたい」という気持ちを伝えるには、距離の近さが大切だと思います。

企業とお客様といっても、人と人ですから。
私たちにとってもお客様にとっても、相手の顔が見えると心の距離がぐっと近くなり、自然にコミュニケーションも変わりますし、より親身になれるんです。

2013年の銀座スクエアのリニューアル時に、販売するスタッフだけでなく、研究員も直接お客様と接することは重要だと考え、研究員が在籍するフロアを設けました

実際、お客様と会話することで研究員の意識も変わり、生の声が聞けるようになってお客様目線がより深まり、ものづくりにもよい影響を与えていると聞いています。

さらに定期的に研究員自らがお客様向けセミナーも行なっています。セミナー参加者は講師が研究員ということで、質問量も熱量も他のセミナーとはぜんぜん違うんです。自分が長年愛用している化粧品を研究している人と話ができるということで、みなさん目が輝いていますね。

社内的にもいい変化がありました。
それは、研究員とファンケル銀座スクエアの距離が縮まったことです。顔を合わせてコミュニケーションをとるからこそ、研究員から「お客様の声を聞きたいので、こんなアンケートをとってほしい」とリクエストがあったり、こちらからもお客様からのご要望があれば、すぐに「こんなことできますかね?」と研究員に相談できたりするようになりました。格段にコミュニケーションが深まりましたね。

ファンケルとお客様との関係性が非常に近くて深いこと感じるときがあります。

ファンケル銀座スクエアには、夏季やGWの連休の時期になると年に1度、必ず来てくださる遠方のお客様もいらっしゃいます。こちらも「そろそろ○○様がお見えになる時期ですね」なんて話をしながらお会いできることを楽しみに待っている。なんだか親戚のような家族のような、そんな関係性ですね。

他にも、東日本大震災や今回のコロナ禍のようになかなかお会いできない時期が続いた頃は、久しぶりにお越しいただいたお客様から「緊急事態宣言中は出かけられなかったけれど、解除されたので久しぶりに会いに来たわ」「みなさんお変わりない?また来るわね!」と声をかけていただくこともしばしば。

会えない期間が空いていても、また落ち着いたら会える場所として繋がっていられること、そしてなによりお客様がスタッフのことを気にかけ応援してくれていることに、銀座スクエアとお客様との絆を感じています。

この関係性は、日々の積み重ねの賜物だと思います。
とてもシンプルですが、目の前のお客様にいかに向き合って接しているかどうか。これがすべてではないでしょうか。美と健康の分野を取り扱っている分、お悩みはパーソナルなことが多く、こちらが想像する以上に悩まれていることも多いものです。だからこそ、お客様の気持ちに寄り添うことをなによりも大切にしています。

来店される理由はさまざまですが、最後は人と人。常連のお客様からよく言われる「みんな本当にやさしくて親切ね」この言葉にすべてが凝縮されていると思います。

商品を置くと、自動的に研究員からの説明が流れる「タンジブルディスプレイ」

最近では、ライブショッピングやInstagram、オンラインカウンセリングなど、非接触でお楽しみいただけるデジタルコンテンツにも力を入れており、今後オンラインや非接触型のサービスが増えていくと思うんです。

それでも人と人との直接のつながりやアナログの強みは絶対になくならないと思っていますし、体験価値はより高まるのではないかなと思っています。だからこそ、デジタルに頼るばかりではなく、基本は強いリアルを磨いていき、デジタルとうまく融合していくことが重要だと考えます。

キリンさんとのコミュニケーションも深めたいと思っています。ファンケルの強みは「お客様と近い」ことなので、キリンさんと一緒に10階のガーデンを利用してお客様の声を聞くことができるイベントができないかなと、勝手にメンバーと話しています(笑)。

ファンケルとキリンのこれから

「企業とお客様といっても、人と人」――これまでファンケルのお客様との真摯なコミュニケーションについて伺い、キリンの2人が感じたこととは。

二宮:今日ファンケル銀座スクエアをまるっと体験させていただき、ファンケルさんは「理念」と「店舗」「体験」が一気通貫している点が本当に素晴らしいなと改めて思いました。肩肘を張らず、自然とそうなっているのがとても素敵だなと感じます。

創業当時から、今でいう「DtoC(D2C)」のような仕組みを導入されていますが、それでいて店舗もECも切り分けずに目的を共有しながらすべてが同じ方向へ向かっているのがすごく最先端だなと。これからも学ばせてもらいたいなと思いました。

松岡:ファンケルさんの大事にされている「お客様にいかに向き合っているかどうか」という姿勢は、私たちキリンもすごく大事にしていることなので、今日お話を聞きながらとてもシンパシーを感じました。

私自身さまざまなデータを分析して傾向をつかむことも大事にしていますが、お客様の本当の悩みや、お客様がどういうところに小さな喜びを感じてくださっているかってデータだけではわからないことが多いんですよね。今日お話を聞いて、顔を合わせて向き合うからこそ気づくことができる“本当のインサイト”があるんだなと改めて勉強させていただきました。私たちも、お客様に向き合う姿勢をより一層大事にしたいと思いました。

遠藤:そうですね。もちろんデータも大切ですが、メンバーには必ず「データだけではなく、実際のお客様の声や反応を聞いて、本当にお客様が喜んでいただける取り組みになっているのか考えよう」と伝えています。データと実際の声を合わせるとすごく理解が深まりますよね。

二宮:私たちは、お客様を分析するときに「紅茶ユーザー」とか「コーヒーユーザー」といった切り口で見ることが多いのですが、個人の人となりや購入時の視点、お悩みを直に聞けるというのはすごくいいですよね。

実際のお客様の顔が浮かぶのは、仕事に向かうモチベーションの源泉にもなりそうです。

遠藤:やはり、ファンケル銀座スクエアでお客様の顔が見えるイベントを一緒に開催できたらいいですね!

松岡:ぜひお願いします。キリンの商品は、子どもから年配の方まで幅広い世代に楽しんでいただけるのが強みのひとつです。この素敵な場所で互いの強みを活かしながら新しい取り組みができればと思います。

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