届けたいのは、紅茶の幸せ。言葉でたどる午後の紅茶の40年

(公開日2026年10月13日)

1986年に誕生した「キリン 午後の紅茶」。
当時、日本では家庭でいれて飲むことが一般的だった紅茶を、もっと気軽に、もっとおいしく楽しんでほしい。そんな思いから、日本初のペットボトル入り紅茶(※)として誕生し、2026年に発売40周年を迎えました。

40年の間に午後の紅茶が伝えてきたメッセージを振り返ると、お客様の嗜好や生活の変化を捉えながら、味わい、商品、紅茶を楽しむ場面を広げてきた歴史が見えてきます。
歴代のキャッチコピーや開発担当者のインタビューなどの「言葉」を手がかりに、本格的な紅茶を身近にし、茶葉と製法を通じておいしさを磨き、その楽しみ方を広げてきた40年をたどります。

  • ※
    株式会社食品マーケティング研究所調べ(1986年当時の主要飲料販売メーカー及び製罐メーカーを対象としたヒアリング調査による)

“紅茶でなくちゃ、ダメなんだ。” 本格的な紅茶を、身近な存在に

午後の紅茶が誕生する前の1980年代前半、お茶といえば家庭でいれて飲むことが一般的でした。そのため、お茶をお店で買うという発想は、当時としてはまだ新しいものでした。一方で、人々の暮らしは少しずつ変わり始め、外出先や職場でも気軽に飲み物を楽しみたいというニーズが高まっていました。
また、大型ペットボトルの誕生により、家庭用としても大容量の清涼飲料が身近な存在になってきました。キリンからも1.5Lペットボトル入りの烏龍茶が発売され、反響を呼びました。

そこで、キリンが次に着目したのが紅茶です。当時、家庭ではティーバッグなどで親しまれていましたが、アイスティーを一からつくるには、紅茶を抽出し、好みに応じて砂糖を溶かし、冷やす手間がかかります。
缶入りの紅茶は発売されていましたが、甘みの強いレモンティーやミルクティーが主流でした。

「私たちは、ほんとうにおいしい紅茶らしい紅茶をつくろう。リーフティーの本格的な味わいをもった紅茶飲料をつくっていこう」(1986年)

開発チームが目指したのは、グラスに注ぐだけで手軽に本格的な紅茶を味わえる、ペットボトル入りのアイスティー。お客様が好みに合わせてミルクやレモンなどを加えられるようにと、ストレートティーを最初に開発することにしました。

しかし、開発には大きな問題が立ちふさがります。紅茶は、熱い時には透明で澄んだ色をしていますが、冷めると白く濁ってしまう特性があります。
開発チームが目指したのは、紅茶葉から抽出した紅茶本来の香りや味わいと、澄んだ液色を両立させることでした。本格的な紅茶の味わいを保ちながら、冷やしても濁りにくい商品をつくることは、難しい挑戦だったのです。

どうすれば家庭の冷蔵庫の中でも、いれたての紅茶の透明感を出せるのか。開発チームは、茶葉の選定や抽出条件など試行を繰り返し、ついに液色の濁りを抑える「クリアアイスティー製法」を開発。
この技術は、当時の清涼飲料業界では画期的な技術革新でした。

こうして、1986年10月13日、「キリン午後の紅茶」(現・「キリン 午後の紅茶 ストレートティー」)が誕生します。
日本初のペットボトル入り紅茶の発売は、紅茶をもっと身近に、もっと自由に楽しめるようにする、午後の紅茶の最初の一歩でした。

紅茶といえば、午後ですね(1988年)

発売から2年後の1988年には缶入り商品が登場し、同年にミルクティー、翌1989年にはレモンティーが加わりました。現在につながる定番の3商品が揃い、午後の紅茶を楽しめる味わいと容器の選択肢が広がりました。

当初は積極的な宣伝をせず、「おいしい紅茶がある」という評判が口コミで広がった午後の紅茶でしたが、1988年から本格的な広告展開を始めます。
「紅茶といえば、午後ですね」「午後は紅茶と決めとりマス」などのキャッチコピーを通じて、手軽に本格的な紅茶を楽しめる商品として、「午後の紅茶」を広く伝えていきました。
「午後ティー」という愛称も、当時の若者たちを中心にこの頃から呼ばれ始めたようです。

1990年代に入ると、紅茶飲料市場はさらに拡大していきます。飲用シーンは多様化し、食事の時や、のどが渇いた時にも紅茶を楽しみたいという声が聞かれるようになりました。一方で、缶やペットボトルの紅茶に、より本格的な味わいや高級感を求めるお客様も増えていました。

定番の紅茶飲料の地位を確立していた午後の紅茶は、1992年にブランド初めてのリニューアルを実施します。お客様の嗜好の広がりに応え、甘さを抑えて紅茶本来のおいしさを引き出した、よりすっきりとした後味に仕上げました。
さらには本格志向のお客様のため、茶園を選定して良質な茶葉を使用したシリーズを展開。「あたらしい午後を、お知らせします」 というキャッチコピーで、生まれ変わった午後の紅茶の魅力を伝えました。

紅茶でなくちゃ、ダメなんだ。 きちんといれた大人のおいしさ。(1994年)

お客様は今、どんな紅茶を求めているのか。
初めてのリニューアルを終えてからもそんな問いを続けてきた午後の紅茶は、「爽やかなだけの飲物では物足りない」「もっと本格的な紅茶が飲みたい」というお客様の声を捉えました。
そこで、開発チームが次なるリニューアルのコンセプトとして選んだのが、「きちんといれた大人のおいしさ」でした。研究開発の現場からは、こんな声が聞かれました。

「ふだん皆さんが、家庭やティールームで紅茶をいれる場合、ティーポットで一杯一杯ていねいに作りますよね。『きちんといれる』というのは、その気持ちを取り入れることなんです。午後の紅茶はティーポットでいれるように、生産工場で紅茶をいれるようにしました」(1994年)

こうした考えは、茶葉の量、お湯の量、お湯の温度、抽出時間という4つの紅茶の抽出条件を、商品ごとに調整する商品開発へつながりました。
本格的な紅茶を、手軽に楽しめる身近な存在にした午後の紅茶。
「紅茶でなくちゃ、ダメなんだ」というコピーは、定番商品として培ってきた価値を土台に、紅茶本来の風味や香りを改めて伝えようとした1994年のリニューアルを象徴する言葉でした。

“From Leaf” 変わらない茶葉へのこだわりと、広がり続ける紅茶のおいしさ

午後の紅茶は、1986年の誕生以来ずっとスリランカ産の茶葉を使用し、商品づくりにおいて茶葉へのこだわりを大切にしてきました。
2000年代には、そのこだわりを、商品ごとの茶葉選定と「From Leaf」という言葉によって、より分かりやすく伝えるようになりました。

It's All New!紅茶再発見!(2000年)

「From Leaf」をパッケージに大きくあしらった2000年のリニューアルでは、定番3商品それぞれについて、商品の特徴に合うスリランカの産地の茶葉を選定しました。
紅茶は、茶葉が育つ標高や気候などによって、味わいの特徴が異なります。ストレートティーにはディンブラ、ミルクティーにはキャンディ、レモンティーにはヌワラエリアの茶葉を使用。商品ごとに適した茶葉を選ぶという考え方は、その後の商品づくりにも受け継がれています。

おいしさだけでなく、毎日の気分を豊かにしてくれる紅茶の価値を、もっと伝えたい。そうした思いが、「紅茶再発見」という言葉に込められていました。

2002年のリニューアルでは、Rose Life(バラ色の人生)をテーマに、新パッケージのシンボルとしてバラをあしらい、「のどの渇きをいやすだけではない、心の渇きまで潤してくれる飲み物」として、紅茶の魅力を伝えました。

20年目の新発見。 実は、「低カロリー」「無着色」「低脂肪」(2006年)

そして2006年、発売20周年を迎えた午後の紅茶は、「20年目の新発見」をテーマにリニューアルを実施しました。
着目したのは新しい原材料や製法ではなく、長年磨き続けてきた品質の価値。その魅力を、さらに多くの人に届けるための挑戦でした。

ストレートティーは「この味で、実は低カロリー」、レモンティーは「この色で、実は無着色」、ミルクティーは「ゴクゴク飲めて低脂肪」。
それぞれの味わいのおいしさはそのままに、「午後の紅茶は甘くてカロリーが高そう」「鮮やかな色だから着色料を使っているのでは」「ミルクティーは脂肪分が多そう」といった先入観を覆す「新発見」を、お客様にしてもらいたいという思いを込めました。

さらには20周年記念商品として、「意外に刺激的」をキャッチフレーズに、“スペシャル”シリーズも展開。
定番商品の「新発見」に加え、「これが紅茶?」と思わず驚くような新しいおいしさを次々と提案していきます。誕生以来追求してきた本格的なおいしさへのこだわりを土台に、紅茶の新たな可能性を切り拓く挑戦でした。

午後の紅茶が大切にしてきたのは、時代ごとの嗜好を捉えながらも、茶葉から生まれる紅茶のおいしさを商品づくりの土台とすることでした。
商品ごとに最適な茶葉を選び抜く「From Leaf」の考え方は変わらないまま、午後の紅茶は紅茶のおいしさの可能性を広げ続けていきました。

“おにぎりに紅茶ってアリ!” 仕事の合間に、食事時に、くつろぎ時間に。紅茶をもっと日常へ

時代とともに進化し続ける午後の紅茶の挑戦は、「どんな紅茶をつくるか」だけでなく、「どんな場面で紅茶を楽しんでもらうか」へと広がっていきます。

紅茶のおいしさ、ひろげよう。(2010年)

大切にしたのは、紅茶本来のおいしさを守りながら、紅茶を楽しむ場面そのものを広げていくこと。午後の紅茶は、日常生活における紅茶の新たな飲用シーンを提案する活動を展開し、紅茶のおいしさをもっと身近なものにしようとしました。

そうした挑戦を象徴する商品の一つが、2010年発売の「キリン 午後の紅茶 エスプレッソティー」(現在は終売)です。
当時の開発資料では、紅茶飲料の購入者層を広げ、仕事の合間にも選ばれる商品にしたいという狙いが、次のように語られています。

「紅茶飲料はどうしても女性向けというイメージが強い商品です。それでもエスプレッソ抽出した濃厚な紅茶なら、缶コーヒーの代わりに仕事の合間に楽しんでもらえるかもしれない。そんな思いが開発のきっかけでしたね」(2010年)

続く2011年には、「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」が登場します。
午後の紅茶は、1990年の「キリン午後の紅茶 プレーンティー」以来、無糖紅茶を繰り返し提案してきました。
「おいしい無糖」では、昼食時やのどの渇きを感じた時など、無糖茶が選ばれる場面に着目し、食事にも合わせやすい紅茶として展開。定番3商品に続くブランドの柱の一つへと育っていきました。

商品ブランドの歴史:「キリン 午後の紅茶 おいしい無糖」までの長~い道のり|キリンジャーナル|キリン

おにぎりに紅茶ってアリ!(2012年)

2012年には、サンドイッチや洋菓子ではなく、日本の食卓に身近な「おにぎり」との相性の良さを伝える広告を展開しました。
「午後の紅茶 おいしい無糖」とおにぎりの組み合わせを試してもらう「10万人実食キャンペーン」を実施し、その結果を「おにぎりに紅茶ってアリ!」という言葉で発信。意外性のある組み合わせを通じて、無糖紅茶を食事とともに楽しむ選択肢を提案しました。

一方で、午後の紅茶は、紅茶が持つ魅力であるくつろぎや気分転換というイメージも進化させ続けました。
2013年には、フルーツの香りと紅茶のキレのある味わいで気分をアゲる新フレーバードティー「キリン 午後の紅茶HAPPINESS!」シリーズを発売(現在は終売し、FRUITS & ICE TEAシリーズが展開)。
従来のリラックスに加え、リフレッシュという新たな価値を提案し、紅茶を楽しむシーンの幅をさらに広げました。

go・go・tea! 日本の日常茶へ(2016年)

発売30周年を迎えた2016年、午後の紅茶が掲げたブランドテーマは、「日本の日常茶へ」。シーン・時間・場所を選ばず楽しめる、お客様の生活に欠かせない飲料となることを目指す姿勢を示しました。

“午後の紅茶だからできる幸せなこと、もっと、もっと。” 紅茶のおいしさから生まれる幸せを広げる

午後の紅茶が届けてきたのは、商品としての紅茶だけではありません。

本格的な紅茶を手軽に楽しめる身近な存在にしたこと。
商品ごとに茶葉や製法を工夫し、好みに応じて選べる味わいを広げたこと。
食事や仕事の合間、くつろぎの時間など、日常のさまざまな場面に紅茶を取り入れる提案を行ってきたこと。

午後の紅茶が積み重ねてきたこうした取り組みは同時に、午後の紅茶が届けてきた「紅茶の幸せ」でもありました。

幸せの紅茶、午後の紅茶。(2020年)

2020年に「幸せ」をブランドテーマに掲げた午後の紅茶は、紅茶の新たな魅力やおいしさ、飲用シーンを提案し、日常のさまざまな時間や場所でお客様の生活に欠かせない飲料となることを目指しました。
紅茶のおいしさが生む時間や体験を「幸せ」と表現し、その言葉を商品だけでなく、人と社会を健やかにする活動へつなげていきます。

「午後の紅茶」だからできる幸せなこと、もっと、もっと。(2022年)

2022年、午後の紅茶は、それまで積み重ねてきた商品や活動を、「健康」「地域・コミュニティ」「環境」という3つの領域で捉え、CSVの取り組みを進めるブランドとなりました。
CSV(Creating Shared Value)とは、商品や事業を通じて社会課題の解決に取り組み、社会と企業の双方に価値を生み出すという、キリングループが経営の中心に据える考え方です。

「健康」の領域では、1990年に無糖の「午後の紅茶 プレーンティー」を発売して以来、無糖、微糖、カフェインゼロなど、健康への関心や生活スタイルに応じて選べる商品を提案してきました。

「地域・コミュニティ」の領域でも、ブランドとしてさまざまな社会貢献活動を続けてきました。
2021年には、「午後の紅茶 for HAPPINESS 熊本県産いちごティー」の発売とともに、復興応援先の国産素材を活用する「午後ティーHAPPINESS プロジェクト」を発足。
2025年からは「モッタイナイ!を、おいしい!に。プロジェクト」に参画し、果実のフードロス削減および農家支援に取り組んでいます。

「環境」の領域では、午後の紅茶の茶葉の産地であるスリランカで、「キリン スリランカフレンドシッププロジェクト」を実施しています。レインフォレスト・アライアンス認証の取得支援など、より持続可能な農業を実践するための支援と、農園の子供達が通う学校に図書を寄贈する2つの活動を行っています。

紅茶を楽しむ人のため、素材を育てる地域や産地のため、そして、そのおいしさを未来へつなぐために。「午後の紅茶だからできる幸せ」を、具体的な活動へと広げています。

届けたいのは、紅茶の幸せ。

1986年、本格的なアイスティーを家庭で手軽に楽しめる商品として始まった午後の紅茶。その後も、茶葉と製法にこだわって紅茶のおいしさを磨き、味わいの選択肢や、紅茶を楽しむ場面を広げてきました。
さらに、健康課題や社会課題に応える商品開発、復興支援、スリランカの環境支援など、未来につながる活動にも取り組んでいます。

40年間で、商品や伝え方は変化してきました。それでも、茶葉と製法に向き合い、本格的な紅茶のおいしさを身近に届けるという出発点は変わりません。
紅茶は、毎日をもっと豊かにできる。「紅茶の幸せ」を届ける午後の紅茶の歩みは、これからも続きます。

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