キリングループの歴史:アミノ酸研究のあゆみと「オルニチン」

(公開日2025年6月27日)

「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことをビジョンとして掲げるキリングループでは、中核事業である「食」と「医」をつなぐ「ヘルスサイエンス事業」を立ち上げ、次世代の成長の柱として育成しています。

今回はキリングループで「ヘルスサイエンス事業」を担う協和発酵バイオ株式会社の歴史を、会社の原点から続くアミノ酸研究と、アミノ酸の一種である「オルニチン」を軸にご紹介します。

協和発酵バイオの前身 協和発酵工業の誕生とアミノ酸研究のはじまり

協和発酵バイオ株式会社が担うアミノ酸研究は、前身の協和発酵工業株式会社からはじまりました。協和発酵バイオは、2008年に協和発酵工業のバイオケミカル事業が分社化して誕生した会社です。現在はキリングループの一員として、最先端の発酵技術を駆使し、医薬品原料、ヘルスケア素材の製造・販売を行っています。

現在もヘルスサイエンス事業の中核を担うアミノ酸の研究は、どのように始まったのでしょうか?

それは、協和発酵バイオのルーツである協和発酵工業の誕生の歴史にも関わります。協和発酵工業は、1949年、終戦後の混乱した日本で、「発酵の力によって社会課題の解決を目指す」という志で設立された会社でした。

1949年 協和発酵工業設立

創立者である加藤辨三郎のモットーは「発酵と合成の有機的結合によって、社会のために意味と価値のある製品を提供する」こと。戦後の日本における深刻な社会課題の一つが、食糧不足による栄養失調でした。加藤は日本人の体格を改善するため、良質なタンパク質を量産して供給したいと考えていました。タンパク質は水の次に多い生体成分で、ヒトでは体の約20%を占めています。

タンパク質の大量生産を研究テーマに与えられた研究員は、細胞のもととなるタンパク質を合成する機能を持ち、タンパク質の構成成分でもあるアミノ酸に着目しました。1956年、協和発酵工業は、強みである発酵技術を用いて、アミノ酸の一つであるグルタミン酸を生産することに成功しました。

発酵工程でグルタミン酸をつくり出す微生物を発見して確立されたこの「発酵法」は、従来の製法よりコストも製造工程の副産物も抑えることができました。この発明により、協和発酵工業はアミノ酸の量産に世界で初めて成功したのです。

1960年の協和発酵工業 東京研究所での研究風景 左:のちに社長となる木下祝郎

「アミノ酸発酵」を確立したアミノ酸研究のパイオニアとして

常識を覆す「発酵法」の発明で、グルタミン酸が豊富で安価に供給できるようになったことにより、グルタミン酸ソーダ(グルタミン酸ナトリウム)は加工食品にとって最も基本的な調味料となり、食品工業界に革命が起こりました。

さらに、この発見が起こした変革は、食品分野だけに留まりませんでした。アミノ酸は、食品や飲料、健康食品だけでなく、医薬品・医薬品原料、医療食、化粧品、培地、飼料・肥料と、広く使われています。協和発酵工業はその後も研究を重ね、家畜飼料に添加される「リジン」や、「オルニチン」、「アルギニン」など、多くのアミノ酸を「発酵法」により量産化することに成功しました。

協和発酵工業が発明した「発酵法」は、アミノ酸発酵という一大事業分野を確立し、さまざまな分野で大きな貢献を果たしました。

アミノ酸の一種「オルニチン」に着目

アミノ酸研究のパイオニアである協和発酵工業が、いち早くその可能性に着目したのが、アミノ酸の一種である「オルニチン」。生命活動の維持に不可欠なアミノ酸の中でも、「オルニチン」は体内で使われても自らが「オルニチン」に戻るので、「回復系アミノ酸」※1と呼ばれる特別なアミノ酸です。

  • ※1
    オルニチンは体内で使われても自らがオルニチンに戻るので回復系アミノ酸と呼びます。

協和発酵工業の働きかけもあり、2002年に食薬区分※2 が改正され、「オルニチン」は日本において健康食品への利用が始まりました。

  • ※2
    食薬区分は、食品と医薬品の境界領域ついて判断を行うものであり、厚生労働省が管轄しています。食品と判断されるものは、食品に利用することができます。

これをきっかけに、協和発酵工業は「オルニチン」の商品化に向けて研究をスタート。「オルニチン」はどのような方に摂取いただくべき成分なのか、着実にデータを積み上げていきました。

2004年には、「オルニチン」サプリメントの商品化を実現しました。

2004年発売 協和発酵のアミノ酸「リメイク オルニチン」

キリングループ横断の商品開発と「回復系アミノ酸※3 オルニチン」の研究の深化

協和発酵グループとキリングループは、2007年に戦略的提携を行うことを発表しました。2008年、キリンビールと協和発酵工業の医薬事業部が合併した協和発酵キリン株式会社(現・協和キリン株式会社)の設立に伴い、バイオケミカル事業が分社化した協和発酵バイオが誕生します。

キリングループ横断で展開する「健康・機能性食品事業推進プロジェクト」のもと、「オルニチン」の様々な機能を探る研究は続けられました。「回復系アミノ酸※3 オルニチン」は、このプロジェクトの第一弾として取り上げられ、キリングループの各社から、ノンアルコールビールテイスト飲料や清涼飲料、ヨーグルトなど、「オルニチン」を配合した様々な商品が開発されました。

「協和発酵バイオのオルニチン」

  • ※3
    オルニチンは体内で使われても自らがオルニチンに戻るので回復系アミノ酸と呼びます。

また、キリングループでは、「人が本来持つ力を引き出すためには、“健康の土台”を整えることが重要である」との考えから、一般的な考え方である健康のベースに必要な要素の「栄養・運動・休息」にキリン独自の価値である「免疫ケア」を加え、この4つの掛け合わせで人間が持っている力を高めていくことを提案しています。

この健康の土台のうち、オルニチンで「休息」を支えていくことを目指しており、こうした背景から20年以上にわたり242万人※4 以上のお客様にご愛用いただいてきた協和発酵バイオの「オルニチン」サプリメントを、「キリンの元気サポートサプリメント」として新たにブランドリニューアルしました。

「キリン オルニチン」※5

  • ※4
    当社調べ:「協和発酵バイオ オルニチン(旧品)」を購入した累計顧客数(2004年~2025年1月31日時点)
  • ※5
    オルニチンは体内で使われても自らがオルニチンに戻るので回復系アミノ酸と呼びます。

キリン オルニチンブランドサイト|キリン

アミノ酸研究のパイオニアであり、「オルニチン」を健康食品として利用する道を切り開いた協和発酵バイオ。キリングループは、これからも「オルニチン」の可能性を広げる研究を続けていきます。

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