ワインづくりが自然を守る。上田市・椀子ワイナリーと地域のつながり

長野県上田市、丸子地区の小高い丘に佇むのは、2019年に完成した「シャトー・メルシャン 椀子(まりこ)ワイナリー」です。2003年からメルシャンが行政とともにブドウ栽培を始めたこの地で、地域・自然・未来との共生がテーマのブティックワイナリーとして誕生しました。

ここでは、農業を通じて人が関わり続けることで生態系が豊かになる「二次的自然」が育まれ、多様な生態系が守られていることが分かっています。キリンは、この命の賑わいとも言える「生物多様性」を大切に、企業活動と自然保護のWin-Winな関係を続けていきます。

椀子にワイナリーができるまで

ワイナリーが誕生する17年前、上田市・丸子地区でブドウ畑をつくるところからスタートしました。この地が選ばれた理由は、ブドウづくりに適した土壌や気候の条件を満たしながら、十分な広い敷地を確保できたから。

当時、この土地は遊休荒廃地(しばらく農地として利用されておらず、その後も活用される予定のない土地)でしたが、行政と手を取り合いながら、100人以上にもなる地権者の方々の協力を得て、2003年に「椀子ヴィンヤード(ブドウ畑)」として開場しました。

植樹や収穫を地域の方々と一緒に取り組みながら、他所にはない椀子ならではのブドウを育て、2016年には、この畑で収穫したブドウをなるべく早く醸造したいという想いから、「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」が新設されました。

常に風が吹いていること、周りが360度山に囲まれていることなど、この地域独特の環境で育ったブドウを使うことで、この土地だからこその“テロワール(ワインの個性)”を感じるワインをつくり続けています。

ブドウ畑が豊かな生態系を育んでいる理由

2010年、名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催されたことをきっかけに、キリングループは「生物多様性保全宣言」を発表しました。

その活動の一環として、2015年からは農研機構とキリングループによる共同研究のかたちで、ブドウ畑における生態系の調査をスタート。

調査を通して明らかになったのは、環境省のレッドリストに掲載されている昆虫や植物の希少種が確認されるなど、ブドウ畑が豊かな生態系を育んでいるということでした。

人の手が一切加わっていない自然環境を「原生自然」と呼ぶのに対し、田や畑、果樹園など、主に農業を通じて人がつくり上げてきた自然は「二次的自然」と呼ばれます。

椀子ヴィンヤードには、この「二次的自然」のなかでも、多様な生物が住みやすい “草原”が広がっており、命の賑わいともいえる「生物多様性」が育まれています。

希少種・オオルリシジミ生息を目指した「クララ」植生も

ブドウ栽培が生物多様性に与える影響が明らかになったあと、椀子ヴィンヤードでは見つかった希少種や在来種を増やす活動にも取り組んでいます。希少で脆弱な種類の種子を育ちやすいエリアに移植する活動や、蝶の希少種・オオルリシジミの幼虫の唯一の食草である「クララ」を増やす活動にも力を入れています。

「クララ」の植栽は、地元の塩川小学校と協力し、環境教室の一環として行っています。椀子ヴィンヤードは、未来を担う子どもたちに生きた環境教育の場を提供することで、地域や企業にとっても持続可能な社会づくりに貢献しています。

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地域とともに歩むワイナリー運営を

地域に根差したワイナリー運営の根本には、ワイナリーのある長野県上田市とキリングループが2019年12月に締結した「ワイン産業振興を軸にした地域活性化に関する」包括連携協定の存在があります。

上田市とキリンが2019年に締結した包括連携協定とは?

この協定は、ワイン産業活性化を目指し、必要な人材育成、地域産業活性、観光、教育など、さまざまな分野で行政と企業が相互に協力することを目的としています。この協定を軸に、「ワインの街・上田」を盛り上げる体制づくりや活動を行ってきました。

キリン×上田市主催のビジネススクールから生まれた新しい価値

その活動の一つとして、上田市とキリンが共同で主催する「上田ワインビジネスラボ」があります。これは、地域ビジネスを学び、実践する人材育成型のスクールです。

このスクールの参加者によって発案された「信州上田まつたけ&ワイン祭り」は、上田市民だけでなく、遠方からも多くの人々が訪れ、上田の魅力を伝える機会となり、「ワインの街・上田」を盛り上げる一助となっています。

この先も、自然を守り、地域を活性化する活動をつづけながら、椀子ワイナリーが世界に誇る日本ワインをつくり続けていきます。

※内容・登場社員の所属は公開当時のものです

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