キリンの工場見学のはじまりと歩み

(公開日2026年1月9日)

大人も子どもも楽しめるレジャースポットとして、近年ますます注目を集める工場見学。ものづくりの現場でしか味わえない発見や、企業のこだわりに直接触れられる体験ができることも魅力の一つです。

キリングループでも、キリンビールの全国9工場で実施している工場見学のほか、キリンビバレッジ、キリンディスティラリー、シャトー・メルシャンのワイナリー、ファンケルなど、各事業会社の工場でお客様の見学を受け入れています。

キリングループの工場見学がどのように始まり、何を伝えてきたのか。ビール工場見学の歴史を中心に振り返ります。

キリンビール工場見学のはじまり

キリングループに残る一番古いビール工場見学の記録は、明治時代にさかのぼります。前身会社のジャパン・ブルワリー・カンパニーの工場を見学した人の話をもとに、当時の製造工程が記された新聞記事が確認されています。

…引割麦は上より落ちて甲の釜に入り熱湯は管より迸出(ほうしゅつ)して廻轉(かいてん)しながら麦に灌(そそ)ぎ夫(それ)より管を通じて乙の大いなる釜に入ればホップを投入して非常に沸騰せしめたる後ち再び管を通して次の室に至り…

1889年8月18日『時事新報』

麦が釜に入れられ、熱湯が管から噴き出して麦に注がれ、ホップを加えて煮沸するといった工程が詳細に描かれ、当時日本に紹介されたばかりだったビールの醸造や、ジャパン・ブルワリー・カンパニーの最新鋭の設備が大きな注目を集めたことが伺えます。

また、1933年に発行された横浜工場のパンフレット「工場巡り」には、カラーのイラストでビールの製造工程がわかりやすく説明されています。大正~昭和初期に印刷され、見学者に配られたこの資料は、当時の工場見学の様子を伝える貴重な記録です。横浜だけでなく、仙台工場にも同様のパンフレットが残っています。

横浜工場の「工場巡り」パンフレット(一部)

当時は紹介がある場合に限って見学を受け入れており、一般の個人客の受け入れは基本的に行っていませんでした。その後もしばらくは関係者中心の見学が続き、今のような一般向けツアーはまだ広がっていませんでした。

キリンビール工場の一般公開は、広島工場の「目で見るビール百年展」から

では、現在のように一般のお客様を迎えるキリンビールの工場見学は、いつ始まったのでしょうか。きっかけは、1968年にキリンビール広島工場で行われた企画展でした。

明治元年(1868年)から100年を迎える1968年、広島工場では「目で見るビール百年展」を開催。ビール産業が日本に根付いた明治時代から100年の節目に、ビールの歴史を振り返ろうというイベントでした。工場の誕生から30周年でもあったこの年、地域に住む方々とのつながりの強化を目指した広島工場は、このイベントの中で「市民のための工場見学ツアー」を実施しました。これが、キリンビールとして正式に実施した初の一般向け公開になりました。

企画展は大きな評判を呼び、口コミの広がりとともに日に日に増えた来場者は、13日間で約4万人にものぼりました。これは当時の広島市の人口の約5%に相当する規模です。その後、仙台工場でも同様の企画が行われ、約5万人が訪れました。

「目で見るビール百年展」の反響を受け、キリンビールでは全工場で見学の受け入れを本格化することを決定します。企業PRや製品のこだわりをお客様に伝えるため、ツアー内容の標準化を行いました。この1968年を、キリンビールでは「工場見学開始の年」としています。

キリンビールの工場見学はその後も好評を得て、1975年には全国で年間20万人以上の来場者を記録。工場見学は、キリンビールのファンづくりと広報事業にとって大きな役割を果たすようになりました。

キリンビール工場制服の歴史

キリンビール工場のツアーガイドは、商品の歴史から製造工程、おいしいビールの飲み方まで案内します。ツアー内容の変化とともに、ガイドの制服も時代ごとの流行や企業イメージを取り入れて色やデザインが変わってきました。その変遷の一部を写真でご覧ください。

ワインツーリズムの先駆け シャトー・メルシャンのワイナリー見学

ビール工場以外でも、キリングループの工場は各地でお客様の見学を受け入れてきました。その一つであるメルシャンのワイナリー見学についてもご紹介します。

メルシャンのワイナリー見学のはじまりは、前身会社の一つである甲斐産商店(のちの大黒葡萄酒株式会社)までさかのぼります。1913年に中央線の勝沼駅が開業すると、現在のシャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーで、ブドウ狩りとワイン工場見学を組み合わせたツアーを開始しました。現代のワインツーリズムにも繋がるこの取り組みは、勝沼地域の観光ブドウ園の先駆けとなりました。

シャトー・メルシャンのワイナリーは、その後も積極的にお客様の受け入れを行いました。1974年には、明治時代に建てられたワイン醸造所を元にしたシャトー・メルシャン ワイン資料館が建設され、たくさんの来場者が訪れました。

現在のシャトー・メルシャン ワイン資料館

現在シャトー・メルシャンでは、勝沼ワイナリーと椀子ワイナリーでツアーを実施しています。ワイン造りへの思いや品質へのこだわりだけでなく、生物多様性などのサステナブルな取り組みを紹介するコースもあり、幅広くお客様をお迎えしています。それらの取り組みが認められ、ワインツーリズムに取り組むワイナリーを選出する『ワールド・ベスト・ヴィンヤード』において、日本では唯一6年連続選出されています。

おいしさへのこだわりが家でも工場でも味わえる キリンの工場見学

実は長い歴史を持つキリングループの工場見学。最新鋭の設備のアピールから、地域とのつながり、キリンのファンづくりまで、時代とともにツアーの内容は進化してきましたが、キリンのこだわりをお客様に直接伝える場であることは変わりませんでした。これからもキリンの工場見学は、お客様とキリングループをつなぐ大切な接点であり続けます。

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