商品ブランドの歴史:キリンの太鼓判!「チームキリン」が挑んだ「キリン のどごし<生>」誕生秘話

(公開日2025年8月29日)

「キリン のどごし<生>」の歴史を歴代パッケージとともにご紹介します。

グラスに注がれた黄金色のパッケージと、キリンの太鼓判を表すハンコ型のロゴでおなじみの「キリン のどごし<生>」。キリンが初めて発売した新ジャンルであるこの商品は、発売するやいなや爆発的な人気を獲得し、市場が形成されて間もない新ジャンルというカテゴリの急成長を牽引してきました。

キリンが太鼓判を押す自信作を生んだ新技術への挑戦と、自らを「チームキリン」と呼んだ従業員たちの「キリン のどごし<生>」をお客様に届けるまでの奮闘をご紹介します。

低価格ニーズに応えた新技術への挑戦 新ジャンル参入前夜

1990年代初頭のバブル経済崩壊以降、長引く不況の影響でお客様の低価格へのニーズは続いていました。ビール系市場においては、低価格を打ち出した発泡酒が誕生し、キリンも1998年に「麒麟 淡麗〈生〉」(現・ 淡麗極上〈生〉)を発売しました。

2000年8月、キリンは麦芽を使用しないビール系飲料の研究開発を始めます。のちに「キリン のどごし<生>」に結実するその研究は、発泡酒のさらに先を行くアイデアとして、麦芽を使わずにおいしいアルコール飲料をつくる技術開発への挑戦でした。2001年には試験醸造品での消費者調査を実施。2002年からは、様々なたんぱく素材での試験醸造を行いました。

業界では、2003年にサッポロビール株式会社が原料に麦芽や麦を使用しない酒類を発売。ビール・発泡酒に続く新しいアルコール飲料として、新ジャンルと呼ばれるビール風味の発泡性アルコール飲料が市場に登場しました。翌2004年には、新ジャンルはビール・発泡酒・新ジャンル市場における構成比の約5%を占めるに至りました。

「ブラウニング製法」が切り開いた 新ジャンルのうまさの秘密

当時の新ジャンルは、低価格に加えて「軽くて飲みやすい」「カジュアルな感じ」といった評価を受けていました。 キリンが目指したのは、そんな新ジャンルに新しい価値を提供すること。新ジャンルにはカジュアルさに対するニーズだけではなく、「うまさ」や「飲みごたえ」などのニーズも潜在しているという仮説を持っていました。

そこで開発にあたり、「すっきりしたのどごし」と「しっかりしたうまさ」という一見相反する味覚を実現するための研究を重ねていったのです。

しかし、麦芽や麦を使用せずにうまみやコクを表現するのは難題でした。試行錯誤の末、開発チームが着目したのはアミノカルボニル反応。これは、食品中のアミノ酸と糖を加熱することで、色の変化やうまみやコクを出すという、料理でもおなじみの化学反応です。カレーやおでんなどをじっくり煮込むことで、色が変化し、おいしくなるのも、このアミノカルボニル反応の作用です。

原料となるたんぱく素材についても、検討が続けられていました。度重なる試験醸造の末に、開発チームが選んだのは、大豆たんぱく。酵母の栄養源となって発酵を促進する大豆たんぱくは、キリンが目標としていた「すっきりしたのどごし」と「しっかりしたうまさ」を実現するのに最適な素材でした。大豆は日本の食生活に馴染みが深く、畑の肉と呼ばれるほど栄養が豊富であることも決め手の一つでした。

研究チームは、大豆たんぱくにアミノカルボニル反応を引き起こすことにより、狙い通りの深みのある味と香りを引き出すことに成功しました。2000年のプロジェクト開始以来、開発試験醸造数は実に160回以上に及んでいました。

さらに、アミノカルボニル反応が実現したのは、狙い通りの味と香りだけではありません。 大豆たんぱくの色の変化が、黄金色の液色を生んだのです。着色料不使用の新ジャンル商品は、当時としては珍しいものでした。

この製法は「ブラウニング製法」と命名され、「キリン のどごし<生>」の発売とともに大々的に打ち出されます。後発ながら新しい技術を導入し、ビール系ユーザーの味覚期待に応えた「キリン のどごし<生>」を生み出したのは、お客様の潜在するニーズを見抜く商品開発力と、実現困難な壁を粘り強い試行錯誤で乗り越えたキリンの技術力でした。「ブラウニング製法」は、2006年8月に特許を取得しました。

新ジャンルに新しい価値を提供する商品を! 「チームキリン」の挑戦

新ジャンルに新しい価値を提供するべく、キリン独自の「ブラウニング製法」で挑んだ自信作「キリン のどごし<生>」。調達、製造、物流、営業・・・各部門のメンバーたちは、この新商品の成功に向け一丸となり、自らを「チームキリン」と呼びました。

「キリン のどごし<生>」の発売に向けた熱量は、「チームキリン」の連携を通じて製造現場にも伝わっていました。製造の現場では、初めての新ジャンル製造のため入念な準備が進められていました。「キリン のどごし<生>」は大豆たんぱくを使用するため、従来のビールや発泡酒とは製造方法が大きく異なります。加えて、ノウハウの蓄積がない中で、設備が異なる各工場で新しい製造方法を調整することは困難の連続でしたが、製造を担当する4工場では、全国での一斉販売を目指して急ピッチで調整を進めました。一方、当初製造予定のなかった工場では、4工場がのどごし専用になってもキリン全体の商品供給が滞らないバックアップ体制を備えました。

自信作に仕上がった「キリン のどごし<生>」を、多くのお客様がお花見を楽しまれる桜の時期に届けたい。社内から上がったそんな声に、製造も営業もさらなる努力で応え、発売予定日を2週間前倒しするという異例の決定が実現したことも、大ヒットを掴んだ要因の一つでした。

そして2005年4月6日、「キリン のどごし<生>」が全国で発売を開始しました。

新発売時の「キリン のどごし<生>」

発売後にもまた、部門を超えた連携が輝きました。「キリン のどごし<生>」の大ヒットは、社内で想定した最大の販売数量を超えるものでしたが、爆発的な人気の中でも、品切れを起こさずに商品を供給することができたのは、生産・物流・営業、「チームキリン」の連携のたまものでした。

「キリン のどごし<生>」の登場もあり、 ビール・発泡酒・新ジャンル市場における新ジャンルの構成比は、2004年の約5%から、2005年には約15%、2006年には20%に迫る勢いで急成長を遂げました。

変わらない安心・変えるこだわり パッケージ進化の歴史!

グラスに注いだ時のおいしそうな印象を表現したシンプルで力強いデザインに、缶の中央の「キリン のどごし<生>」の商品名。ハンコをイメージしたロゴマークには、満を持して送り出すうまさを堂々と宣言し、キリンが太鼓判を押すという想いが込められていました。

そんな「キリンの太鼓判」とともに発売を開始して以来、定番ブランドの変わらない安心感を届け続けてきたパッケージですが、実はこだわりを持った進化を続けてきました。2005年の新発売から、2024年までの歴代パッケージを、リニューアルポイントとともに一挙にご紹介します。

進化するうまさで愛され続けて20年連続5億本※

「すっきりしたのどごし」と「しっかりしたうまさ」の両立を目指し、新ジャンルに新たな価値を提供した「キリン のどごし<生>」は、「爽快なうまさ」というブランドの強みを守りつつ、進化を続けてきました。

  • 2005年から2024年までの各年年間出荷本数(350ml缶換算)

2025年パッケージ

「キリン のどごし<生>」のパッケージには、今も変わらずにキリンの自信作であることを示す太鼓判が押されています。

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