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テーマ別解説

ビールを飲む器とビールの容器

(5)生ビール用貯蔵樽は木製からステンレス製へ
日本でビールが醸造され始めた頃、木製の生ビール樽はすべて輸入されていたが、やがて日本でも木製樽がつくられるようになった。麒麟麦酒では、1937(昭和12)年頃に一部が機械化されるまでは、樽材を用いて胴板をつくり、これを組み合わせて鉄枠で締めて樽型にする工程はすべて職人の手作業であった。ちなみに、麒麟麦酒の樽材は福島・南会津の標高500〜600mの南向き斜面のナラを使用していた。雪深い地でゆっくり成長したナラは年輪が密で、ガス漏れが少なく、保冷度が高いという性質を持っていた。

熟練工の手仕事による製作と、定期的な修理を必要とする木樽は、その後、同一形状、同一容量のものを大量に生産でき、定期修理の必要もなく、軽量(木樽の約3分の2)であるという長所を備えたステンレス製の樽に代わっていった。麒麟麦酒では、1962(昭和37)年に木樽からステンレス樽に切り替えを始めている。
1960年代まで使われていた木樽

1960年代まで使われていた木樽


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