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史学部

No.159

ビール史上最古をさがせ!Vol.1
イランで発見!5000年前のビールとは?

イランで発見されたビールの痕跡

ビールは、人類の記録に残されたもっとも古い飲み物のひとつです。古代エジプトやメソポタミアの歴史的記録には、ビール醸造や飲酒を思わせる記録が残されていますが、化学的証拠はありませんでした。

人類最古のビールは、いつどこで作られていたのでしょうか?

そんな疑問に答えたのが、ペンシルヴェニア大学考古学人類学博物館の分子考古学者パトリック・マクガヴァンでした。1961年、イランでゴディン・テペ遺跡(Godin Tepe)が発見され、1965~75年にかけてカナダの王立オンタリオ博物館調査チームによって発掘調査が行われました。その後の1992年、マクガヴァンは、発掘された壺の破片に付着した「残留物」からビールの痕跡を発見。「残留物」を分析した結果、紀元前3500~3100年、今からおよそ5000年前に六条大麦を使った醸造過程で生まれた「炭素のカス」であることを突き止めたのです。

さらに、炭素のカスが見つかった壺に、当時の記録の中でビールを指し示す印と同様な刻印がされていたことも、ビールの存在を裏付ける後押しとなりました。メソポタミアの歴史的記録と、六条大麦の残滓。マクガヴァンは十分な証拠を携えて1992年11月5日発行の『Nature』誌で「史上最古のビールの発見」を発表し、世界を驚かせました。

古代ビールは各地で作られていた?

ゴディン・テペは、ギルガメシュ叙事詩にも登場し、メソポタミアとアフガニスタンを結ぶ重要な交易ルート上にありました。古代エジプトで珍重された宝石、ラピスラズリはこのルートを辿って沿岸の国々へと運ばれました。険しいザグロス山脈(Zagros Mountains)の半ばに位置するゴディン・テペ。危険の絶えない貿易路のオアシスで、行き交う人々の疲れを癒やすビールの味は格別であったことでしょう。

当時のビールは、発芽した大麦で作ったパンを水に浸し、壺に入れてお湯をさし、自然発酵させて作るものでした。このパンこそ、現在のビール原料のひとつ「麦芽」に当たります。麦芽と水、そして天然の酵母で作られるビール。交易を通して製法が伝わり、麦の食文化を持つ他の地域でもビールが作られていたであろうことは容易に想像できます。

事実、中国では紀元前5000年頃、いまから7000年以上前に製法の類似した穀物酒が作られていた記録があります。古代エジプトでもビールは重要な飲み物で、紀元前4000年にはナイル川流域のあちこちで作られていたという記録があるのです。

さらに、新たな歴史の可能性も見つかっています。2015年3月、イスラエル考古学庁は、テルアビブの建築現場から約5000年前にビール醸造に使用された容器片が発掘されたと発表しました。これは、ゴディン・テペの「残留物」とほぼ同時期となる発見です。現在のところゴディン・テペで見つかった壺の破片が「最古のビールの証拠」となっていますが、今後の研究次第では「史上最古のビール」が更新される日も近いかもしれませんね。

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