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[食領域]

キリングループのICTを活用した取り組みについて

  • その他

2018年8月10日

キリン株式会社

商品やサービス、また、社内の業務改革や働き方改革において、IoTやビッグデータの活用、AIなどの先進的なデジタル・テクノロジーを取り入れる企業が増えています。キリングループでも、業務効率化やお客様とのさらなるコミュニケーションなどを目的に、下記のような取り組みを行っています。

ICTを活用した業務効率化

①2017年より音声認識・会話のリアルタイム文字化テクノロジー「UDトーク」導入

  • 「UDトーク」とは、音声認識技術を活用し、話者の話す音声をスマートフォンやタブレット等の画面にリアルタイムで文字化し、聴覚障害のある方のコミュニケーションの理解レベルを数段高く引き上げるサポートアプリです。
  • 聴覚障害のある社員は、業務における会議や面談の際にリアルタイムで会話を十分に理解することが難しい場合もあり、問題があっても相手に伝えることを逡巡する場面もあります。
  • 「UDトーク」を導入することでコミュニケーションや業務理解が格段に進み、業務品質レベルが向上するだけではなく、多様性推進が目指す「職場で一人一人の社員が活躍し価値創造に貢献する」ことの実現につながっています。
  • 現在、キリン株式会社、キリンビール株式会社、キリンビバレッジ株式会社、メルシャン株式会社各社の聴覚障害のある社員を対象に、全国約30名が面談や講演会議事録として利用しています。

②スマートフォン利用等による業務効率化

  • スマートフォンでOutlookのメールや予定表、マイドキュメント等を参照できるほか、経費精算も可能となり、移動時間などの隙間時間を有効活用することができます。
  • FacetimeやWeb会議システムを活用したリモート会議を実施でき、在宅勤務の際や遠隔地でもコミュニケーションが可能になりました。
  • 自宅の私物パソコンからも会社の仮想デスクトップに接続でき、会社パソコンを持ち帰る手間を省き、在宅勤務の推進につながっています。

③RPAツールを使った作業時間削減

  • 2018年より、グループにおける働き方改革(生産性の向上)の推進に向けて、標準化が可能な単純定型業務をロボットに代行させ、定型的に実施している作業を自動化しています。
  • 具体的には、グループ内の経理部門においてキリングループ各社の振込業務などの定型的な銀行伝送業務をRPAツールにより自動化し、導入前と比較して月間約1,000時間分の作業時間削減を実現しました。

AIを活用した取り組み

①ビール新商品開発技術者を支援する「醸造匠AI」の開発に着手

  • 2017年より、株式会社三菱総合研究所とキリン株式会社は、ビールの新商品開発技術者を支援する人工知能「醸造匠AI」のアルゴリズムの共同開発に着手しました。今後はAIを活用した熟練技術の伝承促進や商品開発の効率化を目指しています。
  • ビールの新商品開発では、求められる仕様に合わせて試作を繰り返し、原料の配合や工程条件などを細かく定めたレシピを作成します。熟練技術者が過去に編み出したレシピや技術的な知見はすでにデータベース化されていますが、データをどう活用するかに関しては、技術者によってバラつきがあります。
  • 「醸造匠AI」のアルゴリズムは、過去の醸造データから機械学習したロジックを用いることで、レシピに応じた試作結果が予測できます。新商品の開発ごとに試作を行う手間を省けるため、開発の効率化やコスト削減が期待できます。
  • 将来、業務を通じた課題抽出、機能改良、最新醸造データの機械学習により「醸造匠AI」アルゴリズムを高度化することで、技術者による革新的な設計が可能となり、ビールの魅力をさらに高めることが期待されます。

②画像認識の技術を活用した「棚割り」作成システム導入

  • 2015年より日本電気株式会社(NEC)とキリンビール株式会社が共同で開発を企画しました。店舗営業担当者がスマートフォンの撮影用アプリを使って店舗の棚を撮影し、画像をサーバーに送信すると、サーバーおよびAmazon Web Service(AWS)上に構築した画像解析エンジンに届き、色のコントラストや模様といった商品の特徴量を抽出します。あらかじめ登録しておいたAWS上にある商品の画像のマスターデータと照合・識別して、商品の種類やフェイス数、配置などから成る棚割りデータを自動生成します。
  • 2018年5月~7月に全国のキリンビールの営業現場で説明会を実施し、順次導入を開始しています。照合・識別の制度を向上させ、従来では1時間以上かかっていた1つの棚割りデータの作成を、約10分の1である7分に短縮することを目指しています。

自動販売機のIoT、その他の取り組み

①「LINE」をかざすとポイントがたまる自動販売機サービス「Tappiness(タピネス)」展開

  • キリンビバレッジバリューベンダー株式会社とLINE株式会社は、自動販売機にビーコン端末※1を接続し、LINE社が提供するコミュニケーションアプリ「LINE」およびその関連機能を活用することで実現した、独自の自動販売機コミュニケーションサービス「Tappiness(タピネス)」を2017年4月から開始しており、現在全国で2.5万台展開しています。(6月末現在)
    • ※1周辺機器をワイヤレスで使える近距離通信規格のBluetooth®の発信機。
  • 「タピネス」は、「LINE」と自動販売機がビーコン経由でつながることで、購入ごとに1ドリンクポイントが付与され、15ドリンクポイントがたまると、自動販売機で好きな飲料と無料で交換可能な特典チケットが付与されます。付与された特典チケットは、「LINE」の「友だち」へプレゼントすることも可能です。また、「LINE」上で展開するスマホのおサイフサービス「LINE Pay」による決済が可能となります。

②フレーム付自撮り写真提供機能などを搭載するデジタルサイネージ自動販売機

  • キリンビバレッジバリューベンダー株式会社では、LINE ビジネスコネクト※2の活用により実現したフレーム付自撮り写真提供機能「VENDORPHOTO(ベンダーフォト)」、多言語対応、動画広告対応、災害対応の機能を標準搭載したデジタルサイネージ自動販売機※3を展開しています。
    • ※2LINEが、LINE公式アカウントの各種機能を企業向けにAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を提供し、各企業がカスタマイズして活用できるサービスです。LINEのシステムと利用企業のシステム間において、APIでメッセージなどの送受信を行うことで、企業とユーザーの双方向のコミュニケーションを可能にするものです。なお、LINEが、LINEアカウントに紐付いた各企業の顧客データを保持することはありません。
    • ※3表示と通信にデジタル技術を活用し、前面に液晶ディスプレイを配置した自動販売機。

③自動販売機のデータオンライン化

  • キリンビバレッジバリューベンダー株式会社は、自動販売機に設置した専用の通信機器で在庫状況などをタイムリーに把握できるデータオンライン化を進め、収集したデータを商品補充の効率化や、売れ筋商品の入れ替えといったマーケティング施策に活用しています。
  • 現在、グループ販社の管理自動販売機においては、ほぼ全台でオンライン化を完了しています。オンライン化によって自動販売機の訪問効率は約5%~10%アップし、労働時間は約5%短縮するなど、生産性向上につながっています。

工場での取り組み

①キリンビールの全国6工場にVRを導入

  • 9つあるキリンビールの工場では、パッケージング工程を仮想体験できるVRを、2018年春までに6つの工場に導入完了しました。メンテナンス等で製造工程を見ることができない時も、臨場感あふれる工場見学体験を楽しむことができます。
  • 工場見学者の満足度も1.8倍に上がる(アンケート結果より)など、よりキリンビールの商品を身近に感じる工場見学ツアーとなっています。

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