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[食領域]

運動時の免疫低下におけるプラズマ乳酸菌の効果を確認

~激しい運動による体調不良や疲労蓄積を軽減~

  • 研究・技術

2018年7月6日

キリン株式会社

キリン株式会社(社長 磯崎功典)の健康技術研究所(所長 小川俊也)は、順天堂大学(学長新井 一)との共同研究により、Lactococcus lactis strain Plasma(プラズマ乳酸菌)※1が激しい運動後に起こる免疫系の司令塔・樹状細胞の活性低下を防ぐことや、体調不良や疲労の蓄積を軽減することをヒト試験で確認しました。

  • ※1 国立研究開発法人理化学研究所バイオリソースセンターが所有するLactococcus lactis subsp. lactis JCM 5805のこと。

激しい運動による体調の悪化や疲労は経験的に知られており、過度なランニングなどにより、かぜ症候群やインフルエンザの罹患リスクが上昇することがこれまでに報告されています※2。その原因として、運動後に免疫力が低下することとの関連が指摘され、末梢の免疫指標であるナチュラルキラー細胞の活性低下や唾液中の自然抗体(sIgA)量の低下※3、※4などが報告されています。

  • ※2 J Sports Med Phys. (1990) 30, 316-328
  • ※3 J Sports Med Phys. (1990) 30, 316-328
  • ※4 Sports Training Med Rehabil. (1989) 1, 209-218

プラズマ乳酸菌は、ウイルス感染防御を担う免疫系の司令塔であるプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化する乳酸菌として、キリングループによって2010年に発見されました。その後、さまざまな研究により、他の乳酸菌と比べて極めて高いウイルス感染防御機能があることが明らかになっています。※5

  • ※5 Clin Immunol. (2013) 149 (3), 509-518、PLoS One. (2012) 7 (4) e32588など

キリンと順天堂大学医学部およびスポーツ健康科学部では、プラズマ乳酸菌が運動後の免疫に与える影響を評価することを目的として、2014年9月からヒト試験で検証を進めました。
その結果、プラズマ乳酸菌摂取が運動後のpDCの活性低下を防ぐこと、さらに体調不良や疲労の蓄積を軽減することを見いだしました。

試験方法

  • 20歳以上のスポーツ健康科学部の学生51名を、プラズマ乳酸菌を1000億個以上含んだカプセルを摂取するグループ(プラズマ乳酸菌群:26名)と、プラズマ乳酸菌を含まないカプセルを摂取するグループ(プラセボ群:25名)の2群に分けて、上記試験食品(カプセル)のいずれかを13日間継続摂取してもらいました。
  • 試験食品の摂取期間中に継続的な激しい運動を実施し、開始日と終了日に血液中のpDC活性を測定しました。
  • 試験食品の摂取期間中は、体調や疲労などの自覚症状について、毎日記録してもらいました。
  • なお、参加者は自身がどちらのカプセルを摂取したのか分からない状態で試験を行いました。

試験結果

pDC活性

摂取期間終了日のpDC活性化指標が、プラズマ乳酸菌群でプラセボ群と比較して有意に上昇することが確認されました。(図1)

(図1)

※摂取群間で統計的に有意差あり p < 0.05 (student’s t test)

体調や疲労の自覚症状

試験期間中の体調不良および疲労の自覚症状の累積が、プラズマ乳酸菌群でプラセボ群と比較して有意に抑制されることが確認されました。(図2)

(図2)

※摂取群間で統計的に有意差あり p < 0.05 (Chi-square test)

以上により、プラズマ乳酸菌の摂取は、継続的な激しい運動を実施した後においてもpDCの活性を高め、体調不良や疲労蓄積の軽減につながるものと考えられます。

今回得られた試験結果は、運動後など体へのストレスがかかる場面における体調管理など、プラズマ乳酸菌摂取による健康維持機能の新たな可能性を示唆しています。キリンでは今後もプラズマ乳酸菌のキリングループの商品への応用研究や、機能の基礎研究を継続していきます。

キリングループは「健康」「地域社会」「環境」という3つの社会課題に取り組み、お客様と共に幸せな未来を目指していきます。

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