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KIRIN News Release


<ご参考>微生物細胞をナノレベルで評価する「ナノサーチ技術」が「日本清涼飲料研究会賞」受賞
10月27日(水)に日本教育會館一ツ橋ホールにて表彰式

2010年10月27日

 キリンビバレッジ株式会社(社長 前田仁)のコア技術研究所(所長 出内桂二)は、商品開発部門と連携して、よりおいしく高品質で安全な商品を提供していくために、微生物制御をはじめとした品質保持技術の研究開発に取り組み、社会に貢献できる技術開発を進めています。
 その一環として、微生物細胞の微小細部を画像として可視化し、様々な物理的指標によりナノレベルで評価・解析する、「ナノサーチ技術」の開発に成功しました。この研究成果が、第20回日本清涼飲料研究会(事務局 社団法人 全国清涼飲料工業会)において、栄誉ある「日本清涼飲料研究会賞」を受賞し、10月27日(水)に日本教育會館一ツ橋ホールにて表彰式が行われます。

 清涼飲料において、一般的に殺菌耐性が高く検出が困難といわれる芽胞形成細菌(※)(以下、芽胞菌)の制御は、微生物保証上、最も重要な課題の一つです。しかし、芽胞菌は菌種により耐性が異なる上、検出が困難なため、清涼飲料の商品開発時には、適切な殺菌条件の設定に数週間以上の時間がかかります。また新たな芽胞菌が発見されても培養が難しいため、耐性の確認に長時間を要します。今回「ナノサーチ技術」を開発したことにより、その芽胞菌の耐性の確認が、簡便かつ短時間で判断することが可能となりました。

〜芽胞菌の耐性確認に活用可能な「ナノサーチ技術」の開発〜
 生きた微小な芽胞菌の硬さは、これまで直接測定する手段はありませんでしたが、ナノレベルまで測定が可能なナノサーチ顕微鏡により、測定が可能となりました。具体的には、ナノサーチ顕微鏡に搭載している微小な探針の先端を芽胞菌に近づけたり接触したりして、探針と芽胞菌の間の力学的・電磁気的相互作用を検出し、それを画像化・信号化することで芽胞菌の硬さを測定します。この方法で複数の菌種を測定したところ、芽胞菌の硬さとその菌の耐熱性に相関関係があることが分かりました。つまり、これまで長時間を要する培養と加熱試験でしか芽胞菌の耐熱性を判断することが出来ませんでしたが、ナノサーチ顕微鏡を利用する「ナノサーチ技術」により、芽胞菌の増殖・分裂を待たずに、1個の芽胞菌から短時間で細胞を直接測定して耐熱性を判断するということが可能となりました。

 この「ナノサーチ技術」を応用することによって、硬さをはじめとした様々な物理的指標を微生物制御に利用できる可能性が生まれます。今後、芽胞菌制御の条件を環境に合わせて迅速に設定する技術への応用や、様々な微生物の性質の解明などに取り組み、品質保持技術を広範囲に発展させていきます。

 キリングループは「おいしさを笑顔に」をグループスローガンに掲げ、いつもお客様の近くで様々な「絆」を育み、「食と健康」のよろこびを提案していきます。

※耐熱性を有する芽胞(胞子)を形成する細菌。乾燥、熱など悪条件に耐え、再び環境条件がよくなると発芽し分裂増殖する。


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