【く】
クーパーズ醸造所(くーぱーずじょうぞうしょ)
オーストラリアに古くからある独立系ブルワリーの中で唯一現在まで生き残っている醸造所。クーパーズのエールはよどんで混濁したとてもフルーティな味で、オーストラリア産ビールの名品とも言われています。「オリジナルペールエール」、「スパークリングエール」、「ベストエキストラスタウト」などの種類があります。
【こ】
ゴディン・テペ(ごでぃん・てぺ)
1961年、イランで発見された遺跡。ゴディン・テペは、ギルガメシュ叙事詩にも登場し、メソポタミアとアフガニスタンを結ぶ重要な交易ルート上にありました。1965〜75年にかけて発掘調査がおこなわれ多数の遺物が見つかりました。1992年、発掘された壺の破片に付着した残留物からビールの痕跡が発見されました。さらにその壺には、当時の記録の中でビール指し示す印と同様な刻印がされていたことも、人類最古のビールの存在を裏付けました。

【し】
島岡達三(しまおかたつぞう)
1919-2007。民芸陶器の代表的な産地として知られる益子の素朴な魅力を世界に広めた立役者である陶匠・濱田庄司に師事。民芸における「用の美」を継承しながら、縄文の文様を施した後に別の土をはめ込む(象嵌する)縄文象嵌という独自の技法を確立させました。96年には師に継いで益子出身で二人目となる人間国宝に認定されました。

清水卯一(しみずういち)
1926-2004。人間国宝・石黒宗麿に師事し、鉄釉陶器を学ぶ。自ら土や釉材を探し、採取するなど、基本の陶土、釉薬に並々ならぬこだわりを持ち、天目釉、柿釉など多様な釉技に才腕を示して世界的な評価を獲得。85年には人間国宝に認定されます。黒い鉄釉に白い釉薬をほどこした晩年のスタイルは、このビヤマグにも反映され、その名の通り白雪で覆われたような静けさが魅力的です。

【そ】
相乗効果(そうじょうこうか)
同じ系統の味を一緒に口にした時に、より一層その味が強調される現象。味覚の相乗効果と呼びます。ビールの苦味にゴーヤを合わせると苦味が倍増し、ベーコンを合わせると塩味が引き立ち香ばしさが豊かになります。

【た】
対比効果(たいひこうか)
正反対の味を一緒に口にした時に、どちらか一方が際立つ現象。味覚の対比効果と呼びます。甘いスイカに塩をふりかけると、より甘く感じ、ワインのテイスティングの合間に塩をなめると、口の中がリセットされます。調和効果とも呼びます。

【と】
遠野ホップ農業協同組合(とおのほっぷのうぎょうきょうどうくみあい)
岩手県遠野にあるホップの農業協同組合。日本のホップのほとんどは、秋田県や岩手県などの東北地方と北海道の一部でホップは作られています。気候的にホップ栽培に適していることに加えて、これらの地域は夏に冷害が多いため、冷害に強いホップ栽培が推進されました。岩手県にホップが入ってきたのが昭和31年、その後の昭和38年からキリンビールと契約し、今に至ります。遠野の圃場は約40ヘクタール弱、年間の生産量は約66トンになります。
【は】
ハンザ同盟(はんざどうめい)
ドイツ北部の都市が中心となって形成された同盟。14世紀後半の最盛期には、加盟都市が90を超えるまでに勢力を拡大。みずからで傭兵も所有し、その影響力は国家に匹敵するほど。背景には、王権による支配が強かったフランスやイギリスとは異なり、ドイツやイタリアは国家の基盤が脆弱だったということがあります。貿易の中継地として栄えたハンザ同盟の諸都市において、ビールは主要な取引商品で、小都市アインベックの「アインベックビール」は有名です。またハンブルクの商工業者全1075名のうち、4割以上が醸造業に関わっていました。

【へ】
ベルナルド(べるなるど)
セーブルと並ぶ磁器の名産地、フランス中部のリモージュの町で1863年から続く、老舗の名窯。創業後間もなくナポレオン三世の皇室御用達となり、その皇后ユージェニーにこよなく愛されたことでも知られています。フランスならではの高い感度で時代に即した多彩なデザインを展開していますが、その中でもリモージュ特有の白い磁肌を生かした作品に定評があります。上品な王朝風の金彩や可憐な花柄を施したビアマグからも、フランスのエレガンスが伝わってきます。

KPM(べるりんおうりつじきせいとうじょ)
1763年、ドイツ史上最も傑出した統治者フリードリヒ2世によってベルリンに創立された磁器製陶所。芸術性豊かな王自らが陣頭指揮をとり、他のどこの窯にもましてロココの気品にあふれた典雅な食器の数々を作り出していきました。その伝統を受け継ぐ手作りの陶磁器は、白く輝く磁肌に写真的な絵柄など、18世紀の宮廷文化をそのまま伝えています。

【ほ】
ホットビール(ほっとびーる)
温かいビール。ドイツでは風邪をひいたときや寒い冬、おなかの調子のよくないときによく飲まれます。温めるビールはビターやストロングエールやスタウトなどの濃色系でアルコール度が8%から10%の強さのビールがよいと言われています。

ホワイトエール(ほわいとえーる)
ベルギーのヒューガルデン村で14世紀から製造されていたクラシックなビール。一度製造が途切れたものの1965年、村で牛乳屋を営むピエテル・セリスによって復活しました。特徴的な香りを持つベルジャン酵母によって作られる小麦のビールで、白濁した色が特徴的。これは原材料の麦芽化していない小麦タンパクによるもので、クリーミーな味わいと爽やかな酸味はここから生まれます。また煮沸時にコリアンダー、オレンジピールで風味付けするのが伝統製法。酵母をろ過していないため、ビタミンBが豊富なことでも知られています。

【み】
未熟臭(みじゅくしゅう)
ビールの熟成が不十分だった場合に発生するバランスが崩れた香り。ビールでは発酵にともなって、ダイアセチル、アセトアルデヒト、硫化水素などのにおい成分が生成されるが、これらは熟成の過程で、酵母に吸収されたり、炭酸ガスと一緒に揮発されたりして量を減らします。そのため熟成が不十分だと、そうした成分が多く残って、香りのバランスが崩れた未熟臭を感じることがあります。

ミントン(みんとん)
1793年、彫刻師のトーマス・ミントンによって創立。彼がこだわった「高い芸術性」はやがて、豪華に金を盛り上げていく装飾の技法やエッチング、絵画を思わせる絵付けで花開き、優雅で香り高い器を次々に発表していきます。それは、ヴィクトリア女王にも「世界で最も美しいボーンチャイナ」と絶賛され、現在でも各国王室で広く愛用されています。

【む】
麦踏み(むぎふみ)
麦が霜柱で根が浮き上がり枯れてしまうのを防ぐための農作業のひとつ。成長した稲を踏圧機で踏んでいきます。柔らかい畑の土を踏みしめながら、ゆっくりと作業を進めます。

【も】
木片・木樽熟成ビール(もくへん・きだるじゅくせいびーる)
木片と一緒に熟成させたり、木樽を使用することで、ウッディーな風味や、木樽由来のバニラのような香りをプラスしたビール。もともと、19世紀頃のビール醸造は木桶や木樽を使うのが一般的でしたが、20世紀に入ってからはステンレスやアルミのものが使われています。しかし近年、木の生み出す独特な風味が人気を呼び、再び木樽も用いられるようになりました。熟成の際に木と触れ合わせるこのスタイルは、用いる木片や木樽の種類、ベースとなるビアスタイル、そして熟成期間の組み合わせで、様々な味や香りを生み出すことができます。

【や】
野生酵母(やせいこうぼ)
空気中など自然界に存在している酵母。ベルギーの地ビールで代表的なランビックは、ふつうのビールのように人工的に酵母を入れず、醸造所内の空気中に浮遊している野菜酵母を取り込んで発酵させる「自然発酵」のビールです。

ヤチヤナギ(やちやなぎ)
学名:Myrica gale。ヤマモモ科の落葉小低木、温帯地域の湿地に多く自生し、雌雄で株が異なるのも特徴。谷地(ヤチ)は湿地帯を意味し、その姿が柳に似ているため、ヤチヤナギと呼ばれています。スコットランドや北欧、ドイツ北部の湿地帯に自生。すがすがしい独特の香りを持ち、中世当時は比較的手に入りやすいハーブの一種だったようです。ヤチヤナギの自生地とグルートビールの普及地はほぼ重なっていて、現在でも、デンマークやオランダなどでは、ヤチヤナギを使用した特別なビールがつくられているといいます。

山本陶秀(やまもととうしゅう)
1906-1994。金重陶陽、藤原啓に続いて、備前焼で3人目の人間国宝に認定された人物。山本陶秀が監修し、その息子で現在は備前焼の大家として知られる山本雄一が手掛ける。焼成時に稲藁が高温で焼け、陶肌に鮮やかな線条文を残す緋襷(ひだすき)は、もとは偶然の産物でしたが、これを意図した通り自在に生み出す技法を編み出したのが山本雄一です。土は、観音ビヨセを特別に使用。これは、かの北大路魯山人が「世界一の土」と激賞した、備前で最高と言われる粘土です。

【ら】
ライトビール(らいとびーる)
原材料となる麦汁の濃度を下げて発酵度を高め、製品中に残る糖分を少なくし、カロリーを従来のビールに比べて2/3〜1/2下げたビール。1970年頃のアメリカで大きな人気を博しました。

ランビック(らんびっく)
ほとんどのビールはきちんと管理されたビール酵母を使って作られますが、自然にある酵母で発酵させて造られたビール。ベルギー、ブリュッセルに近いパヨッテンラント地域。ここにあるゼンネの谷に自生する野生酵母とバクテリアが、ランビックを生み出します。ランビックは、大麦の麦芽だけでなく発芽させていない小麦を使用し、殺菌力が強いホップを大量に加えます。ランビックにとってのホップは、香りづけを意図したものではなく、長期間の熟成に耐えられる防腐剤として必要とされています。

【れ】
レッドエール(れっどえーる)
ベルギーのフランダース地方の西側で造られるエール。東側で造られるのがブラウンエール。総称してフランダースエールと言います。オーク樽で2年間ほど熟成させますが、その際に木樽の内側にコーティングを施さず、ビールと木を直に触れさせます。それにより、樽に住む野生の乳酸菌がビールを酸っぱくし、同時に、樽に含まれるタンニンなどの成分がビールをチェリーのような濃い赤に染めあげるのです。その鮮やかな色とフルーティーな香りから、多様なビアスタイルの中で最も赤ワインに近いビールとも言われています。

【ろ】
ロイヤルクラウンダービー(ろいやるくらうんだーびー)
ダービーの窯が開かれたのは、1748年ごろとされています。ほどなく、その高い品質と確かな技術は、王室の絶大な信頼を得ていきます。そして、ジョージ三世から“クラウン”、ヴィクトリア女王から“ロイヤル”の冠を許され、英国最高の栄誉を担うロイヤルクラウンダービーが誕生したのです。その代表作に上げられる、伊万里の金襴手を模したゴージャスで格調高いデザインは、18世紀に初めて発表されてから2世紀を経た今に至るまで、世界中で愛され続けています。

ローストバーレイ(ろーすとばーれい)
麦芽化せずに焙煎した大麦のこと。スタウトは麦芽化されていない大麦を焙煎してつくられていますが、このローストバーレイが独特の苦みと香りを生み出しています。真っ黒になるまで大麦を焙煎しているため、ビールの見た目も真っ黒。スタウトを飲む際に特に楽しみたいのは、焙煎された大麦の苦みと香り。コーヒーのような豊かな苦みと香りをバランスよく調和させ、深い味わいを楽しむことができます。

【わ】
若ビール(わかびーる)
発酵が終了した発酵液のこと。香り、味ともに未熟です。未熟な香味の原因物質を減少させるために行われるのが熟成で、その工程を「貯蔵(lager)」と呼びます。低温で長い熟成期間が必要な下面発酵ビールはラガービールとも呼ばれますが、一方、上面発酵ビールは、常温で発酵させるため未熟臭物質が少なく、長い熟成期間は不要。

