【あ】
アセトアルデヒド(あせとあるでひど)
アルコールが分解されてできる毒性のある有害物質です。吐き気や呼吸促迫などアルコールよりも数倍も強い反応を起こします。体にはこの毒素を分解する酵素が存在します。飲みすぎると分解が間に合わず、アセトアルデヒドの影響を受けます。これが二日酔いの原因だと言われています。二日酔いに効果があるといわれている食べ物や飲み物を摂取すると、アセトアルデヒドの分解を助けたり、体外に排出させる効果が期待できます。

アルコール度数(あるこーるどすう)
お酒に含まれているアルコールの割合です。摂氏15度のときに原容量100分中に含まれるエチルアルコールの容量で、「度」又は「%」と表示します。従って、5度あるいは5%と表示されたビールは、100ミリリットル中に5ミリリットルのアルコール分があるということになります。数多くの国で標準的に使われています。
【い】
イソフムロン(いそふむろん)
ビールの苦味や香りのもとになっている苦味成分。ビールが日光に当たると、イソフムロンは分解され、硫化水素が発生します。さらに日光臭の原因となる新しい物質に変化します。しかし、イソフムロンは脂肪の代謝を促進させ、糖尿病を予防し、神経細胞の死滅を抑制する作用が発見され、認知症の予防にも期待されている物質です。

一度注ぎ(いちどつぎ)
ビールの注ぎ方のひとつ。立てたグラスにビールを勢いよく注ぎます。グラスの4分の1くらいまで泡を立てたら、グラスを傾け、最初の泡を持ち上げるようにして、側面にゆっくりビールを注いでいきます。一定のスピードで注ぎながら徐々にグラスを起こして、泡とビールが3:7になるように、最後はグラスを立てます。喉越しがシャープになるのが特徴です。

一番搾り麦汁(いちばんしぼりばくじゅう)
麦芽を砕き、糖化してつくったもろみから、最初に流れ出てくる麦汁を「一番搾り麦汁」といいます。一番搾り麦汁は、殻からしみ出す渋味成分のタンニンが少ないので、できあがったビールにさっぱりとした味わいとストレートなのどごしをもたらすことができます。一番搾り麦汁そのものにはほのかな香りとやさしい甘みがあります。

IPA(いんでぃあ・ぺーるえーる)
IPAとはインディア・ペールエールのことです。大量のホップが使われ、アルコール度数も高めに醸造されています。樽詰め時にもホップが入れられたと言われています。高温多湿で揺さぶり続けられる長い航海で品質劣化しないように、ホップやアルコールの作用を活かして菌の増殖を抑制しています。そのため、味わいはホップの強い香りと苦味、アルコール感が特徴的です。

【う】
ヴァイツェン(ゔぁいつぇん)
14世紀から続くドイツ伝統の白ビールです。ヴァイツェン酵母によるバナナやクローブのような香りと泡立ちが豊かでいつまでも持続する泡が特徴です。ホップが少ないため苦みは弱く、舌触りも濃密で「まるで飲むパンのようだ」といわれるビールです。ヴァイツェンがドイツ語で小麦を意味する通り、50%以上小麦麦芽が使われています。小麦は大麦に比べタンパク質が多い上に、ろ過しないため白く濁っています。

ウィリアム・コープランド(うぃりあむ・こーぷらんど)
1834-1902。ノルウェー出身。日本で初めて産業として継続的にビールを製造した「日本ビール産業の祖」。明治時代初頭、スプリングバレー・ブルワリーで、日本では初めてとなる商用ビールを製造しました。天沼の湧水を用いたそのビールは、横浜在留の外国人たちを中心に広まり、やがて日本人にも飲まれるようになりました。当時の日本には、ビール醸造のための設備も原料もありませんでしたが、彼は工夫を凝らし、諸問題を克服しました。

ウィンナーモルト(うぃんなーもると)
しっかりと溶解して低めの温度で焙燥させた麦芽。ウィンナーラガーのようにやや赤みがかったビールに使用されます。うっすらとついた焦げ色が赤みがかった液色をつくります。かすかにトーストのような香りと甘みがするのも特徴です。糖化酵素力は極めて強い。

【え】
エール(えーる)
エールは、大麦麦芽を原料に、上面発酵酵母を使用し、20℃前後の常温で短期間に発酵させるスタイルのビール。伝統的なエールはホップなしで飲まれていました。そもそもエールは「ホップを入れない醸造酒」のことを意味します。15世紀頃にエールの本場イングランドにホップが伝わって苦味のあるエールが飲まれるようになりました。泡が少なく、麦芽からくる甘味と香ばしさ、旨みをじっくり味わうことができることがエールの特徴です。

エミール・クリスチャン・ハンセン(えみーる・くりすちゃん・はんせん)
1842-1909。デンマーク出身。植物学者。彼は、下面発酵に取り組んだカールスバーグ社の微生物部門で、パスツールの理論を応用した「酵母の純粋培養法」を確立しました。これは、ビールづくりに適した酵母のみを抽出・培養するもので、よりよいビールをつくる酵母が、どこででも手に入るようになるという、夢のような発明でした。これにより、同じ味かつ長期の消費期限を維持することができるようになりました。

エンマーコムギ(えんまーこむぎ)
人類が栽培した小麦のなかでもっとも原始的な種のひとつ。約1万年前、チグリスユーフラテス地域で農耕が開始され、作物を育てることで定住が実現しました。古代エジプトで栽培されていたエンマーコムギは、食料として、薬として、そしてビールの原料として、なくてはならない存在でした。現在ではほとんど栽培されていません。

【お】
王冠(おうかん)
びんを密閉するための栓。びんの口がね。アメリカでウィリアム・ペインターが発明しました。ビール・清涼飲料などの王冠栓のギザギザはほぼ21個。少ないと外れやすくなり、多いとびんを締め付けすぎて開けにくくなります。
びんの飲み口部と王冠の寸法は規格化されており、口径は27mm、王冠の高さは5.97mmです。本体の裏側にはパッキンが貼り付けてあります。西洋の王冠の形状に似ていることが語源です。
オクトーバーフェスト(おくとーばーふぇすと)
ドイツのバイエルン州の州都ミュンヘンで開催される世界最大規模のビールのお祭りです。1810年以来、ミュンヘン市内中心部のテレージエンヴィーゼと呼ばれる広大な場所で9月半ばから10月上旬に開催され、毎年約600万人の人が会場を訪れています。会場名にちなんだヴィーゼのバイエルン語、ヴィーズンという別称も使われます。

【か】
カール・フォン・リンデ(かーる・ふぉん・りんで)
1842-1934。ドイツ出身。1873年、24時間に6トンもの製氷をおこなう冷凍機を開発し、特許を取得しました。最初の特許は商業的に成功し、多忙になったため、学問的な研究を中断しなければならなくなり、1879年には教授の職を辞めました。リンデ製氷機会社(現在のリンデAG)をヴィースバーデンに設立。
彼の活躍によりラガーは一年中、どこでも醸造することが可能となり、上面発酵にこだわっていた醸造所の多くも、下面発酵に切り替えました。

外観(がいかん)
グラスを目線と水平にしてビールの色、泡立ちを見ます。オレンジ、黒など、クラフトビールは液色も多彩。一般的に色が濃いほど味も濃いものが多いです。泡立ちがよいほど炭酸が強く、炭酸の強さに比例するといわれています。泡はグラスの斜め下から見ると、泡の立ち上がりも確認することができます。また泡持ちがよいと、炭酸のキメが細かいといえます。

下面発酵(かめんはっこう)
下面発酵酵母を使用して、5~10℃程度の低温で時間をかけてゆっくりおこなう発酵のことです。発酵が終わると酵母がタンクの底に沈降するのでこの名が付けられています。低温を維持するための冷却装置が必要なため昔は手間がかかってほとんど製造できませんでした。19世紀以降、世界的に主流となっているビールはこのタイプ。日本でつくられるビールの大半は下面発酵のビールです。

川本幸民(かわもとこうみん)
1810-1871。日本出身。蘭学者で日本の科学の祖。日本人で初めてビール醸造に挑戦した人物です。実験の一環として醸造したビールですが、ビールを製造した際には浅草の曹源寺で試飲会を開催しました。実験については詳細な説明がされており、発酵温度や仕込時間、貯蔵期間などを変化させることで「上泡醸法」と「下泡醸法」の二種類の醸造方法を確認していました。

【き】
基本味(きほんあじ)
味覚の基本となる要素。甘味・苦味・酸味・塩味・うま味の五つ。舌などにある味蕾で受容され、味覚神経を介して脳に伝達されます。人間は生まれたばかりのときは、甘みと旨みしかおいしいと感じません。これは母親の羊水や母乳の主成分によるものです。成長すると食経験が豊富になり、様々な味を感じるようになります。味覚の好みも現れるようになります。

キレ(きれ)
キレというのは後味が続くかどうかを判断して使われる言葉です。味覚センサーでは味の変化も計測出来ますので、味がスッと後を引かずに消えるようであれば「キレがある」と言えます。
ビールの場合は十分に発酵させてエキス分を少なくして、アルコールや炭酸ガスを多くすると、刺激が強く、すっきりした味になり、キレを強く感じることができます。

【く】
クラフトビール(くらふとびーる)
英語で「職人技のビール」、「手作りのビール」などを意味する表現。ビールづくりでは、原料や醸造方法を組み合わせることで、様々な味わいのビールがつくられます。スッキリしたのどごしのビールやフルーティーな香りのするビールなど、それらの種類は、ビアスタイルと呼ばれ、細かく100種類以上に分類されています。どんなビールでも、これらのビアスタイルに分類されるので、好きなビアスタイルを知っておくと、おいしく飲める銘柄の幅を広げられます。

グルートビール(ぐるーとびーる)
ホップ以外のハーブを使ってつくられたビール。「グルート」とは多種多様なハーブを配合した香味料のこと。通常はホップを使ったビールが一般的でしたが、中世ヨーロッパではホップではなくハーブを使用した香り高い「グルートビール」が一般的でした。

黒ビール(くろびーる)
黒色から黒茶色など濃褐色をしたビールを指す総称。
「黒ビール及びブラックビール」の定義は『ビールの表示に関する公正競争規約及び施行規則』で「濃色の麦芽を原料の一部に用いた色の濃いビールでなければ、黒ビール又はブラックビールと表示してはならない」と定められています。材料の違い、上面発酵、下面発酵の違いには言及していないので、一般的なビールの分類法では異なる分類にされる上面発酵のスタウトと下面発酵のシュヴァルツビールはどちらも黒ビールです

【け】
景徳鎮(けいとくちん)
陶磁器の生産地として有名な中国の江西省東北部に位置する市。およそ1000年前には磁器が焼かれていましたが、中でも最も上質な白磁を焼成していたのが景徳鎮でした。中国歴代の優れた技法は、東洋をはじめ、ヨーロッパの磁器文化に多大な影響を及ぼし、現代の陶磁器の礎となっています。

【こ】
硬水(こうすい)
カルシウムやマグネシウムの金属イオン含有量が多い水のことです。逆のものは軟水といいいます。ビールの場合はその色を決めるのは水の硬度です。硬水を使用して醸造したビールは濃色のビールになります。日本では関東地方の一部と南西諸島のみが硬水で、それ以外の地域では軟水です。

