ビールの歴史
ピラミッド建造は、
苦役ではなく喜びだった

収入も得られ、ビールも飲める。死んだら王様と一緒にあの世に行ける。ピラミッド建造にたずさわることはむしろ喜びだった。奴隷がつくった? それは事実ではない。実は当時のエジプトには奴隷はいなかったのだから。
ピラミッド建造にたずさわることは決して苦役ではない。むしろ喜びだったんです。
本来なら、ナイルの洪水のおかげで4か月間も仕事も収入もない。それが、仕事にありつけて家族も食べさせることができる。そのうえピラミッドができあがったあとは、死んだら王様と一緒にあの世に行けるということになる。これはうれしいことでしょう。
だから、ピラミッドは奴隷がムチで打たれながらつくったというのは大ウソです。
決定的なことをいえば、ピラミッドをつくっていた時代のエジプトには奴隷という存在はなかった。もちろん重い労働に就いている人とか召使い役の人はいました。でもそれは現代も同じで、単にそういう職業に就いているということなんです。
なにも監禁・拘束されて、鎖につながれて無理矢理やらされてるわけじゃない。
さらにいえば、ピラミッドの建造に奴隷が無理矢理働かされていたとしたら、あんなに壮大で、4000年以上も保つような建造物はできません。嫌々やっている仕事というのは、成果が上がらないものですよね。
多くの人間が喜びをもってつくったからこそ、21世紀のわれわれが見てもびっくりするようなものができたんです。
そんなピラミッドの建造に、ビールという飲みものもひとつの役割を果たしていたというわけです。ビールは、現代のわれわれが想像する以上に、社会生活のなかで重要な地位にあったのです。
by 吉村作治 早稲田大学名誉教授 エジプト考古学者