ビールの歴史
貴族の食卓は一日二食、
朝は軽めに夜は豪華に


古代エジプトの土地はすべてファラオのもの。貴族はファラオから土地を農民付きで借りている土地所有者のような存在だった。食べているものも庶民とは比べものにならず、朝と昼はいっしょで軽くすませるが、夕食は肉や野菜を食べ放題。デザートもしっかり食べていた。
古代エジプトでの貴族というのは土地所有者、中世の荘園領主のようなものであった。もともとエジプト中の土地は全てファラオのものであったから、ファラオから農民つきで借りていたと言う方がよいのかもしれない。この貴族たちは朝と昼はいっしょに、パンや牛乳、果物ぐらいですませ、夕食にかけていた。牛肉、羊肉、トリ肉をローストしたものを中心に、野菜のシチュー、サラダなどを食べ放題食べていた。そして食後のデザートも果物、ケーキとふんだんにとっていた。
by 吉村作治 早稲田大学名誉教授 エジプト考古学者
【パン】
古代エジプト人にとって、パンはビールとともに生活に欠かせない食品だった。古王国時代には約20種類、中・新王国時代には40種類ものパンがあったようだ。一般庶民の間で広く食べられていたパンは大麦でつくられており、神への供物用には上質の小麦が使用された。さまざまな混合物を混ぜた、医療用のパンもつくられた。

【ビール】
ビールは古代エジプト人にとって、身近な飲み物であり、パンとならんで神や死者への供物として、最も重要なものだった。古王国時代には少なくとも4種類のビールがあった。新王国時代には輸入ビールもあったようだ。

【ターメイヤ】
豆類の中でも特に好まれているフール(ソラ豆)は、料理の種類も多い。現代のエジプト料理で最も一般的なターメイヤは古代から伝わる料理のひとつ。

【モロヘイヤのスープ】
王様のものという意味があるほど位の高い人も食べていた食品。クレオパトラも好んで食べたといわれているが、文献などには残っていない。和名ゼニアオイといわれる一年草で、ビタミンCなどミネラル分が豊富。古代エジプトの時代から人々に食されている。

【ハトの丸焼き】
新王国時代にはハトが完全に家禽化されていた。ハト小屋は屋根の上につくられるか、泥と藁で建てられていた。

【ナツメヤシの実】
ナツメヤシ(デーツ)の果実は王だけでなく庶民まで大変好まれた果実。現在でも生や干した果実が食されている。ナツメヤシ(デーツ)の果汁を発酵させてつくったワインもあった。

【イチジク】
イチジクには普通のイチジクとシカモアイチジクと呼ばれるものがあった。特にシカモアイチジクは神話から神々のもつ神性や母性を象徴する木であり、絵画や記録が数多く残っている。

【レタス】
レタスは、豊穣と生殖の神“ミン”に捧げられ、古代エジプトの人々は媚薬として効果があると信じていた。そのため、常に大量に食卓にのぼり、消費されていた。なお、古代エジプトのレタスは写真のレタスとは異なり、葉がとがったタイプのものだったよう。

【セロリ】
古代エジプトでは、セロリやパセリを集合的に“マテト”と呼んでいた。セロリは“北のマテト”。この野菜はミイラを飾る花輪の中にしばしば使用され、死者にとっても重要な野菜だったと思われる。

【ハチミツ】
古代エジプトにおいて、蜂蜜は大変高価な品で、金持ちしか手に入れられなかった。蜂蜜はケーキやパンの甘味料のほか、最高のビールやワインに加えられたり、薬の材料としても使われた。古王国時代にはすでに養蜂が行われていた。

【ワイン】
古代エジプトでは、ワインは初期のころ、神に捧げる神聖な飲み物として、王家や神殿の畑で特別につくられ、一般の人々の口にはいることはなかった。新王国時代に入って、生産量が増え、比較的一般にも飲まれるようになった。
