ビールの歴史
古王国時代、
エジプト人たちのビールづくりは
かなりの職人技だった

従来は、古代エジプトビールはシステマティックにつくられたものではなく、自然の素材を空気中の酵母で自然に発酵させた、という通説が信じられてきた。しかしキリンビールが研究を重ねた結果、新説が浮かび上がった。
それまでの「通説」では、古代エジプトビールづくりは簡単にいえば「パンを水に浸したものを放置してておいたら、ビールができた」という、まるで「自然の驚異」みたいな話であった。水に浸されたパンが自然に発酵して、いつのまにかビールになっていたというのだ。
順番を追って説明しよう。
パンを水に浸したものが麦汁の役割を果たし、発酵に必要な酵母は空気中にある野生酵母と考えられていた。水瓶にパンを落として、そこに野生酵母が繁殖してビールが誕生した。つまりビールは偶然に生まれた飲み物だというのだ。こうしてできたビールはアルコール度数も3%程度の、軽いお酒とされていた。

通説によるエジプトビールのつくり方はこうだ。
(1981年、1985年にキリンビールで再現)
- 大麦(麦芽)を粉にする
- 麦芽でパン生地をつくる
- パンを焼く
- パンをほぐしてお湯を加え、ふるいにかけてこす。この時、ナツメヤシジュースなどを加えることもある
- ビール壷に詰め、自然に発酵するのを待つ
(※1981年、1985年の実験では当社が保有している酵母を人工的に添加) - アルコール度数:3度 麦芽の香りをもった少し酸味のあるビールのできあがり。このころはホップは使用されていなかった。
ちなみに、現代のビールづくりは、古代エジプトビールづくりと工程が少しちがう。
現在のビールづくりには、パンを焼き乳酸発酵させる過程がなく、糖化と発酵は別々に行われる。糖化が完了した後、培養した酵母を加え発酵工程に移行するのだ。






