ビールの歴史
みんなビールをよく飲んだ!

中世ヨーロッパの人々はとにかくビールをたくさん飲んだ。当時の劣悪な水事情、またビールがカロリー補給の手段であり食事の一部であったことを考えると、当然ともいえるが、その消費量の多さは以下のデータからも容易に想像がつくことであろう。
●一人あたり500リットル!
9世紀に北フランスのコルビー修道院が定めた規則によれば、修道院に養われていた貧者には、一人あたり年間500リットル以上のビールが配給された。ちなみに2012年の統計によると年間一人あたりのビール消費量が最も多いのはチェコの148.6リットルで、日本は40位の43.5リットルであるから(「キリンビール大学」レポートより)、そのド級の消費ぶりに唖然とするばかり。
●一日およそ1.000〜2.000リットル!
世界遺産にも登録されているスイスのザンクト・ガレン修道院では、11世紀頃に3つの醸造所を所有し、巡礼者や行商人などの参詣者に供するビールなどのため、一日におよそ1.000〜2.000リットルものビールを醸造していた。なお修道士には一日5リットルのビールが割り当てられた。院内には常時100人を超える修道士たちがオート麦や大麦の栽培に従事していたという。
●老後もビールで健康管理!
13世紀のフランス・ノルマンディーの修道院では、ある老夫婦が全財産を修道院にゆだねる代わりに、衣食住の面倒を見てもらうという終身契約を結んだ。その契約にしたがって、修道院は毎日4リットルあまりのビールを老夫婦に支給したという。
●威信をかけた大樽300!
15世紀、ヨークの大司教が新しく就任したとき、その祝宴にはビールの大樽(1.145リットル)300と、葡萄酒の大樽100が運び込まれたという。