ビールの歴史
国産ビールのさきがけは、横浜で
アメリカ人醸造家によって生み出された

幕末に蘭学者・川本幸民の「化学実験」によってビールが醸造されてからおよそ20年の時を経た明治維新後、日本のビール産業が横浜で産声を上げる。手がけたのは日本での成功を夢見て横浜に降り立ったアメリカ人醸造家ウィリアム・コープランドだ。

1834(天保5)年、ウィリアム・コープランドは、ノルウェー南東部の港町・ アーレンダールで生まれた。ドイツ人の醸造技師のもとで、5年間ビールの醸造方法を学んだ後アメリカへ渡り、1864(元治元)年に来日。運送業などの事業で資産をたくわえたコープランドは日本に暮らす外国人向けに、高価な輸入ビールに代わって手頃で新鮮なビールを提供しようとビール醸造に乗り出す。そして、日本において初めて、産業として継続的にビールの醸造・販売を行った。