ビールの歴史
キリンビールが当時の史料を研究して
ドゥーフのビールを再現してみた

キリンビールでは、当時の史料に基づいて調査・研究を行い、現代の技術で復元に着手。ホップの代わりに丁字を使い、さわやかな香りとほのかな甘味・酸味がある弱炭酸の復元ビールが完成した。
復元はいわば200年の時を隔てたお客様とのコミュニケーション。復元を担当したキリンビール福岡工場の吉村透留は仕込み作業を行いながら、ドゥーフが飲みたかったのはどんなビールだろうと考えた。故郷のビールを切に望んでいたドゥーフにとって、自らの手でつくることだけが、残された希望の光。しかも、当時の日本で手に入る、限られた原料と限られた道具でビールをつくろうとした。それを可能な限り現代に技術翻訳することが、与えられた使命だと吉村は感じた。

吉村透留(よしむら・とおる)(当時)
ドゥーフが参考にした『厚生新編』によれば、基本的に現在のビールのつくり方と大きく変わるところはない。ただし、大体のつくり方と経験則による知恵が書かれているため、当時、実際にはここに書かれていない工夫をしたビールづくりが行われたと推測される。たとえば、ビールの味はちょっとした温度や混ぜ方で変わってしまうものだが、ドゥーフがそれらをどう調整していたかを読み解くのが復元のポイントとなった。

完成した復元ビールは…。

・さわやかな香り
・ほのかな甘味と酸味が感じられる
・淡い白色で濁りがあり、炭酸が弱い
【原料】大麦麦芽、小麦、丁子
【アルコール度数】約4.5%
試飲を終えて
「実に面白い味ですね。丁子の非常にスパイシーな香りがよく出ています」
復元を終えて
「ドゥーフさんはよほど故郷のビールを欲していたのでしょう。19世紀の初めにタイムスリップして『ドゥーフさん、どうですか』と飲ませてあげたいですね」