ビールの歴史
中世グルートビールに使われていた
ヤチヤナギは、今もビールや
リキュールに使われている


自生地の地図(参考:昭文社発行
2004年〜2005年度版世界地図)
ヤチヤナギの自生地とグルートビールの普及地はほぼ重なっていたという。今でもヤチヤナギはスコットランドや北欧、ドイツ北部などで自生しており、デンマークやオランダなどでは、ヤチヤナギを使った特別なビールもつくられているのだとか。
ヤチヤナギ(学名:Myrica gale)は、現在もスコットランドや北欧、ドイツ北部の湿地帯に自生している。すがすがしい独特の香りを持つ植物で、中世当時は比較的手に入りやすいハーブの一種だったようだ。現在でも、デンマークやオランダなどでは、ヤチヤナギを使用した特別なビールがつくられているという。
ヤチヤナギは、ヤマモモ科の落葉小低木、温帯地域の湿地に多く自生し、雌雄で株が異なるのも特徴。谷地(ヤチ)は湿地帯を意味し、その姿が柳に似ているため、ヤチヤナギと呼ばれているが、柳の仲間ではない、念のため。
ハーブとして使用するときは、葉や枝、果実など植物全体を砕く。
中世グルートビール復元を監修したドイツのバッカーバウアー教授によると、ヤチヤナギが自生する湿地のある地域<フランス、ベルギー、オランダ、ドイツの大西洋岸からデンマークを経てスカンジナビア半島まで>と、グルートビールが普及していた地域が重なっているらしい。これらの地域では、ヤチヤナギは身近なハーブとして利用され、今でもその名残としてリキュールやスピリッツ、ビールなどにヤチヤナギを用いた製品がある。
▲ ヤチヤナギの雄株
▲ ヤチヤナギの雌株
▲ ヤチヤナギを使用したお酒