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[食領域]

<参考資料>「プラズマ乳酸菌」のウイルスに対する免疫賦活メカニズムを解明

  • 研究・技術

2014年12月5日

キリン株式会社

キリン株式会社(社長 磯崎功典)は、小岩井乳業株式会社(社長 堀口英樹)と共同で、プラズマ乳酸菌(Lactococcus lactis JCM5805株)※1がウイルスに対する免疫の賦活効果を示すことを確認しています※2。これまでなぜプラズマ乳酸菌(JCM5805株)が、このような免疫賦活効果を示すのかは分かっていませんでしたが、当社基盤技術研究所(所長 近藤恵二)は今回初めて、そのメカニズムの一端を明らかにしました。この研究の成果は、12月7日(日)、第18回日本ワクチン学会総会で発表されます。

  • ※1 以後、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)と表記
  • ※2 2011年9月6日発表 「ウイルス感染防御を担う免疫細胞を活性化する乳酸菌を発見」
    2014年3月29日発表「プラズマ乳酸菌摂取によるロタウイルス感染症状の緩和効果を確認」
    2014年11月6日発表「プラズマ乳酸菌摂取による風邪及びインフルエンザ症状の軽減を大規模試臨床験にて確認」

プラズマ乳酸菌(JCM5805株)は、ウイルスに対する免疫を統括するプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を直接活性化できるという非常に珍しい形質を持つ乳酸菌として発見されました。また、このユニークな活性にはプラズマ乳酸菌(JCM5805株)のDNAが関与していることが分かっていました。今回の研究では、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)の全DNA配列をまず明らかにしました。DNAを様々な箇所で切断したところ、CpGモチーフと呼ばれる配列が切断されると、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)のpDC直接活性化作用が失われたことから、DNA断片中のCpGモチーフ配列が活性化作用に必須であることが証明されました。

さらに解析を進めた結果、予想に反してCpGモチーフ配列の数と活性化作用の強さは単純に比例せず、CpGモチーフ配列を含むDNA断片中のGC含量※3が活性化作用の強さを規定しており、そのGC含量が35%以下であることが重要であることを発見しました。すなわち、GC含量の低いDNA断片中にあるCpGモチーフ配列こそがプラズマ乳酸菌の活性本体である“高活性CpGモチーフ”であることを見出しました。

  • ※3 DNAを構成する4つの塩基(A, T, G, C)のうち、GおよびCが占める割合を示した数値。

今回解読したプラズマ乳酸菌(JCM5805株)ゲノム配列を免疫調節活性が報告されている乳酸菌株(ATCC 53103株※4)と比較すると、JCM5805株には“高活性CpGモチーフ”がATCC 53103株の10倍以上も含まれていることが分かりました。
以上の知見はプラズマ乳酸菌(JCM5805株)が“高活性CpGモチーフ”を非常に多く含んでいるため、一般の乳酸菌には認められないpDC直接活性化作用を有することを意味しています。今回の研究により、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)だけが特別なpDC直接活性化作用(免疫賦活作用)を持っている理由の一端が明らかになりました。

  • ※4 Lactobacillus rhamunosus ATCC 53103。アレルギー改善効果などの報告がある。

当社は、今後も乳製品・清涼飲料をはじめ、キリングループの商品などへの応用と合わせて、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)のさらなる有効性を解明していきます。

キリングループは、あたらしい飲料文化をお客様と共に創り、人と社会に、もっと元気と潤いをひろげていきます。

「プラズマ乳酸菌」のウイルスに対する免疫賦活メカニズム

乳酸菌DNAはpDC内に吸収され、中で分解されて断片化する。

断片化された一般的な乳酸菌DNAからの高活性CpGモチーフ生成量はごく少ない。

断片化されたプラズマ乳酸菌DNAからは多くの高活性CpGモチーフが生成される。
このDNAの特徴が、プラズマ乳酸菌に特有の活性の源となっている。

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