大切なのは自分がワクワクするかどうか。スタートアップで知ったビジネスのおもしろさ【#わたしとキリン vol.12 服部公輔】

キリン公式noteより(公開日2023年5月15日)

キリングループでは、「よろこびがつなぐ世界へ」というコーポレートスローガンを掲げています。そのために社員が大切にしているのが、「熱意、誠意、多様性」という3つの価値観。

これらをベースに、各自が大切にしている第4の価値観をミックスすることで、社内では新たな取り組みがたくさん生まれてきました。

そんな社員たちの取り組みから、多様な働き方を考えていく企画が「#わたしとキリン ~第4の価値観~ 新しいウインドウで開きます」です。

第12回に登場してもらうのは、キリンホールディングス株式会社から株式会社パンフォーユーに出向中の服部公輔。「新しいパン経済圏を作り、地域経済に貢献する」というビジョンを掲げる同社で、営業の仕事に取り組んでいます。

スタートアップならではの規模感やマインドのなかで、これまでにはなかった包括的なビジネスの経験を積んでいる服部。彼が大切にする第4の価値観には、若々しく、勢いがあり、真っ直ぐな想いがこもっていました。

【プロフィール】服部 公輔

2018年キリン株式会社(現:キリンホールディングス株式会社)入社。北海道千歳工場研修を経て、2018年10月よりキリンビール東北統括本部北東北流通部、2020年4月より東北流通支社流通第1支店にて、量販企業(スーパーマーケットなど)の営業担当に従事。本業と共に社内新規事業制度に参加。2022年10月より株式会社パンフォーユーへ出向。

地域のパン屋さんと顧客をつなぐプラットフォーム

―最初に、服部さんが勤務されているパンフォーユーという会社について教えてください。

服部:パンフォーユーは、地域のパン屋さんと顧客を繋ぐプラットフォームを提供する会社です。全国各地のパン屋さんが作ったパンを、独自の冷凍技術とネットワークを活用してお客さまに届ける事業をしています。

僕は事業本部で営業業務を担当していて、大きく分けて二つの仕事をしています。一つは、法人クライアントさま(BtoB)への営業ですね。飲食店や映画館、ホテル、ECサイトなどに、パンという商品を通じた事業の提案をしています。もう一つは、エンドユーザー(BtoC)側の新規事業立ち上げも担当させてもらっています。

▼パンフォーユーについての記事はこちら

―パン屋さんに対しては、自分たちからお声がけをして契約を結ばれているのですか?

服部:こちら側からお声がけをして契約をしていただく場合もありますし、パン屋さんからお問い合わせをいただいて提携する場合もあります。

パン屋さん側からは「売上を伸ばしたい」「知名度を上げたい」などの声が多いですね。

地域のパン屋さんって基本的に近所に住んでいる方々がお客さまなので、遠くのお客さまに焼きたてのおいしさを保ったパンを届けることができません。販路を広げるのが難しいんですね。そういう課題を抱えているパン屋さんからのお問い合わせが多いです。

―サービスを利用している方々からは、どのような感想がありますか?ユーザー側とお店側、それぞれの反応を聞かせてください。

服部:エンドユーザーの方々からは、「今まで知らなかったおいしいパンに出合えた」「送られてきたパンがおいしかったので、今度は直接お店に行ってみたい」などの声が多いですね。

「知人が住んでいる町からパンが送られてきて、そのパン屋さんの話で盛り上がりました」といった感想もありました。パンから想起される人のつながりもあるんだなとおもしろい発見でした。

―確かに、知人が暮らしている町からパンが送られてきたら、そのお店のことを伝えたくなりますよね。

服部:そうですね。パン屋さんからは、実際に売上や知名度が上がったという感想をいただきます。あとは、パンフォーユーを利用したことで一定の売上が作れるようになったので、少しお店の休みを増やすことができましたといった声も届いています。

成果によって実感できたビジネスのおもしろさ

―服部さんはキリンの社員で、そこからパンフォーユーに出向しているんですよね。そもそもキリンに入社しようと思ったきっかけを教えてください。

服部:大学生のときに、焼き鳥屋さんでアルバイトをしていたんです。そこで、店長が焼いてくれた焼き鳥と合わせて飲んだビールのおいしさに感動して。食とお酒って、こんなにも広がりのある世界なんだと衝撃を受けたことが一番のきっかけです。

他にも、オーストラリアに留学していたときに、英語ができなくてもお酒の場はみんなと楽しめたんです。スポーツや音楽のように、お酒も言葉を超えたコミュニケーションができるんだと実感して、そういうものを扱う仕事はおもしろそうだなと思いました。

―キリンに入社したあとは、どのようなお仕事をされていたのでしょう?

服部:入社後は、東北でスーパーマーケットをはじめとする量販店の営業をしていました。ただ、飲食店の営業とは違って、お客さまの顔を直接見られるわけではなかったので、初めはビールに関する仕事をしているという実感をあまり持てなかったですね。

―そういうなかで、仕事のおもしろみを見つけることはできましたか?

服部:そうですね。新しい商品が発売されたときに、スーパーの陳列や店頭POPの工夫した見せ方を自分で提案して実施したことがあったんですよ。

それが思っていた以上に好評で、しっかりと売上が立ったときには、すごく手応えを感じましたね。時間をかけて、自分で考えたことが形になり、それが数字にもつながったときには、仕事のおもしろさを感じられました。

営業時代、お得意先様を富士御殿場蒸溜所にご招待した時の集合写真

服部:ビジネス的なおもしろさを知ってからは、改めて好きなことを仕事にして良かったと思うようにもなりました。やっぱり好きなものって、自分の言葉で語れるじゃないですか。だから、心からオススメしたい商材を扱えるのは、うれしかったですね。

―営業でキリンのビールを紹介するときには、どんな言葉で魅力を伝えていたんですか?

服部:全社で一貫したブランド価値を届けるために、本社から共有される営業資料を使って自社のブランドを説明することが基本でしたが、そのスーパーで買ったお惣菜と合わせて飲んだビールの感想のほうが、魅力が伝わると思って、「このお惣菜と合わせて一緒にこのビールを飲むとおいしいですよ!」といった提案をよくしていました。

そういう話をすると、スーパーの方も「そうそう!この唐揚げ、おいしいの!」みたいに言ってくださったりもしたので。

あとは、ビールを飲むときって食事をしながらのシーンが多いと思うんです。なので、自分が実際に食べて飲んで「このお惣菜は、このお酒と合うな」「お酒のおいしさがより引き立てられるな」と思ったオススメの組み合わせを伝えるようにしていました。

―やはり、その人の体験から出てくる言葉はダイレクトに伝わるんでしょうね。

服部:ビールの製法や素材についてお話しすることもありましたけど、なにより心を込めて話せるのは自分の体験したことじゃないですか。そういう話のほうが、お客さまとも盛り上がるんですよ。

キリンとスタートアップの間で感じたギャップ

―キリンからパンフォーユーに出向することになったのは、どのような経緯だったのでしょうか?

服部:以前から新規事業の立ち上げに関わりたいとは会社に話していて、出資先のスタートアップにアサインしてもらえたという流れです。

―新規事業の立ち上げに関わりたかったのは、どうしてなんですか?

服部:自分の幼少期を振り返ってみると、僕はひとりっ子だったので、一人で考えてなにかを作ることが好きだったんですよ。実家で飼っていた犬の名前「バロン」と自分の名前「コウスケ」を組み合わせて、「バロコウ株式会社」を設立して、親に肩叩き券を販売するみたいなことをしていたくらいで(笑)。

―小さい頃から自社の経営を(笑)。

服部:そうそう。欲しいゲームを買うために、そんなことをしていました。だから、自分で考えてなにかをするのが昔から好きだったんでしょうね。社会人になってから改めてビジネスのおもしろさを知って、新規事業に興味が向いたのかもしれません。

―ビールの仕事をしたくてキリンに入社したというお話がありましたが、出向先がパンの会社だと聞いたときは、どう思いましたか?

服部:ビールの仕事ではないですが、とてもワクワクしましたね。どんな会社で、どんな仕事をするのかもわかっていなかったんですけど、新しいことに挑戦できるというワクワクのほうが大きかったです。

―実際に働き始めてからの感想はいかがですか?大企業のキリンとスタートアップのパンフォーユーにおけるギャップなどがあれば教えてください。

服部:ギャップはたくさんありますね。まず、パンフォーユーは従業員数が少ないので、一人ひとりが重要な役割を持った存在だなとより感じます。

それと関連して、いろんなバックグラウンドを持った人がいるんですよ。前職もスキルも違う人たちの集まりで、一人ひとりの個性が立っている会社だなと思います。

組織で言うと、少人数だからこそすべての業務が見えることになりますし、関わり合いも深くなります。デザイン、システム、物流のところまで考えないといけないので、それぞれのジャンルのプロに教えてもらいながら進めています。

キリンは基本的には分業制なので、自分の部署以外の業務まで考えることはありませんでした。

―人が少ない分、スタートアップでは個々の業務が多岐にわたっているんですね。

服部:一方で、仕事を分業化できる大企業の仕組みって、やはりすごいなと感じています。

僕がキリンで営業をしていたときは、製造や物流のことにまで目が届いていなくて、とにかく商品を売ることだけに注力していました。

そういった仕組みや環境に寄りかかっていたんだなとも思いました。なので、パンフォーユーに来てからは自分の無力さを感じています。

服部:あとスタートアップは、当然ながら社内に蓄積されている情報がまだ少ない状況です。だから、初めてのことに頻繁に直面しますし、そのたびに自分たちで調べて、考えて、行動して乗り切ることの連続です。

でも、キリンの社内には過去に積み上げてきた情報がたくさんあって、社内の誰かに聞けばわかるような環境だったので、社外に問い合わせることってほとんどなかったんですよね。

社内のナレッジから探せば解決するので便利ではありますが、逆に視野が狭かったなとも思います。近くに情報があるがゆえに、思考と活動の幅が狭かったなと。

それは会社がというよりも僕個人の反省ですが、そんな気づきも含めて今の仕事には、初めてのことだらけの大変さがあります。それでも、みんなで一つひとつ業務を積み上げていくような手触り感があるので、すごく楽しいですね。

―そういう環境に身を置くことで、ビジネスの筋力がついている感覚はありますか?

服部:まだまだ未熟ですが、ビジネスの筋力が徐々についてきたような気がします。キリンで営業だけを続けていたら、知り得なかったであろう道が見えてきて、自分がやりたかったことに近づいているなとは感じますね。

ワクワクする気持ちを大切に、自分の事業を立ち上げたい

―『わたしとキリン』という企画では、キリンが掲げている3つの価値観(熱意、誠意、多様性)に加えて、社員の方それぞれが大切にしている第4の価値観について伺っています。服部さんが仕事をするうえで大切にされている、第4の価値観を教えてください。

服部:僕が「これだけは」と思って大事にしているのは、自分がワクワクするかどうかです。

先ほどもお話したように、小さい頃から自由にいろいろなことをしてきましたが、これからも楽しそうでワクワクするほうを選択していける人生でありたいなと思っています。自分がワクワクしないことで、人をワクワクさせることはできないと思うので。

―そういう選択をしてきた道は、自分で納得のいくものになっていますか?

服部:もちろん、どんな選択をしても後悔することはあります。でも、今の僕の人生は楽しいので、結果的に間違えてはなかったのかなと。自分の人生に正解や答えがないからこそ、今を楽しめているかを大事にしたいですね。

―最近は「好きなことが見つけられない」といった声を聞くことがあります。服部さんは、ワクワクを見つけるために意識していることはありますか?

服部:日常のなかでも気になることってたくさんあると思うんです。例えば、「この人は、なんでその形の眼鏡を選んだんだろう」「あのブランドカラーは、どうやって決まったのかな」とか。

そんな自分の心から出た疑問にしっかり立ち止まってみることは大事かもしれないですね。スルーしないでその人に聞いてみたり、ネットで調べてみたり。

気になる=ワクワクするほうに自分の中の針が振れている状態だと思うので、それに素直に従ってみるといいのかなと思います。

―ワクワクする選択を続けながら、今後はどのような仕事をしていきたいと考えていますか?

服部:まず、ワクワクする選択を続けていくためには、ビジネスにおける経験やスキルをしっかり身につけて、人間としても礼儀正しくある必要があると思っています。ワクワクする道が目の前にあるのに、スキルや人間性がともなっていないせいで選べないこともあるので。

そのうえで、いつか自分で新規事業を立ち上げたいです。ただし、むやみに数字を追いかけるようなビジネスではなくて、自分の友達や周りの人がよろこんでくれるような仕事をしたいです。

そういう事業が、結果的にたくさんの人に愛されて、数字が伴い、日本を少しでも良くする一助になれることが理想ですね。

―そういう事業に挑む手段として、自分で起業をするという考えもありますか?

服部:あります。今は実際に起業した人のもとにいるので、ワクワクだけでは進めない大変さ、自分の無力さを感じています。なので、まずは企業のなかで新規事業を立ち上げるという選択もいいと思っています。特に大きな企業には、人材・資金・情報のリソースがあるので。

一方で、一度は自分の船を作って漕ぎ出したい気持ちもあります。そこはまだ決めきれていない部分ですね。

―大企業とスタートアップの両方を経験したからこそ、どちらの選択肢も具体的に考えられるのかもしれないですね。

服部:それは本当に思います。以前は漠然と「起業したい」とか「新規事業に挑戦したい」と言っていたんですけど、今は手探りで現場のリアルを感じられるようになったので、少しは具体的に未来を思い描けるようになったのかもしれません。

―今の言葉を10年後に読み返したら、また別の意味を持って服部さん自身に響きそうですね。

服部:そうかもしれません。とにかく、パンフォーユーへの出向は自分のキャリアのなかでも大きな転換点なのは間違いないです。今は、それを感じながら日々を生きています。

文:阿部光平新しいウインドウで開きます
写真:土田凌新しいウインドウで開きます

このページを共有する

お酒に関する情報の20歳未満の方への転送および共有はご遠慮ください。