酒・飲料の歴史 日本のビールの歴史 酒・飲料の歴史 日本のビールの歴史

テーマ別解説

食文化とビール

(6)ポテトと枝豆の人気
第二次世界大戦後、食糧事情が改善し、食べることを楽しむ余裕が生まれると、昭和初期以上に洋食や和洋折衷料理の人気が高くなった。家庭でもハンバーグやグラタンなどがおかずとしてつくられるようになる。また、ビール愛好者が増えたことから飲食店のメニューにビールがあることが当たり前となった。

ビールのつまみもバラエティ豊かになり、洋風のメニューが増えた。特にジャガイモ料理はビアホールの定番として人気を伸ばした。1981(昭和56)年8月2日付『読売新聞』東京版朝刊ではビール会社の人気つまみ調査の結果を報じているが、あるビール会社が20〜40歳代サラリーマンを対象に行った調査では枝豆、焼き鳥、フライドポテトがベスト3であり、別のビール会社が20〜26歳の女性を対象に行った調査ではフライドポテト、サラダ、枝豆がベスト3だったという。

この記事で、ビール会社の社員はビアホールのつまみの変遷を次のように語っている。「戦前は、ピーナツ、干しダラ、スルメが代表格。戦後は、アメリカから入ってきたポテトチップが新しい味として圧倒的な人気を呼びました。しかし、家庭にもポテトチップが普及すると、もっと手間をかけたと感じさせるフライドポテト、ジャーマンポテト(ベーコンとジャガイモを油でいためたもの)などが好まれるようになりました」。

枝豆は、ビアホールでも家庭でも人気の高いつまみだった。昭和の漫画では枝豆とビールがセットで描かれることが多く、『朝日新聞』の連載漫画『サザエさん』でも、磯野家の人々は夏になるとしばしばビールと枝豆で宵を過ごしている。

また、戦前からあったピーナッツの人気もあなどれないものだった。1960(昭和35)年7月30日付『読売新聞』は、今年の夏はビールが空前の売れ行きであることと、ビール党がつまみとしてピーナッツを食べた結果、ピーナッツの値段が60kg6,000円から1万円にまで上がったと報じている。

おすすめ記事

RECOMMEND ARTICLES