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紅茶の話

第7話 ペットボトル紅茶誕生

ペットボトル紅茶という提案
中国で始まった茶の歴史は長い年月をかけ世界中に広がり、その国、その土地の生活に合わせ、さまざまな進化を遂げ、根付いていきました。そして日本では、ペットボトル入り烏龍茶の誕生で、茶の進化は新たな局面を迎えます。

フレッシュな感性が提案したコンセプト
1986年発売当時の「午後の紅茶」1.5Lペットボトル

1986年発売当時の「午後の紅茶」1.5Lペットボトル

1986(昭和61)年、キリンビール社が発売したペットボトル入り烏龍茶には、たちまち市場から大きな反響があり、烏龍茶ブームを巻き起こしました。烏龍茶が新しい清涼飲料として注目されるようになる中、これに続けとばかりに、茶飲料商品の開発の検討がキリンビール社社内で行われます。(当時、キリングループの清涼飲料は、すべてキリンビール社で開発・製造を行っていました)

この年、マーケティング部の飲料・食品企画担当の3人の若い女性が新たな茶飲料の開発担当になりました。入社4年目の主担当を中心に、最年少は入社2年目、フレッシュな感性をもったチームで今までにない茶系飲料のアイデアが練られていきます。煎茶、マテ茶、日本茶、麦茶、杜仲茶…候補が次々あがりますが、どれもすでに市場に缶入り商品があり、キリンでもいくつかを商品化していました。

また紅茶についても、すでにキリンでも「ウイティ」という名のレモンティー・ミルクティーが缶入り紅茶として販売されていました。温かい紅茶は、家庭でティーバッグで手軽に飲むことができる飲料です。紅茶に清涼飲料としての魅力を持たせるためには、もうひと工夫が必要だったのです。

缶入りしかなく、なかなか紅茶が清涼飲料化していかなかった理由のひとつは、紅茶の特性によるものでした。それは、冷やすと濁るという性質。紅茶本来の透明感ある紅い液色をそのまま商品化することが出来なかったのです。「甘さを控えて、すっきりした味。何杯も飲んでも飲み厭きない“アイスティー”。これがペットボトルで手軽に、ゴクゴク飲めるようにできたら…」そのアイデアは若き開発担当者たちの心を捉えました。

1986年発売当時の「午後の紅茶」1.5Lペットボトル

1986年発売当時の「午後の紅茶」1.5Lペットボトル


『冷やすと濁る』をクリアする技術革新
マーケティング部からペットボトル入りの紅茶の開発要請を受け、製造部の技術陣は試作品を作成します。しかし試作品はことごとくはねかえされてしまいます。それは試作品が白く濁っているからでした。紅茶は熱湯で抽出してしばらくは透明で澄んだ紅い色ですが、冷めると濁りがでるクリームダウンという現象を起こします。この現象は常識で、現に当時売られていた缶や紙製品の紅茶も濁っていたのです。グラスに注いだとき、透明な紅茶の色でなければ絶対にダメだ、というマーケティング部の主張に、技術陣の試行錯誤が続きました。どうすれば冷えたショーケースのなかでもあの透明感を残せるのか。冷やせば濁る特性を、本物の紅茶の葉を使う「午後の紅茶」で打破するのは至難の技でした。技術陣は茶葉の選定、抽出の工夫など、考えられるあらゆることを試し、とうとう透明にする方法を考え出します。半信半疑で集まった関係者は、試作品を前に、言葉もなく感激で胸をつまらせていつまでも見続けていたといいます。試作品は紅茶特有の澄んだ色をしていて、一点の濁りも見られなかったのです。紅茶特有の味覚をそのままに沈殿をさせない(濁らない)技術を、キリンビールが初めて開発した瞬間です。この透明化技術は、当時の業界では驚異の発明で、長らくキリンビール独自の技術として他を寄せ付けませんでした。


コラム


「午後の紅茶」名前にこめた願い

公爵夫人のイラスト

ティーパーティ、ティースポット、ティースプーン・・・思いつくような言葉はすでに商標登録されており使用できません。当時、紅茶関係の書籍は少ないながらも、どの本にも必ずといってよい程登場する印象的な言葉がありました。それは「アフタヌーン・ティー」。紅茶が作るくつろぎのひとときが日本にも根付くことを願い、「午後の紅茶」と和訳し命名されました。
商品シンボルには、アフタヌーン・ティーの創始者といわれるベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアが選ばれ、当時の貴族の装いや風俗を参考に、現在おなじみの帽子をかぶったイラストが描かれました。当初は容器ラベル側面にあった肖像画も、大ヒットとともに正面に配されるようになります。公爵夫人のイラストは2008(平成20)年にリニューアル。若々しい印象に変わっています。

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