[ページの先頭です。]

ページ内を移動するためのリンクです。

[ここから本文です。]

飲みものからくらしを考える

Vol.22 偏りを活かせる社会を創る
―ブロックチェーンと新しい社会の仕組みについて
~GIFTED AGENT代表 河崎純真さん~

発達障がい者を対象にした福祉事業所などを運営するGIFTED AGENT 代表の河崎純真さん。15歳からエンジニアとして働き、今まで5つの企業のスタートアップに携わってきました。中学卒業時に高校卒業資格し、高校には行かずに、様々なアルバイトをしながらその合間にエンジニアとしてお金を稼ぎ海外で見聞を広めます。18歳の時には企業売却を成功するという経験もします。その後大学へ。卒業後はいままで関わってきた仕事をリタイヤし、現在の仕事に力をいれています。
実は彼自身にも、また母親にも発達障がいがあり、そうした境遇も彼の今の活動の原点になっているようです。「見た目からはまったくわからないことも、この障がいの難しさ」と笑いながら話してくれました。

GIFTED ACADEMY

河崎さんの運営する教育機関はGIFTED ACADEMYという名前で、いわゆる福祉事業所と言われるものの一つです。学費は行政から助成金でまかないます。ここでの教育プログラムは①コンピュータプログラミング、②コンピュータグラフィック、③ブロックチェーン、④起業の仕方の4つです。さらにヨガを毎日行うこともこのスクールの特徴だと言います。こうした福祉事業所は一般に卒業後は企業に就職することを想定しています。しかしここでは元の職場や企業に就職することに重きはおいていません。もともと障がいがある人が、障がいを克服したり直したりするのでなく、普通の人にはないような、すでに持っている他の部分の才能を磨いていくということに目をむけています。そして本人が知識やスキルを手に入れることだけでなく、自分が働きやすい環境をどのように手に入れるかを教えるのです。最も特徴的なのは4番目の起業のプログラムです。既に授業を受けながら事業を起こして、実務の中で指導を受けている人も何人かいます。

日本の福祉制度の課題

とはいえ事業所の運営は簡単ではなさそうです。現在職員もすべてが発達障がいを抱える人だそうです。受講期間は3年、出席は自由、来なくなる人も、辞める人もいるようです。
問題を難しくしている大きな理由として彼は、日本の社会福祉制度にあるといいます。そもそも障がい者は福祉を受ける側という意識があり、自発的に行動しなくてもよいという甘えが生まれています。また先に触れたように多くの施設は教育して健常者の社会への社会復帰を目的としているのが一般的です。その場合、多くの人は企業の障がい者法定雇用率を満たすための「障がい者枠」として採用されていきます。しかし彼はそうしたことが本人たちの自立を妨げているといいます。そういう働き方では本当に自立していくことにならないというのです。
さらに発達障がいは、障がいが外から見えなく、常に障がいが現れているわけではないため、ついつい普通の仕事を期待されてしまいます。そのことで問題が起きやすくもなります。

そうした状況を避けるために、障がいを持ちながらも自分自身が生きやすい場を自ら創造することの方に大きな可能性があると河崎さんは考えています。
例えばデザイナーやエンジニアのように、産み出すものに高い価値があれば、「あの人はコミュ二ケーションはうまくないけれども作り出すものはすごい」というように、周りの人が認めてくれる環境を作り出すことができます。
障がいを障がいとして捉えるのでなく、別の才能のほうに注目していくのです。偏りを活かす社会とは偏りのない社会ではなく、様々な偏りがそれぞれの場で活躍する社会なのです。障がいは神から与えられた贈り物だと河崎さんは言います。

50年後の社会

彼は50年後の社会のあり様を想定した長い時間軸で活動しています。目指すべき社会は偏りを活かす社会。今の事業もそうした目指すべき社会の実現のための一つのステップのようです。彼はブロックチェーン技術の浸透が国家という枠組みを崩し、新しい経済や社会の仕組みをつくりだし、国が乱立する時代がやってくると言っています。そうすると国家間で争いが耐えないような事態がおきます。その時に個性や違いを認め合う「偏りを活かす社会」の実現が、一つのモデルとなって争いをなくしていくことにつながると考えているようです。このGIFTED ACADEMYもそうした未来の社会のモデルとして重要な活動のひとつになるのです。実際にここで起業し社会で活躍する人が徐々に生まれることで、ここに場が生まれ、そこからネットワークが繋がっていくことに大きな意義を感じています。現在他にもいくつかの事業に関わっていますが、これからもたくさんの事業に関わっていくことで未来の偏りを活かす社会の実現へ近づいていっているのです。

例えば今参画している活動のひとつに「next commons lab」という地方創生のコンサルタント事業があります。大都市中心の社会ではなく、地方が輝く社会をどのように実現させていくかということに関心があります。地域で活動している人の才能を発掘し育てていくことや、都市から地方へ行く人を増やして行くこと、また仕事の場を産みだしていくこと、それらはまさに理想の社会の実現へのプロセスです。
彼はその時の理想の社会を「よい感じの社会」と表現していました。彼らしいフラットな表現が印象的です。彼はエンジニアとして身につけたブロックチェーン技術が、これからの経済や社会のシステムをネットワーク型の社会へと変えて行くと考えています。それは今までの社会を中央集権型と考えるのなら、相互に補完し合い信頼を担保していく分散型の社会です。
理想の国をつくるというと壮大な計画のようにも見えますが、政治家になるわけでもなく、革命を起こすわけでもありません。彼はそれをシステムとしてとらえているようです。その実現のために小さな具体的な実験を積み上げているのです。50年後の誰もが公平に生きられる社会、また偏りが活かされ様々な個性が調和された社会を目指しています。

プロフィール

河崎純真 Jun Kawasaki
GIFTED AGENT株式会社  代表

1991年生まれ。13歳からプログラミングを始める。高校に行く意味を感じず、高等学校卒業同等程度認定試験を中学卒業と同時に取得し、中学卒業後15歳からエンジニアとして働きはじめ、Tokyo Otaku Modeなど複数のITベンチャー・スタートアップの立ち上げ、事業売却、役員業務などを経験。18歳で大学に進学。
Web 3D/VR(仮想現実)ベンチャーのAMATELUS Inc.(米国)にてCOOを経験。
2015年に現在のギフテッドエージェントを設立、発達障がい者の教育施設ギフテッドアカデミーを開始する。

[ここからフッタです。]

先頭へジャンプ