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未来のヒント

プロボノという活動を知っていますか?~NPOサービスグラント代表 嵯峨生馬さんに聞く~

サービスグラントのオフィスにて

今回はNPOの活動を支援するサービスグラントの嵯峨生馬さんに、お話をうかがいました。サービスグラント*はプロボノワーカーとNPOをマッチングする組織であり、同時にその名前が表しているように、お金で助成(グラント)するのでなく、スキルやノウハウといったサービスで助成をする仕組みです。

サービスグラントの活動

出典:サービスグラント Webサイト

プロボノは企業の人が自分の経験やスキルを活かして、主にNPOの支援をする活動です。サービスグラントでは支援先を定期的に募集し、審査を経て、プロボノプロジェクトを立ち上げます。プロジェクトには、3~6ヶ月を要する長期型から、本番1日で参加できる短期型までバリエーションを広げています。メンバーはそれぞれ違うスキルを持つ5名前後で構成します。プロジェクトによって全体統括、進行管理、調査企画、業務分析、そしてデザイナーなどのクリエーターからチームを編成します。支援内容は①パンフレットやウェブなどの情報発信、②ファンドレイジングのための営業資料整備や寄付管理、③業務改善のための組織運用マニュアルや業務フローの見直し、④事業戦略の立案、といった4つのカテゴリーに分かれています。
一般にNPOの活動は想いがあっても、お金も人も不足しがちです。そこで、時間もお金もかかる作業をプロの人がボランティアでサポートしてくれるというプロボノは、NPOにとって貴重な支援者となります。

プロボノのNPOにとっての意味

※2015年5月現在
援先は医療、福祉、教育の分野が多く、この割合は設立当初から変わらないという

NPO活動が注目され始めたのは15年ぐらい前のことです。法人化したNPO団体でも、多くの場合は立ち上げ時は有給専従スタッフが1人でもいればいい方で、多くの人が無償のボランティアという団体も多いそうです。時間がたつにつれて専従スタッフが数人になり、組織として成長していきます。そうなると、組織運営が課題になってきます。それまで個人の想いで運営してきた団体を組織として強化するために、しっかりとした戦略を立案することが、成長段階にあるNPOにとって大事になってくるのです。ここにサービスグラントの需要が生まれるのです。サービスグラントの支援先はすでに400件を越え、またプロボノワーカーとして登録している人は2,600人を超えています。徐々に社会的に認知され始めているといえそうです。

プロボノに参加する人にとっての意味

1日体験のプログラムも用意して、多くの人に対し機会を増やしていきたいという

この活動に参加することで、人々は自ずと社会の課題に敏感になっていくようです。会社の仕事と違って、のびのびとできることや、失敗を恐れずやれる環境がかえって多くの成果をつくりだすようです。さらに、自分のもっている知見が生かされ、新しい仲間と一緒にプロジェクトをすることでスキルが上がっていきます。またクライアントから感謝されることで、大きな自信にもつながっていきます。

企業や行政との共同プロジェクトが増えている

川崎市が主催のプロボノの活動、地域のNPOを地域の人が支援する

最近は個人での参加だけでなく企業として参加するケースも増えています。参加する人のスキルアップやCSRの観点での企業ブランド価値向上を期待してのことです。この活動によって今まで接点がなかった社員同士が知り合う機会にもなります。プロボノに参加することで社会課題に目を向けた社員が、自分たちの企業の社会的役割を意識しながら本業でも活躍していくという絶好の機会としてもとらえられています。また、行政のプロジェクトでは、自分の住んでいる地域に関わりが持ちにくかった人に、地域のNPOを支援することで自分の町に関わる機会をつくっていこうという試みが始まっています。

プロボノと企業の可能性

プロボノに登録するプロボノワーカー達
NPOが生まれた背景を説明いただいた

最近中国でもNPOが急に増えているそうです。2008年の四川大地震がきっかけだとか。災害の復旧を政府ばかりに頼っていてはいけないという危機意識がそういう動きになったと言います。日本でも東日本大震災後同じような動きが起きました。大きな災害は、自分達の社会の課題に直面する契機になるのかもしれません。そして次のような絵を描きながらそのイメージをさらに説明してくれました。

嵯峨さんは、社会の役割を大きく①企業、②行政、③家庭や地域という3つに分けて考えています。昔はその3つの役割がしっかり分かれていてうまく連携していました。しかし今はそれぞれの役割の間に隙間が出来ていると言うのです。その隙間を埋める役割としてNPOが登場してきました。しかしNPO活動を自ら行うにはハードルがあります。そこで、比較的気軽に参加できるプロボノという活動によってNPOに接することで、隙間を埋める役割に参加できるのです。この活動を企業が積極的に支援することは、企業にとっても意義があるはずです。単なるCSR活動ではなく、事業として行う活動としての可能性も見えてきます。隙間を埋めるために企業も新たな役割をみつける時代が訪れているのかもしれません。一足飛びに新たな時代には到達できないかもしれませんが、企業も個人もプロボノに参加し、自分の目でその隙間に向き合うことが必要なのではないでしょうか。

プロフィール

嵯峨生馬(さが いくま)
特定非営利活動法人サービスグラント代表理事。日本総合研究所を経て、2001年に渋谷を拠点とする地域通貨「アースデイマネー」を共同で設立し、2003年から代表理事。2005年に日本におけるプロボノの草分け的活動として「サービスグラント」をスタートし、2009年にNPO法人化、代表理事に就任。
著書に『プロボノ~新しい社会貢献 新しい働き方~』(2011年、勁草書房)、『地域通貨』(2004年、NHK生活人新書)等。専修大学大学院経済学研究科客員教授。

*サービスグラントとはTAPROOTファンデーションというアメリカの組織が行っているプログラム。この団体は世界のプロボノムーブメントを牽引している組織。そのプログラム名をサービスグラントでは団体名としても使い、同じプログラムを行っている。

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