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未来のヒント

外で感じたこと、経験したことを自分のくらしで再現してみる~福井純代さんの取材をとおして~

リノベーションされたキッチンスタジオ

今回は、デザイナーの福井純代さんに「日常のくらしと料理」というテーマでお話を伺いました。福井純代さんの仕事は多彩です。小物雑貨やアクセサリーなどをつくることから、インテリアコーディネートや企業向けのファブリックなどの商品開発などまでこなします。さらにはキッチンスタジオを持ち、料理教室も行うという多才ぶりです。

体が覚えている間に再現する

街で偶然見かけた素材を使う

福井さんは、おいしい料理を外で食べたら、舌の感覚を忘れないうちに同じ料理をつくってみる、また家にある食材と組み合わせてアレンジしてみると言います。この実際につくってみるというところがとても大事なのだそうです。そのことによって自分の記憶を確かにしていくのです。「時間がたつと、頭で覚えていても体が忘れてしまい、再現してもそれが、食べた物と同じ味かどうかを思い出せなくなってしまうの」と。今回つくってくれた料理も先日イタリアンのお店で食べたアサリの冷製パスタからヒントを得て再現してみたそうです。少しアレンジしてパスタではなく冬瓜とアサリの冷製スープに仕立てたとのこと。ただ再現するだけでなく、どんな組み合わせでどんな料理をつくろうかと考えることが楽しみでもあり、実際につくってみることでさらに新しいアイデアが生まれるのだそうです。

今回の料理メニュー

  • 冬瓜とアサリの冷製スープ
  • 冷製マル茄子の前菜
  • ズッキーニとエリンギのマリネ
  • そば粉のペンネ くるみとゴルゴンゾーラソース
  • ポークチャップのハーブ赤ワイン煮
  • ビールも用意しました

偉大な素人がプロの領域を超える

季節感のあるテーブルコーディネート

彼女は、今まで一度も専門的に料理を習ったこともないし、料理本を見ながらつくることもないと言います。料理好きでお客さんが多かったお父さんの手伝いをしながら体で覚えていったそうです。料理だけでなく、アクセサリーや服の仕事、インテリアのスタイリングもすべて独学だそうです。彼女のキャリアを聞くと「偉大な素人」、そんな風にも思います。自分の感性に正直に、興味のあること、自分の好きなことを徹底してつくり続けてきました。気になるものや身のまわりに必要なものに、全てこだわっているのです。そのこだわりが、日常の中でふと目にとまったアクセサリーや生地の使い方なども、自分のつくる物への発想を広げることにつながっていきます。専門領域をもたないことが、かえって自由な発想をつくりだすのかもしれません。さまざまなものに興味を持ち続ける「偉大な素人」がプロの領域を超えていくのです。
スタッフもいる福井さんですが、ものをつくる作業では自分自身でやってみることを大切にしているそうです。つくる中で思わぬ発見があり、創造力が高まるからです。例えば、生地を裁断中に、切り落とした生地のかたちが面白くて、それらをつかって作品を仕上げる。自分で作業しているからこそできる発見だといいます。初めから答えがあるのではなく、手を動かすことによって新たなアイデアが生まれてくるのです。

家の中に目を向けていく

さりげなく飾られている植栽

福井さんは、もっと多くの人が自分のくらしに目を向けたほうがいいと言います。外でおいしいものを食べたり、気に入ったものを見たら、それをいかに自分のくらしの中で再現できるかを考えるのです。自分の家に意識を向けることが、創造力を高めていきます。
さらに、既にあるものをどう利用するかということも興味深いところです。料理も、家にある食材と外で食べたレシピからのヒントを組み合わせています。小物やしつらえなども、同じように家にあるもの再利用していきます。できたものを買うよりも、あるものに手を加えていくことで、愛着もわいていくのでしょう。そのことが、さらに自分のくらしを大切にしようという気持ちにつながっていきます。

作業環境を整える

キッチンカウンター下の整理された調味料など

福井さんのキッチンは、とてもきれいに整理整頓されていました。彼女は料理をするときに、片付けをしやすいようにものの置き場に気を使っています。しつらえも掃除がしやすいように整えています。これだけ興味の範囲が広く、つくりかけの作品や素材をたくさん持つ福井さんですが、部屋は整然としています。ものをつくるためには、作業の環境をきれいに整えておくことが必要だと言います。きれいで整っているからこそ、そこに新たなものを作り出す想像力が生まれるのです。
素直に自分の気持ちをかたちにしていく福井さんですが、難しく考えずに体全体の感性をつかって仕事をしていく姿勢に共感しました。自分でつくったもので人を迎えるという気持ちよさを感じさせてくれた取材でした。みなさんも外で経験したこと、感じたこと、家の中でも再現し、自分のくらしの中にそれらを取り入れてみてはいかがでしょうか。

福井さんの小物

  • コレクションや手作りの箸置きなど
  • お気に入りのチーズカッター
  • 紙を貼った小物入れ

プロフィール

福井純代(ふくい・すみよ)SUMIYOS代表 マテリアルコーディネイター
東京生まれ
商社勤務、アパレルMD、インテリア雑貨商品開発の仕事に就きながら、LA・パリ・NYなど世界各地に滞在し、独自にデザインや製作知識を学ぶ。製作分野はアクセサリー、バッグ、小物雑貨から創作料理、そしてスタイリングやインテリアコーディネイトまで幅広い。自分の感性にこだわった一貫したデザイン性で心地よいライフスタイルを提案している。2012年アトリエと同じビルにスタジオをオープン。

Cooking:1998年より料理教室『SUMIYOS COOKING』を開催
Bag & Accessory:2001年秋冬から年2回(春夏/秋冬)コレクションを発表
Life Style:インテリコーディネート、スタイリング、ショップなどのディスプレイ

画像提供:PHOTO BY MIKI CHISHAKI

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