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強烈な甘味を好む子どもたち Julie A.Mennella

強烈な甘さを好む子どもの反応は、アルコール依存症の家族歴と、子ども自身の抑うつ傾向に関係することが分かりました。研究のプロジェクトリーダーである、モネル化学感覚研究所の発達心理生物学者ジュリー・メネラ教授による報告です。

甘さの嗜好とアルコール依存症、抑うつ傾向との関係

甘い味は、子どもたちに心地よさや満足感を与えます。中には、極端に甘い味を好む子どもたちもおり、その根底には生物学的な要因があるようです。甘味とアルコールは、どちらも脳の同じ回路(報酬領域)の多くを活性化します。そこで今回、アルコール依存症になりやすい遺伝的素因をもつ子どもたちの甘さの好みを調べました。また、甘いものを食べると気持ちが楽になることから、抑うつ傾向のある子どもは甘いものをより強く好むのではないかとの仮説を立て、抑うつ傾向の影響も調べました。

5段階の甘さで実験

研究では、5歳~12歳の子ども300人に、甘さの濃度を5段階に分けた砂糖水を飲んでもらい、どの甘さが一番好きかを選んでもらいました。そして、抑うつ傾向の有無を調べるための質問に答えてもらうとともに、彼らの母親には家族の飲酒状況に関するアンケートを行いました。

最も強い甘さを好んだ37人

その結果、全体のほぼ半数(49%)の子どもが、アルコール依存症と診断された家族(両親、兄弟姉妹、祖父母、おじ、おば)をもっていました。抑うつ傾向を示していたのは、およそ4人に1人でした。一番好きな甘さとして、強烈に甘い砂糖水を選んだ子どもは300人中37人で、いずれもアルコール依存症の家族歴があり、その子自身に抑うつ傾向がありました。彼らが選んだのは濃度24%の砂糖水で、コップ1杯の水にティースプーン14杯の砂糖を溶かしたものです。これはコーラ飲料の2倍以上もの甘さに相当します。ちなみに、この実験で子どもたちが好んだ甘さの平均は濃度18%の砂糖水で、24%の砂糖水に比べると、甘さは3分の1程度です。
ただし、この実験結果は、子ども時代の強い甘味嗜好と成長後のアルコール依存症との関係を必ずしも意味しているわけではありません。子どもが甘さに対して至福を感じる度合いが、大人になってからの飲酒の指標になるかどうかは分かっていません。

痛みを和らげる鎮痛剤の働きも

これまでの研究では、甘いものには成人の抑うつ症状を緩和する可能性があることが示唆されています。それと同様に、子どもたちにとって甘いものは、おいしいだけでなく、痛みを和らげる鎮痛剤のような役割も果たしていると考えられます。
そこで、甘いものが子どもたちの痛みを和らげるかどうかを次の実験で調べました。砂糖水と普通の水をそれぞれ口に含み、たらいに入れた冷水(水温10℃)に手を沈めてもらいます。そして、どちらを口に含んだほうがより長く手を沈めておけるか、時間を測定しました。その結果、抑うつ傾向のない子どもたちに対して、砂糖水が鎮痛剤のような役割を果たすことが分かりました。彼らは、水よりも砂糖水を口に含んだほうが36%長い時間、手を沈めておけたのです。ところが、抑うつ傾向のある子どもたちには、砂糖水の影響が見られませんでした。水の場合も砂糖水の場合も、冷水に手を沈めておくことのできた時間に差異はなかったのです。抑うつ傾向のある子どもには、もっと強い甘味が必要なのかもしれません。
今回の発見により、こうした子どもたちの甘味摂取量を減らしていくためには、さらなる研究を行い、従来とは異なる戦略を見つけていくことが必要だといえます。

この研究は、Alcohol Abuse and Alcoholism と the National Institute of Child Health and Human Developmentの助成金によるものです。雑誌Addictionのオンラインジャーナルサイトでアクセス可能です。
この研究に貢献した人は、M.Yanina Pepino, Sara Lehmann-Castor, Luren Yoursahawです。

文:Julie A.Mennella / 訳:キリン食生活文化研究所

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