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環境活動・トピックス

2018年12月22日

来日されたCDPのCEOとキリンホールディングスのCSV戦略担当役員が対談しました

ポール・シンプソン氏(左)と溝内 良輔(右)
  • CDP
    Chief Executive Officer
    ポール・シンプソン氏
  • キリン株式会社 取締役常務執行役員
    兼 キリンホールディングス株式会社 常務執行役員(CSV戦略担当、グループ環境総括責任者)
    溝内 良輔

来日されたCDPのCEOとキリンホールディングスのCSV戦略担当役員が2017年11月30日に対談を行いました。環境情報開示システムを提供する国際的な非営利団体であるCDPのデータは現在ESG※1で最も参照されているものの1つです。

ポール・シンプソン:キリンは気候変動や水の問題で多くの取り組みをされていて、リーダーシップを取られています。

溝内常務:ありがとうございます。

ポール・シンプソン:規模の大きなグローバル企業であるキリンにとっては、サプライチェーンが重要な課題になりますね。

溝内常務:そう考えています。そこで、Scope3※2でも2015年比で2030年にはGHG排出量※3を30%削減する目標を立てました。この目標は科学的に根拠ある目標としてSBTに承認されています。

ポール・シンプソン:30%削減というのは非常に野心的だと思います。世界のリーダー企業も科学的に根拠ある削減目標を掲げていますが、ほぼ同じレベルであり、妥当なものだと思いますね。

溝内常務:キリンがCDPに参加する目的は透明性ある情報開示です。しかし、開示しただけでは意味がありません。目標を設定し、計画を立て、実行することが重要です。そう考えると、科学的に根拠ある目標を設定し、その達成に向けて取り組むことは、当然進むべき次のステップだったのです。

ポール・シンプソン:そのような決断をされたことを嬉しく思います。多くの企業にとって野心的な目標を設定することは、従業員の意欲を高めると聞いています。

溝内常務:キリンでも、達成に向けた計画を立てようと従業員が熱心に取り組んでいます。

ポール・シンプソン:サプライチェーンへの働きかけについて、御社にはどのような課題があると予想されていますか?また、サプライチェーンは、日本国内だけが対象でしょうか?

溝内常務:もちろん海外を含めて全てが対象です。サプライチェーンの取り組みにはいくつかの課題がありますが、同時にキリンにとってのチャンスでもあります。例えば日本国内ではビールや飲料を配送するためのトラック運転手が不足しています。そこで競合他社と話し合いを行い、共同配送によってこの課題を解決する道を選びました。まだ北海道や北陸など一部の地域に留まっていますが、将来的には全国へ展開したいと考えています。これは運転手不足と言う企業の課題解決であるとともに、CO2も削減できる取り組みになります。ただ、物流分野には小規模事業者が多く、これらの企業をどう支援していくかは課題です。海外では、オーストラリアの事業が大きいのですが、ここでは電力価格が上昇しています。そこで、2026年までに10メガワットの太陽光発電施設を建設する決断をしました。サプライチェーンの改善では、小規模事業者の協力をどう得るかが日本と同様に大きな課題です。アジアでは2年前にミャンマーのビール会社を買収しました。事業は拡大していますが、工場は非常に旧式です。そこで、製造能力の拡大のために新たな投資を行うとともに、最新の省エネ設備を導入することでCO2を大幅に削減する予定です。

ポール・シンプソン:仰る通り、ビジネスでは常に課題がチャンスになり得ると思います。CDPで取り組んでいることの1つは支援です。企業が競争をするのは当然であり、それによって価値を生み出します。しかし、持続可能性という課題においては、異業種や時には同業種の企業が協力することで、多くの機会を得られると考えています。また、多くのサプライヤーが小規模であることが課題となっていますが、世界的な企業では、サプライヤーに対して研修を行うことで知見を移転し、さらには小規模サプライヤーに直接投資をすることでエネルギーコストを低減しメリットを共有している企業なども現れています。このような取り組みのノウハウは、過去には社外秘として扱われる場合が多かったと思いますが、今ではベストプラクティスとして共有することでお互いに学びあうことができる、という考え方が一般的になりつつあります。

ポール・シンプソン氏

溝内常務:キリンも日本の企業の中でそういったソリューションのモデル企業になりたいと思っています。CDPは温室効果ガス削減のベストプラクティスで豊富な知識を持っておられるので、共有をいただけると助かります。

ポール・シンプソン:喜んでそうさせていただきます。ところで、御社の製品にとって水は重要な資源ですが、この分野でもリーダー的な取り組みをされていますね。

溝内常務:最高のビールを作るには、クリーンで高品質な水が必要であり、水問題は最重要課題です。日本には綺麗な水がたくさんありますが、オーストラリアは水が不足しています。このような水問題の地域性を理解し、オーストラリアではより高度な節水を行うようにしています。

ポール・シンプソン:CDPが実施した調査でも、日本や北ヨーロッパには豊富な水がある一方で、南ヨーロッパや米国、中国、インド、オーストラリアなどで、水不足や水質悪化が深刻になっていることが明らかになっています。一方で、世界経済フォーラムは、水問題は最も深刻な経済のグローバルリスクだと述べています。気候変動と水や森林の問題が別々の問題だと考えている人がまだたくさんいますが、これらは切り離せない課題なのです。

溝内常務:日本では、水が大切な資源だという意識は一般的ですが、水が豊富な国であるがゆえに、水問題が世界的な課題であり、他の多くの問題に関連してくるという理解は遅れている気がしています。一方で、日本は燃料や原材料を輸入していることもあり、エネルギーや資源問題については進めやすい側面があります。再生可能エネルギーを100%にするのはすぐには困難ですが、着実に増やしていく方針にしています。

ポール・シンプソン:エネルギーは誰にとっても必要です。そのエネルギーの効率向上では日本は大変に技術的に進んでおり、期待しています。

溝内常務:ミャンマーが良い例ですが、技術への投資は大きなチャンスにつながると考えています。

ポール・シンプソン:CDPが御社のためにできることがありますか?

溝内常務:CDPの気候変動と水で高い評価を得たことで、ESG投資を通じて持続可能な方法で事業を行うための資金調達に寄与してもらえると考えています。

ポール・シンプソン:日本の投資業界はESGでやや遅れていた印象がありますが、GPIF※4がESGインデックスについて多くの取り組みも行っており、今後大きく進むと考えています。

溝内常務:キリンは毎年、投資家や証券アナリストと大小のミーティングをおこなっていますので、そのことを実感しています。5~6年前にはESGに関する質問は皆無でしたが、今ではたくさんの質問を受けます。

ポール・シンプソン:そのような変化が起こっていることはうれしいことです。御社の長年のCDPへの協力に感謝します。

溝内常務:CDPの活動が拡大することを期待しています。CDPについて理解する人が増えれば、キリンへの投資の機会も増えてくると思います。

ポール・シンプソン:CDPは小さな組織ですが、今後も投資家と企業の対話が投資決定につながるように支援していきたいと思っています。

溝内常務:CDPは小さいどころか、とても大きな影響力を持っておられると思いますよ。本日はお越しいただいてありがとうございました。

ポール・シンプソン:お招きいただき、ありがとうございました。近くにキリンのクラフトビールの店があると聞いています。次回は是非祝杯をあげたいですね。

  • ※1 ESG:環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもので、企業を評価する際にこれらESGへの取り組みが適切に行われているかどうかを重視するという投資方法を「ESG投資」と呼ぶ。
  • ※2 Scope3:企業のバリューチェーン全体に相当する範囲の温室効果ガスから、燃料や電気など企業が直接排出する温室効果ガスを差し引いた排出量のこと。
  • ※3 GHG排出量:温室効果ガス排出量のこと。
  • ※4 GPIF:年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund)のことで、日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っている。
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