pDCの細胞内にはウイルスを認識する受容体があり、乳酸菌Lactococcus lactis Plasmaも、その受容体に認識されると考えられます。そこで、受容体を破壊したpDCで乳酸菌Lactococcus lactis Plasmaによる活性化能を確認し、TLR9という受容体が乳酸菌Lactococcus lactis Plasmaを認識することを突き止めました。
- pDCのような樹状細胞には、IFN-αを誘導する受容体として、TLR7とTLR9があります。それぞれが発現していないpDCを調製し、乳酸菌Lactococcus lactis Plasmaによる活性化(IFN-α産生量)の違いを比較しました。TLR9のないpDCではIFN-αの産生が認められないことから、pDCのTLR9という受容体がこの乳酸菌を認識し、IFN-αを産生させていることが示唆されました。
TLR9は、特殊なDNAを認識することが知られています。そこで、乳酸菌Lactococcus lactis PlasmaのDNAがpDCを活性化させているのではないかと考え、次の実験を行いました。乳酸菌Lactococcus lactis Plasmaから抽出したDNAをpDCに添加したところ、下のグラフのとおり、大量のIFN-αの産生が確認されました。
この2つの実験から、乳酸菌Lactococcus lactis PlasmaのDNAがpDCの受容体TLR9に認識されることでpDCを活性化し、IFN-α産生を誘導していることが示唆されました。

pDCの受容体TLR9は、ウイルスや細菌が持つ非メチル化CpG DNAに特異的に結合することが知られています。実験では、乳酸菌Lactococcus lactis Plasmaと市販ヨーグルトの乳酸菌のDNAとRNAを調製し、量を変えて、pDC活性化能の変化を調べました。その結果、これらの乳酸菌のDNAがpDCを活性化することと、乳酸菌Lactococcus lactis PlasmaのDNAのpDC活性化能が非常に高いことが示唆されました。市販ヨーグルトの乳酸菌は、菌体のままではpDCに認識されませんが、乳酸菌Lactococcus lactis Plasmaは菌体のままでpDCのTLR9に認識され、そのDNAによりIFN-αの産生を促すと考えられます。