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R&D部門のご紹介

研究者メッセージ

第一線で活躍する研究開発者たちは、どのような課題に取り組み、どのような成果を手にしているのでしょう。
仕事の内容とキリンならではのやりがい、今後の目標などを聞きました。

基盤技術研究所 辻 俊一

「見る」を切り口に、
ミクロな視点で
新たな価値を創造する

可視化技術を利用して、「コト」を測る

私が所属する基盤技術研究所では、「科学の力で驚きと感動を創り出す」というビジョンのもと、中長期の視点でお客様、社会に貢献できる技術の開発に取り組んでいます。その中で私は、顕微鏡を主とした可視化技術をテーマに取り組んでいます。
これまでに大きなテーマとして“蛍光イメージング” (※1)という技術を利用して、今まで測ることのできなかった生体の状態を視て、測ることに挑戦してきました。そのひとつが細胞内の温度を測る技術の確立(※2)です。従来、細胞や分子という形のある「モノ」を可視化できても、細胞内の環境や状態といった形のない「コト」はなかなか計測することはできなかったのですが、近年注目されている“蛍光イメージング”技術を利用することで、簡便に細胞内温度を計測するのに成功しました。現在、この技術を活用し、細胞の生理状態を把握する全く新しい評価手法を開発に挑戦しているところです。

若手にも大きな仕事をするチャンスを与えてくれる

この細胞内の温度測定技術の開発のテーマに取り組み始めたのは、入社3年目。当初の目的は、より高品質のビールを醸造することを念頭におき、ビールをつくる上でとても重要な役割をする酵母細胞の新たな活性(=活きのよさ)評価技術を構築することでした。ビールは、麦汁を酵母で発酵することにより造られますが、発酵工程はとても細やかな温度制御が必要になります。そこで私は、温度に着目し、細胞の中の温度が酵母の新たな活性評価技術になるのではないかと考えて、テーマを立案し、それが採用されて成果をあげることができました。
入社2、3年目の若手にもテーマ提案の機会が用意され、発展性のありそうな内容であれば背中を押してくれる。実行段階でも、同僚やリーダーがきちんとフォローしてくれるシステムが整っているのは、キリンの研究所のとてもよいところだと思っています。また、各専門分野のスペシャリストが在籍していて、お互いに技術を伝達し合えるのも魅力です。

オープンイノベーションによる研究開発の強化も

キリンは、これまでに数々のユニークな技術開発を行っていて、飲料の技術開発だけでなく、バイオの分野においても、注目されていると思っています。国内外の飲料、医薬など実際に事業を行っている会社と連携できる強みが活かされています。
一方、現在、基礎研究はオープンな姿勢が重要視されてきており、テーマによっては外部の研究機関との関係構築が有効な場合があります。自社の持つ情報や強みを開示し、自社にない技術は、優れた技術を持つ外部の方々から紹介を受ける、いわゆる「オープンイノベーション」も強化し、先述した細胞内の温度計測も、東京大学と共同で開発しました。約3年をかけて技術を完成させ、論文や学会発表として成果を発表できた上に、幸い成果を「試薬」という製品として目に見える形で社外に発信できました。そしてこの間に、今まで専門としてきた微生物のみならず、周囲の研究員の力を借りて、哺乳類の細胞を使った試験を行うなど、自らの技術の幅を広げることができたのも大きな収穫でした。

ないものは、自分の手で形にする

「ないものは、自分の手で形にしたい」という想いから、「他の人がやっていないことを実現すること」と「結果を周囲が認識できるように”形”にすること」が仕事をする上でのモットーです。当たり前のことではありますが、どちらも欠けてしまうと、オリジナリティーのある研究成果を出し、会社の事業に貢献し、最終的に社会に還元するという研究開発のよい一連の流れが止まってしまいます。もちろん研究の途中で、いくつもの障壁がありますが、そういうときこそ、あらためてこの2つの心がけを肝に銘じて、課題の解決に取り組むようにしています。
私たちが取り組む細胞内の温度を測定する技術はまだ基礎的な段階であり、酵母をはじめ、ヒトの体を構成しているさまざまな細胞の活性評価技術を確立できるよう、応用開発を進めている最中です。
「見る」という切り口をもつことで「見える」世界が変化します。ミクロな視点で新たな価値を創造し、飲料やお客様の健康維持に貢献できる素材の評価や開発を進め、日常生活のあらゆる場面でお客様にうれしいサプライズを届けられるようになりたいと考えています。

  • 注) 組織名・役職名は、掲載当時のものです。(2015年6月)

プロフィール

辻 俊一(つじ としかず)

キリン株式会社 R&D本部 基盤技術研究所

2008年入社。キリンホールディングス(株)フロンティア技術研究所(当時)で酵母エキス開発、2009年から同研究所にてワイン中の鉄除去の研究(魚料理との食べ合わせを良くするワインの開発)をはじめ、温度プローブの開発に従事する。2013年からキリン(株)基盤技術研究所へ。2014年、同研究所で「細胞内の温度を簡便に高精度で計測できる蛍光プローブ」の開発に成功。2年連続で日本農芸化学会大会トピックス賞を受賞する。

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