2010年1月22日
キリンビバレッジ株式会社(社長 前田仁)は、「2010−2012年中期経営計画」の初年度にあたる本年の事業方針を策定しました。
2010−2012年中期経営計画は、キリングループ長期経営構想KV2015の実現に向け、「再成長に向けて加速する3ヵ年」と位置づけ、2009年から前倒しで着手してきた「ブランドを機軸とした経営」への転換をさらに推進します。「強いブランド創り」に注力し、競争力の再構築と収益構造基盤の確立を図り、反転・再成長を目指します。
《2009年の概況》
国内清涼飲料市場は、天候不順に加え、世界的な経済低迷やデフレによる消費者のさらなる節約志向などから、前年比3%減で着地した模様です。
当社では2009年を2010−2012年中期経営計画のゼロ年度と位置づけ、選択と集中による「強いブランド創り」に着手するとともに、その基盤となる収益構造改革に優先的に取り組みました。その結果当社の国内飲料トータル(単社ベース)販売実績は前年比93%の1億7,926万ケースとなりましたが、「午後の紅茶」と「ファイア」では重点的にブランド強化を図り、「午後の紅茶」が前年比101%、「ファイア」が前年比105%と、市場を上回る結果となりました。また緑茶ブランド「生茶」やロングセラー炭酸ブランド「キリンレモン」のリニューアル、キリングループ素材を使用した「キリン発酵ウコン」の新発売や「世界のKitchenから」ブランドの新提案なども行い、お客様のニーズ・嗜好にお応えしました。
《2010年の取り組み》
2010年も世界的な経済不透明感や国内消費低迷・デフレにより、清涼飲料市場は前年並もしくは微減で着地すると予想しています。
当社ではこのようなデフレ・低成長時代の新しいビジネスモデルとして、「ブランドを機軸とした経営」へ転換する「経営イノベーション」を推進します。昨年より着手した改革をさらに加速し、反転・再成長を目指す2010−2012年中期経営計画の初年度として、「商品力強化」「営業力強化」「収益構造改革」の3つの課題とこれらを推進する「人材の育成」に取り組みます。
デフレ市場のなかでお客様の選択眼がますます厳しくなる一方、嗜好もライフスタイルもさらに多様化し、「健康」「環境」など価値観やニーズも複雑化・高度化しています。当社はブランドを機軸とし、あらゆるバリューチェーンを通じて時代を先取りする様々な提案を行い、お客様に「元気」をお届けするような、新しい飲料文化の創造を目指します。
「商品力強化」では、各ブランドの位置付けを明確にし、柱となるブランドへの選択と集中を行います。お客様ベネフィットから発想した「提案」により、基盤ブランドのさらなる強化と新商品による新たなカテゴリー創出を行い「強いブランド創り」を推進します。
「営業力強化」では、グループ力も活用した「提案型」営業スタイルを確立し、ブランドを育て、お客様価値の創造に繋がる「価値営業」へ転換を図ります。
「収益構造改革」は、昨年より引き続き取り組む基盤課題です。各バリューチェーンにおいてキリングループ内の連携を強化し、シナジー創出を図るほか、チャネル戦略や収益性の低い事業の見直しなど抜本的な構造改革を進め、強固な収益基盤を構築します。
2010年 国内飲料事業の取り組み
(1)ブランド戦略
従来のカテゴリー発想から脱却し、常にお客様の飲用ベネフィットを発想から新しい生活スタイル・飲用シーンの創造を目指します。「おいしさ提案」はもちろん、「健康提案」、「生活提案・飲用シーン提案」など「お客様の笑顔創り」につながる様々な提案を行います。技術イノベーションによる中味開発・容器開発も行っていきます。
基盤ブランドは「選択と集中」により、従来のカテゴリーにとらわれずお客様の飲用ベネフィットから発想した新しい提案を行います。「午後の紅茶」と「ファイア」は中核ブランドと位置づけ、それぞれの強みをさらに強化する新提案を行います。無糖茶、水市場は、品質の追求や健康・生活提案などの新たな価値化により、ブランドの育成・強化を図ります。
次世代成長領域では、カテゴリーの枠を超えてお客様ベネフィットから長期トレンドを見据え、「元気炭酸」「元気・健康系飲料」にチャレンジします。
キリンビバレッジでは基盤ブランドからの新提案と、長期トレンドを見据えた新しい市場創造の両面から、お客様に様々な「元気」をお届けしていきます。
●「キリン 午後の紅茶」
紅茶飲料ナンバーワンブランド※1「午後の紅茶」は、「紅茶のおいしさ、ひろげよう」をテーマに、紅茶カテゴリーの魅力を広げる提案を行います。缶コーヒーの代表的飲用シーン「仕事などオンタイムの休憩時」に新しい選択肢を提案する新商品「午後の紅茶 エスプレッソティー」をはじめ、新しい紅茶の楽しみ方を提案する新商品を発売します。また「紅茶が食卓を贅沢な時間にする」という飲用シーンの提案を「カフェごはん」を題材にしたキャンペーンを通じて展開し、日常生活のなかで紅茶の魅力をさらに広げる提案を続々と展開していきます。
※1 食品マーケティング研究所調べ
●「キリン ファイア」
昨年発売10周年を迎え好調に推移した「ファイア」は、今年も「革新し続けるコーヒーブランド」として、レギュラーコーヒーの品質を追求し、さらなる品質の向上と革新的な提案を行っていきます。昨年より採用した「ディープボディ製法」により、レギュラーコーヒーユーザーにも高い評価をいただいている「強いコーヒー感」の魅力をいっそう高めるとともに、新たな価値を提案する新商品を投入します。第一弾としてレギューラーコーヒーユーザーの飲用意向が高いブラックカテゴリーに「ファイア ブラック ディープボディ」を投入し、ファイアブランドの更なる強化を図ります。
●「キリン 生茶」
今年10周年を迎える「生茶」は、現代緑茶としてお客様に支持されてきたおいしさ・品質をさらに追及し、「フレッシュ感あふれる現代緑茶」としてリニューアルを行います。「生茶」ブランドを無糖茶全体に拡大し、新たな「生茶」の挑戦を開始します。
●「キリン アルカリイオンの水」「ボルヴィック」
「キリン アルカリイオンの水」は、おいしい天然水をそのままアルカリイオン化したやさしい味わいを訴求し、主力の大型容器ターゲットである家庭内の家族飲用にふさわしい水分補給方法を提案します。
輸入ミネラルウォーター ナンバーワンブランド※2「ボルヴィック」は、「ミネラルウォーターの習慣的な水分補給文化の創出」をテーマに掲げ、ミネラルウォーター市場の拡大を目指します。また、フレーバーウォーター「ボルヴィック フルーツキス」のさらなる展開や、今年で4年目を迎える社会貢献活動「1L for 10Lプログラム」の継続実施などを通じて、ボルヴィックブランド力の強化を図ります。
※2 食品マーケティング研究所調べ
●「キリンレモン」
2年連続で伸張している炭酸カテゴリーにおいて、ゼロ系炭酸の一歩先を行く商品として、炭酸の爽快さはそのままに「おいしさと健康価値」を兼ね備えた「元気炭酸」をテーマに展開していきます。第一弾は「キリンレモン」から、「元気炭酸」の新提案を行います。
●「トロピカーナ」
トロピカーナは、果実そのままのおいしさにこだわり、果汁カテゴリーの活性化に向けた嗜好性・新奇性のある商品を提案し、シーンや気分などに合わせて選べる楽しい商品を提案していきます。「果実体感」「飲用習慣化」をキーワードに、トロピカーナブランドの価値向上と100%果汁カテゴリーナンバー1ブランドを目指します。
(2)営業戦略
営業活動においては、ブランドを育て、お客様価値の創造に繋がる「価値営業」への転換を図ります。2月よりキリンビール社と本社ビルを統合することによりさらなるグループシナジーを発揮し、市場リサーチ力を活用したオリジナリティある提案や地域に密着した活動を展開し、「提案型」営業スタイルの確立を目指します。
チャネル・エリアごとに選択と集中を行い、多様化する市場でお客様接点でのブランド価値訴求、ブランド露出の最大化を実行します。自動販売機ビジネスは引き続き重要チャネルと位置づけ、お客様視点に立った最適コラムの提案や、お客様接点拡大につながるロケーションの獲得・稼働増を目指すとともに、新たなアライアンスも探索します。
2010年 海外事業・国内食品事業
海外飲料事業は、中国、タイ、ベトナムにおいて基軸ブランドを明確化してブランド・チャネルの選択と集中を行い、収益化に向けた事業基盤の再構築に取り組みます。中国では、「午後の紅茶」「ファイア」へ資源を集中し、上海、華東エリアでの販売を強化して営業効率の向上を図ります。タイでは昨年発売し好調に推移している「午後の紅茶Tea Break」を中心に販売体制の強化を図ります。昨年6月に飲料事業をスタートしたベトナムでは、引き続き乳性飲料や茶系飲料の商品展開を進めていきます。
小岩井乳業社では、「小岩井農場」を原点とする乳事業をコア事業とし、お客様本位・品質本位・環境本位の事業活動により、小岩井ブランドが信頼(安全・安心)、上質(おいしさ・高品質)な食品ブランドとして、「世代を超えて」支持され、他とは一線を画した独自の地位を獲得することを目指します。
社会との共生・CSR(社会的責任)の推進
全ての事業活動においてお客様から「見える品質」を共通価値とし、品質保証体制のさらなる強化により“食の安全・安心”の提供に努めるとともに、コンプライアンスの徹底や内部統制の体制も強化します。
地球環境保全においては、キリングループ全体で「低炭素企業」としての取組みを推進し、自然と調和し共生する社会づくりを目指します。自動販売機事業では、消費電力量において従来機に比べ大幅な省エネを実現した「ヒートポンプ機」を新規採用自動販売機の75%に導入することを目指すほか、地球温暖化係数が限りなく「0」に近い「ノンフロン冷媒機」の採用を積極的に推進します。また新容器開発・包装資材・物流体制など、あらゆるバリューチェーンにおいて「環境」をテーマとしたイノベーションを積極的に推進していきます。
スポーツ支援活動においては、6月のサッカーワールドカップ南アフリカ大会に向けて活躍が期待されるサッカー日本代表をサポーターと共に応援していきます。
当社では、お客様や社会からの信頼と期待に応え、持続可能な社会の実現に向けて、これらの様々な活動に取り組んでいきます。
キリングループは「おいしさを笑顔に」をグループスローガンに掲げ、いつもお客様の近くで様々な「絆」を育み、「食と健康」のよろこびを提案していきます。
キリンビバレッジ 商品販売目標 ※国内飲料トータル(単社ベース)
|
2009年実績 |
前年比 |
2010年目標 |
前年比 |
「午後の紅茶」 |
3,788万箱 |
101% |
3,860万箱 |
102% |
「ファイア」 |
3,209万箱 |
105% |
3,360万箱 |
105% |
「生茶」 |
2,087万箱 |
78% |
2,100万箱 |
101% |
「アルカリイオンの水」 |
2,182万箱 |
91% |
2,200万箱 |
101% |
「ボルヴィック」 |
1,224万箱 |
76% |
1,250万箱 |
102% |
基盤ブランド 計 |
12,490万箱 |
93% |
12,770万箱 |
102% |
清涼飲料 計 |
17,926万箱 |
93% |
17,860万箱 |
100% |
※前年比 小数点以下四捨五入 |