メルシャン株式会社（本社：東京、社長：植木　宏）は、日本固有のブドウ品種である「甲州」からつくるワインの2009年新ヴィンテージ『シャトー･メルシャン　甲州きいろ香　2009』、『同　甲州グリ・ド・グリ　2009』を、4月21日（水）全国で発売します。

● 「甲州」ブドウ　2009年生育・ヴィンテージ状況
　冬の平均気温は例年に比べ約2度高く推移し、さらにその後6月中旬までについても晴れの日が多く、ブドウの萌芽や開花は5〜7日早く順調に生育しました。6月下旬から曇天日が続き、例年になく早い梅雨明け宣言となりましたが、その後の夏空は3日間のみで再び梅雨の様相となりました。7〜8月は湿度・夜温とも低く推移したためブドウの病気発生は少なく、特に台風が去った8月中旬からは好天が続き、最高気温は30度前後、早朝は冷涼で、例年には珍しく「日較差」のある夏となりました。
　ブドウの持つ「酸度」と「香り」のバランスが良い時期に収穫することを目的に、定期的に畑を訪れ、分析を行い、9月6日より順次収穫を開始しました。この結果、果実味豊かな「甲州」を収穫することができました。

● 『シャトー・メルシャン　甲州きいろ香　2009』（産地：山梨県）
　「甲州アロマプロジェクト」より誕生した新しいスタイルを確立した甲州ワイン。2009年ヴィンテージは、柚子や酢橘のような和柑橘、パッションフルーツ、温州みかんなどの爽やかな香りとシャープできれいな酸味、引き締まった味わいのワインに仕上がりました。

●『シャトー・メルシャン　甲州グリ･ド･グリ　2009』（産地：山梨県）
　「甲州」独特の灰色がかった赤紫色の果皮に存在するおいしさを追求し、「色」と「味わい」にこだわった「甲州ワイン」として、2003年秋に2002年ヴィンテージを新発売しました。2005年ヴィンテージ以降は「甲州アロマプロジェクト」において発見された“ブルガリアン・ローズ”の香りに代表される甘美な香りが表現されています。
　2009年ヴィンテージは、ブドウ果汁にブドウの果皮を漬け込む「スキンコンタクト法」を改良するなど技術面での進化により、ブルガリアン・ローズに見られる甘い香りに加え、ダージリンティーやシガー、オレンジがかった色調と甲州ブドウ独特の渋味も感じられる、旨みと厚みのある味わい豊かなワインとなりました。

　当社は2004年、「ワインの香り」に関して世界的に権威のあるフランス・ボルドー第二大学醸造学部デュブルデュー研究室との共同研究「甲州アロマプロジェクト」をスタートしました。同研究室の故富永敬俊博士のご指導のもと、甲州ワインからグレープフルーツ様など柑橘系の香りを持つ「3-メルカプトヘキサノール」の存在を、また甲州ブドウに「3-メルカプトヘキサノール」の素となる前駆物質が含まれていることをそれぞれ見出しました。
　その特長を存分に表現したワインとして「シャトー・メルシャン　甲州きいろ香　2004」を2005年に発売し、新たなスタイルの「甲州ワイン」として注目を集めました。

　そして2009年10月、ボルドー第二大学醸造学部とフランスの国立農業研究所「INRA」が一体になり誕生したブドウ及びワインの総合研究機関「Faculte d’ Oenolgy −institute des science de la Vigne et du Vin」（以下ISVV）と「甲州アロマプロジェクト」のための共同研究契約を締結し、「甲州アロマプロジェクト」は第二ステージに入りました。
　本年2月には、故富永博士とともに研究にご協力いただいていた、セシル・ティボン博士が来日。4月にはISVVのジェネラル・ディレクターであるドゥニ・デュブルデュー教授が来日し、甲州の栽培地視察、技術ミーティングなどを通じて、「甲州ワインの香り」の研究を中心に、甲州ブドウ及び、甲州ワイン全般の品質向上を目指して、さらに共同研究を進めていきます。

　当社は山梨県勝沼の地で約1300年前から栽培されてきたと言われる日本固有のブドウ品種「甲州」でつくるワインを、日本の個性を備えた日本を代表するワインへと進化させることを使命と考え、今後も研究を進め、情報を公開・共有するなど、日本のワインの発展に貢献してまいります。
　メルシャンは、ワイン事業理念である「確かな味わい、ひとつ上の時間。」のもと、一人でも多くのお客様に“ワインのある豊かで潤いのある生活”を楽しんでいただけるよう、様々な提案を続けていきます。