酒・飲料の歴史 日本のビールの歴史 酒・飲料の歴史 日本のビールの歴史

時代別解説

江戸時代後期〜幕末(〜1868)

日本人とビールの出会い

(8)牢獄内でもビールを愉しんだ榎本武揚
幕府は1862(文久2)年にオランダへ留学生を派遣した。その中には海軍操練所の士官だった榎本武揚をはじめ、西周や赤松則良らがいた。

西周は、目的地に向かう途中のバタヴィア(現・ジャカルタ)の港でビールを口にした。氷を入れた冷たいビールを、自ら「人ニ勝ルコト一層」と書き残すほど大量に飲み、「甚だ快」と漏らしたという。留学先のオランダでは、海軍技術を学んだ赤松則良らが休日に保養地に出かけて、海辺のホテルでビールを飲んだ。

1862(文久2)年当時、26歳でオランダへ留学した榎本武揚は、7年後の1869(明治2)年、戊辰戦争で函館の五稜郭に立てこもり明治新政府軍と戦うことになる。五稜郭からは、のちに角びんのビールびんが見つかっている。1864(元治元)年創業時の「ハイネケン」が当時としては珍しい角びんだったことから、榎本はオランダから輸入した「ハイネケン」を籠城中に飲んでいたのかもしれない。また1872(明治5)年に獄中から姉や妻に送った手紙には、「差し入れのビールをたっぷり飲めて嬉しい」としたためられている。榎本は妻への手紙の中に近く出獄できることを記しており、好きなビールで祝杯をあげる榎本らの楽しげな様子が目に見えるようだ。

明治初期を代表する啓蒙家・西周

明治初期を代表する啓蒙家・西周(国立国会図書館 蔵)

戊辰戦争・五稜郭の闘いで旧幕府軍を率いた榎本武揚

戊辰戦争・五稜郭の闘いで旧幕府軍を率いた榎本武揚(国立国会図書館 蔵)

五稜郭の戦いを描いた錦絵

五稜郭の戦いを描いた錦絵(市立函館博物館 蔵)


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