商品ブランドの歴史 商品ブランドの歴史

シャトー・メルシャン

日本の本格ワインとして、メルシャンブランドが誕生したのは、1949(昭和24)年。「メルシャン」の名前はフランス語の「Merci(メルシー)=感謝する+an(アン)=人」が由来になっていますが、当時のワインラベルの中に描かれたトレードマークの中には太陽・山・川・ブドウの4つを小さくデザインし、自然への感謝の想いも込めていました。

昭和20〜30年代、当時の日本では甘みのある甘味葡萄酒が主流で、現在のような本格的な辛口の国産ワインが成長していく過程には、いくつかのステップがありました。そのひとつが、1964(昭和39)年の東京オリンピックでした。オリンピックを契機に近代的なホテルが次々と誕生し、西洋的な食事の場でワインが飲用されはじめたのです。メルシャンワインも高級ホテルなどの飲用シーンに合わせて、ラベルも豪華に設えようと通常1枚のラベルの中に記載されるブドウの収穫年や品種の情報を3枚に分ける、ワインのラベルでは珍しい3点貼りを施しました。
メルシャン1948年ヴィンテージワイン 太陽・山・川・ぶどうがデザインされたメインラベルと、肩に年号、裾にぶどうの品種を表記した3点貼りが施されている

メルシャン1948年ヴィンテージワイン
太陽・山・川・ぶどうがデザインされたメインラベルと、肩に年号、裾にぶどうの品種を表記した3点貼りが施されている

メルシャン1962年(白)国際コンクールで日本初の金賞を受賞したラベル

メルシャン1962年(白)
国際コンクールで日本初の金賞を受賞


その後の海外旅行ブームや、万国博覧会などによる日本と海外との往来の活発化も、人々とワインのふれあいを深めさせました。そして、1966(昭和41)年「メルシャン1962年(白)」がブルガリアで開催された第1回国際ワインコンクールで日本初の金賞を受賞。世界が日本のワインを認めた瞬間であり、ワイン造りへの情熱が結実した時でした。
輸入ワインが大半を占めていた時代に、国産高級ワインとして「シャトー・メルシャン」が誕生したのは1970(昭和45)年。良いワインは優れたブドウがあって初めて生まれます。「シャトー・メルシャン」が誕生した勝沼(山梨県甲州市)は水捌けのよい砂礫質の土壌と朝夕の冷涼な気候などがブドウの栽培に適していたことから、明治以来ワインの醸造がさかんに行なわれてきました。さらに勝沼以外の土地では、長野県の桔梗ヶ原で栽培される欧州系の「メルロー」という品種に注目し、栽培に着手しました。そして、1989(平成元)年「シャトー・メルシャン 信州桔梗ヶ原メルロー 1985」がリュブリアーナ国際ワインコンクールでグランド・ゴールド・メダル(大金賞)を受賞し、日本のワイン品質の高さを世界に知らしめました。現在も「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー」として親しまれるブランドですが、当時は敢えて「信州」という地名を入れることで、この地で栽培されたブドウであることを訴求したのです。
「シャトー・メルシャン」ブランドラベル

国産高級ワインとして「シャトー・メルシャン」ブランドを発売

シャトー・メルシャン信州桔梗ケ原メルロー1985のラベル

シャトー・メルシャン信州桔梗ケ原メルロー1985

「良いワインとは、その土地の気候・風土・生産者によって育まれるブドウを、素直に表現したものある。」という信念をもとに、シャトー・メルシャンは「Growing Differences in the World」(違いを育む)—世界を知り、日本の個性を育てる—というコンセプトを掲げ、日本のワインでしか表現できない個性を育んでいます。2002年にデザインを一新した現在のラベルには、成長していくブドウの房とその育みをデザインしたブランドシンボルを描きました。さらにブランドシンボルの果実の部分をくり抜きボトルの中身を見せることで品質へのこだわりを表しています。この「シャトー・メルシャン」が目指すワインのスタイルは、「日本のフィネスとエレガンス〜調和のとれた上品な味わい〜」。それは日本の土地、日本で育ったブドウ、そして日本人の繊細な感性が生み出す豊かな個性なのです。
現在のブランドシンボル

現在のブランドシンボルはぶどうの房をイメージ


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