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>>中国・上海の秋の味覚を代表する食べ物といえば、上海ガニ。『新世界菜館』の2代目で、専務を勤める傳永興(フウ・エイシン)さんにその魅力を語らせたら止まらない。日本生まれの日本育ちだが、折江省・寧波出身のご両親の影響だろう、小さい頃から上海ガニの味に親しみ、ついに自社で輸入まで手がけてしまった人である。「戦後直後の創業以来、業者に頼んでいたんですが、美味しいカニがなかなか手に入らなくてね。じゃあ自分たちで探そうかと20年前、僕と兄貴(現社長)で現地を訪ねました」。
最初に訪ねた美味しい上海ガニの獲れる湖は、町から丸1日かけて車を飛ばし、さらに道路から1時間、湿原を歩いてやっと到着するような辺鄙な場所にあり、その後、いろいろな湖を訪ね歩き、今日の良質の漁場「石臼湖」にたどり着いた。今では現地に駐在員を置き、上質な獲れたてのカニを日本に送れるようになった。今、東京で上海ガニといえば、この店が代名詞だ。「カニ好きのお客さんはもちろんですが、一番喜んでくれたのは故郷の味を知る母でしたね。もう78歳になりますが、“酔っ払いガニ”と呼ばれる“活ガニの紹興酒漬け”は母の仕事です。あの見事な製法を、まだ僕らに教えてはくれません(笑)」。
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