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>>星野さんと話していると、ときどき胸がギュッとしめつけられる。気さくな人柄やなめらかな語り口とはうらはらに、律儀で一本気な、職人らしい心意気が垣間見えるからだ。営業時間よりも長くかかる仕込みを昼間からひとりで黙々とやり、夜はカウンターの中で汗をかきつつ、お客さんの目の前でポンポンッとできたての料理を出す。「うまいものを作る」こと。ただ1点にすべてのエネルギーと情熱を傾けているのだ。
黒板に書かれたメニューを見れば、トルティージャ(スペインオムレツ)、にんにくスープなどお定まりのタパスがないのに気づくだろう。さらにパエリアよりも、アサリのリゾットがオススメという。「僕は、スペイン料理はパエリアだけじゃないぞって思ってやっています。バスク、カタルーニャ、ガレーシア…。スペイン各地にはもっとウマイものがたくさんあるし、ほかの店とはちょっと違うものを提供したいと思う」。
カウンター9席の小さな店は、閑静な住宅街の路地裏にひっそりと佇む。だが、夜になると食いしん坊たちがどこからともなく集まってきて、店内はいつもあふれんばかりの活気に満ちる。
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