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研究員がやってみました

Vol.5 「NAS(Nakano After Six)」でワークショップをやってみる

NASは2010年4月に発足した、中野区役所の職員を中心とした勉強会。毎月1回、午後6時半から開催されています。中野区役所職員だけでなく、中野区民や他の自治体職員など幅広い方々に参加してもらい、地方自治に興味を持つ人たちのつながりを広げてきたそうです。2017年10月25日に開催された第86回NAS勉強会で、キリン食生活文化研究所が中心となって、「食の未来とこれからの社会」というテーマのワークショップを行いました。ワークショップを企画・実施した研究員の太田が報告します。

参加したきっかけ

キリングループは2013年に中野区に本社を移しました。新しく私たちの地元となった中野区の未来のために何かできないか、と考えてきました。そんなとき、中野区で地域包括ケアを担当されている酒井直人さんと知り合い、NAS勉強会のことを知りました。実は、キリン食生活文化研究所は、生活者や社会の変化について研究するとともに、未来の社会に私たちがどんな価値を提供できるかを、社内外の皆さんと一緒に考える活動を行っています。そこで今回、NAS勉強会において、中野区の未来を考える参加型のワークショップを実施しようということになったのです。問題意識は、「高齢化が進む日本、そして中野区において、私たちが健やかで幸せな生活を送るために、食をめぐる課題にどのように取り組んでいったらよいか」というものです。

当日は

雨の中、中野区役所の会議室に、三々五々集まった参加者たち。その顔ぶれを見てびっくり。想像していたよりも、他の自治体職員の方が多かったのです。遠くは香川県や滋賀県からも。自腹で、かつ有給休暇をとって参加されたそうです。もちろん東京都や他の区の職員の方もいらっしゃいました。そして、中野区在住のさまざまな職業についていらっしゃる方々。20代から60代まで、全部で25名ほどが集まりました。女性の参加者も多く、和気あいあいとした雰囲気の中で、勉強会が始まりました。

ワークショップの様子

最初に太田から2030年の日本、そして中野区の人口動態やインフラの状況、高齢化に伴う課題について説明しました。聞きながら、気になったところをどんどんポストイットにメモしていってもらいます。メモした内容は、5人一組のチームの中で共有化しました。ポストイットを模造紙に貼りながら、似ている内容をまとめていきます。2030年に向けて重要になると思われる切り口をみつけ、端的な言葉で表現してもらいました。すると、さっきまで静かだった部屋が、突如喧噪状態に。自分が関わっている地元の将来について、みんな真剣に考えていることが伝わってきました。そんな中でも、チームによって目をつけるポイントや、議論が集中するところが異なるのは面白かったです。

続いて、参加者に事前にお願いしていた宿題の共有化です。新聞やネット上の記事、新商品など、最近気になった話題を持ってきてもらいました。たとえば、立ったまま乗ることでシニアの歩行機能維持に役立つ「ウォーキングバイシクル」の記事や、自給自足に近い生活を送る老夫婦の姿を描いた映画「人生フルーツ」の話題、今評判のAIスピーカーなど。「おいしい防災食」の現物を持ってきてくださった方も・・・。チーム内で、持ち寄った話題についてどこに興味をひかれたのかを説明し、質疑応答しながら理解を深めます。そしてチームで一つ、これからの変化として一番議論が盛り上がった話題を選んでもらいました。

これら、2030年の課題と興味を持った話題をもとに、2030年の暮らしをできるだけ具体的に想像してもらいました。自分や身近な家族は、どこに住んで、毎日どんな生活をしているか。仕事は? 買い物の仕方は? 大切にしていることはなんでしょう? そのとき、どんな価値が求められるようになっているでしょうか。そして想像した近未来において、私たち自身が取り組んでいきたい領域はどこかについて考えました。
印象深かったのは、ディスカッションの中でチームの一人が「どうしようもなく暗い社会になるな」と言った時に、「それはそうだけど、そんなことを言ったらおしまい。この状況の中でこそ、何をしていくかを考えなきゃ」と、議論を前向きに進めていった場面です。私たちが否応なく直面する、高齢者の増加やインフラの老朽化などの問題に対して、積極的にかかわっていこうとする参加者の真剣な顔がまぶしかったです。

チームからの発表

いよいよチーム単位での発表です。それぞれのチームから、自立した人同志のゆるいつながり・コミュニティづくり、シニアの健康寿命を延ばすための外出サポート、そして外出が難しくなった人がどうやって社会とのつながりを保っていくかというように、高齢化の進展と共に変化していく課題が挙げられたことが、特に興味深く感じました。また、シニアをサポートされる弱者としてとらえるだけでなく、シニアの持つスキルや能力を、地域の中でシェアしあって活用していくという視点も提示されました。そして、シニアになっても活躍するためには、今のうちから、仕事(会社)を離れてもできる、自分なりの強みを作っておく必要があるよね、という結論になりました。
一方的な講演会ではなくワークショップという形をとることで、参加者のみなさまの興味・関心のありかを知ることができ、私たちもたくさんの気づきと学びをいただきました。特に50代の参加者から出た、「中野区は高齢化が進んでいる一方で大学生も多く、居住者の年齢幅が大きい。放っておくと街がバラバラになってしまうので、自分たちがその橋渡しをしなければならない」、という発言が印象に残りました。今まで学生や他の企業の方ともワークショップをやってきましたが、今回は高齢化と地方自治というテーマに興味をもつ方が集まったので、さらに議論が深まったような気がします。何より、皆さんが楽しんでワークショップに参加してくださったのがうれしかったです。

最後は居酒屋で

そして場所を居酒屋に移しての二次会です。ちょうど発売直後の「とれたてホップ一番搾り」を飲みながら、さらに議論を深めます。さきほどまでの真面目な顔とうってかわって、参加者の個性的な表情が見えてきました。公務員というとお堅いイメージですが、フットワーク軽く全国を飛び回り交流を深めていらっしゃる様子や、実はおいしいものに目がないことなど、いい意味で予想を裏切ることばかり。中野区在住の参加者が企画・実施している小顔マッサージやカレーイベントの話題も登場し、中野の街への興味もますます深まりました。また、今まで街を歩いていても気づかなかった中野の穴場の店のお料理を、スマホの写真で見せてもらいながら解説いただいて、今度絶対に行かなくちゃ、という気持ちになりました。
NASのように、行政と市民が一緒になって、楽しみながら地方自治のあり方を考える仕組みは、ほんとうに素晴らしい。この活動がさらに広がっていくといいですね。中野という「場」においてはまだまだ新参者のキリンですが、街の活性化や暮らしやすい街づくりの面で、さらにディスカッションを深め、一緒に取り組んでいくことができるといいなあと思いました。

※NAS幹事の酒井さんからのメッセージ

今回の勉強会は、中野区民も多く参加し、区役所職員をはじめ地方公務員と市民がフラットな場で地域の課題や未来について語り合う貴重な機会となりました。キリン食生活文化研究所の皆様のファシリテーションによって、非常に深い対話ができたと感じています。今後も様々な場面で協力して、まちづくりをともに進めていきましょう。ありがとうございました!
※NASの活動

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