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[食領域]

<参考資料>「プラズマ乳酸菌」摂取によるロタウイルス感染症状の緩和効果を確認

  • 研究・技術

2014年4月10日

キリン株式会社

キリン株式会社(社長 磯崎功典)の基盤技術研究所(所長 近藤恵二)は、小岩井乳業株式会社(社長 堀口英樹)と共同で、プラズマ乳酸菌(Lactococcus lactis JCM5805株)※1が動物やヒトにおいてウイルス感染防御における免疫賦活効果を示すことをこれまでに確認していますが※2、今回、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)の経口投与によるロタウイルス感染による症状を緩和する効果を確認しました。

  • ※1 以後、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)と表記
  • ※2 2011年9月6日発表 「ウイルス感染防御を担う免疫細胞を活性化する乳酸菌を発見」
    2012年3月22日発表 「ウイルス感染防御に関する乳酸菌をプラズマ乳酸菌と命名」

乳酸菌は、整腸効果やアレルギー改善効果、感染防御効果など、その機能性を多く研究されている食品素材のひとつです。当社でも、食品素材の免疫賦活作用を研究しており、その一環としてこれまで乳酸菌の研究を行ってきました。プラズマ乳酸菌(JCM5805株)の研究は2010年から行っており、摂取することで、ウイルス感染防御における免疫賦活効果を示すことがヒト及び動物においてすでに確認されていますが、今回は、ロタウイルス感染に対する抗ウイルス効果の可能性について、動物試験を行いました。

今回の試験では、生後7日齢のマウスにサルロタウイルスを経口感染させ、ウイルス接種2日前から飼育終了時までプラズマ乳酸菌(JCM5805株)を1mg/日/匹となるように経口投与しました。
その結果、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)投与群のマウスで、生理食塩水投与群のマウスと比較して、下痢による体重抑制が有意に緩和され(図1)、糞便性状スコアに関しても、ウイルス感染3日目で、有意な改善が確認されました。また、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)投与群のマウスにおいては、感染2日後の糞便中ウイルス量の有意な低下が確認され(図2)、さらに感染3日目における腸管での抗ウイルス因子の上昇傾向、脾臓中プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)※3の有意な活性化が認められました。

  • ※3 体内でウイルス感染防御を専門的に担っている。

これらのことから、プラズマ乳酸菌(JCM5805株)摂取によるロタウイルス感染に対して症状の緩和効果が確認され、pDCを起点とする抗ウイルス自然免疫系活性が症状の改善に関与している可能性が示唆されました。ロタウイルスの感染・増殖は小腸上皮細胞で起こることから、腸管局所で免疫系を活性化誘導可能な乳酸菌は、デリバリー手法※4の観点からも特に有用と考えられます。今後は、乳製品をはじめ、キリングループの商品などへの応用と合わせて、他のウイルスに対する有効性も解明していきます。

  • ※4 有用なものを体内に分布させる際に、量や時間・空間的にコントロールする手法。

キリングループは、あたらしい飲料文化をお客様と共に創り、人と社会に、もっと元気と潤いをひろげていきます。

図1 ロタウイルス感染後の体重推移

図2 糞便中ロタウイルス量

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