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KIRIN News Release

〜「第65回日本栄養・食糧学会大会」で発表〜
「赤ワイン成分の長期摂取による
心臓の脂質代謝に関連する遺伝子の発現増強について」


  メルシャン株式会社(本社:東京、社長:鈴木 徹)は、奈良女子大学 生活環境学部の井上裕康教授および中田理恵子講師と共同研究の結果、「ポリフェノールの一種「レスベラトロール」を含む赤ワイン中の成分が、心臓の脂質代謝に関連する遺伝子の発現を増強させるため、血液中と細胞内の遊離脂肪酸のクリアランスに有効である可能性」を発見しました。
  この研究成果を「第65回日本栄養・食糧学会大会」にて5月15日(日)に発表します。

▼ 研究の背景
  「フランス人は肉や乳製品など動物性脂肪を多く摂取するにもかかわらず、心筋梗塞などの心疾患による死亡率が低い」という、いわゆる「フレンチ・パラドックス」は世界中で知られています。この「フレンチ・パラドックス」はフランス人のワインの摂取量が多いことに起因しているといわれていますが、その詳細なメカニズムは分かっていませんでした。
  当社では、赤ワインに含まれるポリフェノールの一種である「レスベラトロール」をはじめとして、赤ワインやその成分について長年に渡り研究を重ねてきました。この研究の過程で、「フレンチ・パラドックス」に「レスベラトロール」が関与しているのではないかという仮説を持ち、今回メカニズム解明のための共同研究を始めるにいたりました。

▼ 研究の概要
  脂肪酸代謝において重要な役割を担う核内受容体PPARαの遺伝子の働きを不活性化したマウスと野生型マウス(11〜12週齢、雄)に、「通常の飼料」あるいは「ワイン凍結乾燥物を含む飼料」をそれぞれ自由に摂取させ、6ヶ月間飼育しました。その後、解剖により心臓を採取し、心臓の遺伝子の発現変動を解析しました。


▼ 結果・考察

図「心臓の脂質代謝に関連する遺伝子の発現変化」
  「ワイン凍結乾燥物を含む飼料」を摂取した野生型マウスの心臓では、「通常の飼料」を摂取した野生型マウスの心臓と比較して、脂肪酸β酸化や遊離脂肪酸の細胞内への取り込みに関与する遺伝子の発現が増強する傾向が見られました。
  一方、核内受容体PPARαの遺伝子を不活性化させたマウスでは、「ワイン凍結乾燥物を含む飼料」を摂取させても、これらの遺伝子の発現の変動は見られませんでした。

  以上の結果から、レスベラトロールを含む赤ワイン中の成分が、脂肪酸代謝に重要な役割を担っている核内受容体PPARαの活性化を介して、心臓における遊離脂肪酸の取り込みやβ酸化に関与する遺伝子の発現を増強させるため、血液中と細胞内の遊離脂肪酸のクリアランスに有効である可能性があることが分かりました。

▼今後について
  当社は、今後も「レスベラトロール」等のワイン中の成分の研究をさらに発展させていくことで、お客様に“ワインのある豊かで潤いのある幸せな時間”を提案し、ワイン市場、食文化発展に貢献していきます。

※「PPARα」核内受容体の一種。主に、肝臓、心臓、骨格筋などに分布し、脂肪酸代謝において重要な役割を担っている。

【発表の概要】
◆発表演題名 『ワイン凍結乾燥物の長期摂取における
心臓エネルギー代謝遺伝子への影響について』
◆学会名 「第65回日本栄養・食糧学会大会」
◆学会開催期間 2011年5月13日(金)〜5月15日(日)
◆発表日 2011年5月15日(日)
◆発表場所 お茶の水女子大学 (東京都文京区)
◆発表者 メルシャン株式会社(※1)、奈良女子大学(※2)
須永和子(※1)、山本玲子(※1)、田村恵美(※2)
中田理恵子(※2)、井上裕康(※2)、矢内隆章(※1)
金野知典(※1)


以 上
2011年5月11日(リリースNO.11021)
 
【お問い合わせ先】
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【キリンホームページ】
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